観光地のそばに住んでる人ってこんな感じなのかな
いつも遠くまで見に行っていたような工事が、家のすぐ近くで行われる、というのがなんか新鮮だった。またやるといいのに、と思った。
観光地のそばに住んでる人ってこんな感じなのかな、と思って、よく考えたらうちは川崎大師のそばなのだった。じゅうぶん観光地だった。
先日、2019年3月2日の夜から3日の朝にかけて、京急大師線の産業道路駅地下化切替工事が行われた。
……っていうふうに文章を始めると、工事のレポートのようですが、本記事はそういうものではありません。
いや、レポートではあるんだけど。
とにかく、ここで言いたいのは「クレーンたくさんあるとこうふんする!」っていうことです。こうふんした。
昨年「いまが見納め・京急大師線沿線散歩」と題して、神奈川県は川崎の京急大師線に沿って端から端まで歩いた様子を記事にした。
タイトルの通り、当時「いまが見納め」だったのは、本記事で紹介する地下化工事が行われる予定だったからだ。
で、地下化工事、行われました。
黒い線が大師線の全部。オレンジ色が地下化された部分。上の写真は、川崎側、トンネルの西側にある東門前駅の踏切から見た様子。
一晩でトンネルが出現。こうして見ると、土木工事ってすごいよねえ。
じつはこの工事が行われる場所は、ぼくの家の近所。工事当日の午後から、だんだん駅の周りに人が集まりだしている様子がおもしろかった。
詳しい工事の内容については、いろんな方がレポートしているのでそれをご覧いただきたい。
大雑把に言って「あらかじめ地下にトンネルが作ってあって、この工事は上にある既存の線路をどける作業であった」ってことです(大雑把にもほどがある)。
いやでも、これまでいろいろな大規模工事を見てきましたが、どれもつまるところやろうとしていることは単純で、でもその単純なことを安全に大規模に行うというのがすごくたいへんなわけです。
「穴を掘る」とか「物を立てる」といった、単純なことが、規模が大きくなるととたんに大ごとになる。ぼくはいつまでもこのことがすごく不思議で。頭では分かっているんだけど、なんか不思議。だから見に行きたくなるんだと思う。
で、今回はその「既存の線路をどける」が大ごとで、光景としてはその作業が「クレーン祭り」であった、ということです。
@piro0827 さんによる、すばらしいクレーン祭りタイムラプス動画。なんとなく水芸を彷彿とさせる。
こんなににょきクレーンが並んでいるのを見たのははじめてだった。クレーン祭りだ。
線路を持ち上げては脇に下ろす作業を行う各々のクレーンの動きを「水芸」に似てる、と思って、上のキャプションでそう書いたがたとえが分かりづらかっただろうか。扇子とかから水が噴き出すあの舞台芸ですよ。子どもの頃テレビでちょくちょく見たけど、いまもうほとんど見かけないですよね。
今回の記事の趣旨は上の動画をご覧いただければ終了と言ってもいいぐらいなのだが、もうちょっとこの夜のことを書こう。
さきほどもちらっと書いたように、今回の工事はぼくの近所で行われた。これまでいろいろな工事を見てきたが、それらはいずれも家から遠い場所だった。この手の工事はたいてい夜中に行われるので、毎回心細かった。工事があらかた終わり、さて帰ろうと思っても電車はなく、さてどうしよう、ということになる。
しかし今回は家から徒歩数分の場所だ。こんなに気楽なのははじめてだ。夕ご飯を食べ、お風呂に入り、ゆっくりと現場へ。いいのかこんなに気楽で。
「さてそろそろ行きますか」と、のんきに出かけたら現場は黒山の人だかり。向かったのは「産業道路を愛でる」という記事でも登場した産業道路駅。今回の工事の大きな目的は、この産業道路の踏切をなくすというもの。いわば今回のスポットライトである。
終電は終わっているが、おどろくほどたくさんの見物人がいた。みんなぼくみたいに近所なのだろうか。
さて、どこで工事を見よう。
地下駅になる産業道路駅をはさんで地下に潜る場所が両脇にあるわけだが、残念なことに間近から見ることができない。
まあ、安全のためには当然の措置だが、なんともはがゆい。
上の写真の光景でびっくりしたのは、架線にハシゴ寄りかからせるんだ! ということ。素人目には、なんだかこわい。
というか、何本ものハシゴが空中に伸びるさまが、出初め式っぽい。いよいよ「祭り」めいてきた。
なかなかよく見える場所が見当たらず、うろうろしたあげくようやく「ここにするか」となったのは、とある公園。
このとき、時間はすでに1時を回っている。公民館に飾られた写真サークルの作品みたいな写真を撮っていたら、やおらクレーンが動き始めた。「タイトル:春の訪れ」とか撮っている場合ではない。
そしてこのあと1時間以上にわたってこのクレーンたちによる祭りが開催された。
先ほどの「打上線」まで既存線路がジャッキアップされていく様子。これも@piro0827さんによるタイムラプス動画。すばらしい。
こんな感じで午前3時過ぎまで公園でクレーン祭りを見ていました。寒かった。
もうひとつ、工事で深く感じ入ったポイントをお伝えして終わりにしよう。
それは、線路周辺のさまざまな処理だ。
「クレーン祭り」などと派手な作業に目が行っていたが、こういう周辺の地味な作業も大事だよなー、と思った次第。
こういう派手じゃない部分にぐっとくるようになって、ぼくも大人になったよな、と思った。
いつも遠くまで見に行っていたような工事が、家のすぐ近くで行われる、というのがなんか新鮮だった。またやるといいのに、と思った。
観光地のそばに住んでる人ってこんな感じなのかな、と思って、よく考えたらうちは川崎大師のそばなのだった。じゅうぶん観光地だった。
DPZでも何回か記事にしている、こちらもぼくの特殊な趣味。ジャンクション鑑賞。12年ぶりに写真集になりました! 詳しくは→こちら
自分でいうのもなんですが、いい出来映えです。みなさん、ぜひ。
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