特集 2022年7月4日

カレーパンの空洞は虚無ではなく、お好み具材のトッピングポケット

全国のカレーパンファンに朗報!

大好きなカレーパンを食べる際、ほんの少しだけ切なくなってしまう空洞の存在。あれ、なんと「虚無」じゃなかったんです! お好み具材用の「トッピングポケット」だったんです!

1978年東京生まれ。酒場ライター。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。ライター・スズキナオとのユニット「酒の穴」としても活動中。

前の記事:「羊名人」をコンビニのフランクフルトにまぶすとすごくいい


セブンイレブンの「コロッケカレーパン」

先日、「セブンイレブン」で買い物をしていた時のこと。

ホットスナックのコーナーに「お店で揚げたカレーパン」って商品があるのをご存知でしょうか? あれ、商品名のとおりお店で揚げているからか、ふっくらさくっと美味しいんですよね。あ、今日のお昼はカレーパンにしようかな〜などと、なんとなしに眺めていたんです。

するとそのすぐ横の棚に、「サックサク衣の牛肉コロッケ」という商品があるのが目に入る。なんともそそるネーミングじゃないですか。いいないいな。世の中には「カレーコロッケ」なんてものがあるくらいだし、カレーパンとも合いそうだよな。ちょっとこってり×こってりにはなるけれど、あとはキャベツの千切りでも買って、ドレッシングでもかけてもりもり食べて中和して……。

「待てよ!?」

と。そんなことを考えていたらひらめいてしまったんです。なにをひらめいたか。それはまぁ、記事タイトルのとおりなんですが。

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買ってきた
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カレーパンとコロッケ

今日はこれらに交互にかぶりつくのではなく、まず、カレーパンを端から1/4くらいの位置でカットしてみます。

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スパッ

するとみなさんご存知のとおり、カレーパンのなかにはけっこうな空洞が広がっていますよね。僕は今までこれを、「できればないほうがいいけれど、しかたのないもの」と捉えていた。「揚げる」という製法上、きっとなかの空気が膨張して、どうしてもこのように空洞ができてしまうのだろうと。言ってみればこの「虚無」の部分も含めてが、カレーパンであるのだろうと。

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今まで虚無だと思っていた部分

ところが気づいてしまったんです。この空洞を虚無ではなくて、好きな具材用の「トッピングポケット」と考えればいいんじゃないの!? と。

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つまりこうですわ

トッピングポケットに、直接コロッケを詰めてやったというわけ。

ちなみに今回は、空洞の存在がわかりやすいようにカレーパンをカットしましたが、通常やる場合、サイドに大きめの切り込みを入れることで、よりすっぽりとトッピングを収納できるかと思います。

さらに断面がわかりやすいよう、コロッケもカットしてみると……

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夢の断面みっしりカレーパン

こいつを食べてみてもう、しびれましたよね。1×1が2、いや3、いや10にすらなっているパワーアップっぷりに。

ただでさえ本格派の美味しさのカレーパン、それから、家で手作りしたかのようにほっこりと優しく、それでいて牛の旨味たっぷりのコロッケ。それらが融合し、合計でたった200円程度とは信じられない高級な味わいになっています。

当初、揚げ物に揚げ物を合わせる感じなので、ちょっとしつこくなりすぎるかな? という不安はあったのですが、そもそもそれぞれ単体で食べて違和感のないような料理なので、あまり問題はなし。

これはいいぞと、僕の「トッピングカレーパン週間」が始まったのでした。

ちなみに、さすがデイリーポータルZ。今回この企画を思いつき、念のためサイトを見返してみたところ、すでに松本圭司さんが塩バターパンにあれこれ詰めまくられていましたが、今回はカレーパンに特化し、カレーパンに合いそうな具材を試す方針ということで、このまま続けさせてもらおうと思います。

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ファミリーマートの「ファミチキカレーパン」

さてここからは、地元にあるコンビニを巡り、その場でひらめいた組み合わせをどんどん試していってみようと思います。

というわけで翌日。

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「ファミチキ」と「ファミマ・ザ・カレーパン」

商品名にも自信がみなぎるファミマのカレーパンは、スパイシーかつ王道の欧風カレーフィリングと、甘くふわりとしたパンの相性がばっちりな、これまた美味しいカレーパン。

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その空洞に

おなじみのファミチキを、

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ねじ込む!

昨日以上にトッピングがはみ出ちゃってますが、かまわずかぶりつくと、お〜! これまたいい!

まず、買ってきてすぐに作って食べたのが功を奏し、ファミチキの熱が全体の印象を支配して、カレーパンまでもが揚げたてのように感じてしまうあっつあつさ。また、若干パサっとした印象は避けられない市販のパン商品に、これまたファミチキのジューシーさが加わり、組み合わせとしてすごくいい。

そして、さすがカレー味。ファミチキのガツンとした旨味とボリューム感をきちんと受け止め、味的にも違和感のない一体感が生まれています。

ローソンの「たまごサラダカレーパン」

今回僕が寄ったローソンではオリジナルのカレーパンは見つけられなかったので、「CoCo壱番屋監修 大きなチーズカレーパン」と、トッピングに、いったん揚げものから離れてみるのもいいかと、サンドイッチの具材的なお惣菜「たまごサラダ」をチョイス。

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こんな組み合わせ

この大きなチーズカレーパンがですね〜、実際かなり巨大なうえに、

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ポケットも巨大!

これまでの僕ならば、「大きめの虚無だな」くらいにしか思っていなかったはずですが、今の僕はむしろ大歓喜! 密林の奥地に未知の巨大洞窟の入り口を発見した探検家のように、気持ちが高まりまくります。

というわけでそこへぶちゅ〜! っと、容赦なくたまごサラダを注入。

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こりゃすげぇ

さすがにたまごサラダ全量はパンひとつに対して多すぎたのか、ひと口めの印象は完全にたまごサンド。けれどもそこはカレー味。徐々に絶妙なアクセントのごとくカレーの風味がプラスされ、その両者をうまく橋渡しするのがチーズの存在。結果、全体としてすごくまとまりのある、新しい惣菜パンになっている気がします。

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ミニストップの「激辛ハリッサフランクカレーパン」

独自路線をゆくホットスナックが楽しいミニストップでは、「激辛ハリッサフランク」という攻めた商品を、パンは「よこすか海軍カレーパン」というのをチョイス。

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こちら
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ポケットに
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半分にカットしたフランクを強引に

フランクがでかすぎて、さすがにパンのサイドがちょっと破れてしまいましたね。

ところが、味のほうはこれまた良かった!

まず初めて食べたんですが、よこすか海軍カレーパン、市販品としてはかなり本格的にスパイシーな味わいなんですね。そこに、これまたミニストップらしい攻めかたのハリッサフランクの、けっこう容赦ない辛さとスパイシーさが見事に融合。めっちゃ酒に合う!

これ、音楽フェスの会場で販売したら、ひとつ500円でも1日1000個は売れるんじゃないかな?

専門店の共演、豪華「カツカレーパン」

最後はコンビニではなく、地元石神井公園駅直結のショッピング施設「eminade」へとやって来ました。

というのもここ、「ベーカリー&カフェ 石焼アンテンドゥ」という美味しいパン屋さんと、僕の大好きなとんかつ専門店「さぼてん」が入ってるんですよね。

まずアンテンドゥを覗いてみると、タイミングの良いことに「夏はやっぱりうカレー!」フェア中で、「キーマカレー」と「あっぱれカレー」の2種類のカレーパンが発売中でした。ただ、キーマカレーの売りが「ひき肉マシマシ!」で、肝心の空洞がマシマシのひき肉のせいで圧迫されていたらかなわんと、オーソドックスなあっぱれカレーのほうをチョイス。

それからとんかつは、サックサクの衣と柔らか〜い豚肉、ちょうどいいサイズ感と、ひとつ税込み172円というお手頃さ、すべての要素がパーフェクトな「ひとくちヒレかつ」を。

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それぞれの店で買ってきました。
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「あっぱれカレー」の断面

あ〜、これは、見るからに美味しそうですね。フィリングが単なるソースといった印象を超え、野菜などの素材感が見てとれるし、豪華にゆでたまご入り。

そこに、

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ひれかつをIN!

うわ〜、これは存在感からしてすごいわ……。なんていうか、「シェフがたった今作りました」っていう印象すらある、まさに一品料理な感じ。

いざかぶりついてみると、さっくりとした衣に包まれた柔らかい豚肉の旨味、シャキシャキ食感を残す野菜たちの甘味、カレーの濃厚さとたまごのまろやかさ。それをふんわりと包み込む優しいパンの風味。

これまでの組み合わせでいちばん味わいが優しく、それでいてそれぞれの素材の味がしっかりしているから、満足感も十分。これは……いい……。

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幸せの味

カレーパンの空洞をトッピングポケットと考える発見。これに気がついてから、確実に人生の輝きがほんの少しだけ増しました。

カレーパンは、コンビニ、スーパー、パン屋さんなどで気軽に手に入るし、そこに詰め込むトッピングの可能性も無限大。

さて、次はどんなカレーパンに、どんなおかずを詰めてやろうかな〜!?

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