ヴィ・ド・フランス最強伝説
一口に塩バターパンと言っても色々ある。流行ってるのでパン屋さんに行けば大体おいてあるのだ。
だが、スカスカ具合で最強はヴィ・ド・フランスの塩バターフランスである。
もう、すごいんだ。
一見普通のロールパン。
1個100円くらい。見た目は普通のパンだろう。ちゃんと中身が詰ってるっぽく見える。でも割ってみると比類無きスカスカである。
中身がない。
ホラ、見てこのスカスカ具合。
輪切りにすると判りやすい。
王蟲の抜け殻みたいだろう。切るときに「セラミック刀が欠けちゃった」とかナウシカごっこをするといい。
ここまでなのはヴィ・ド・フランスだけ
塩バターパンはみんなこんなにスカスカなのかと言えば、違う。ここまでスカスカなのはヴィ・ド・フランスだけだ。
他店の塩バターパンと比べてみると、これくらい違う。
ああ、なんか入ってたな、という程度の穴。
焼くときにバターとかマーガリンを入れておいて、それが溶けて空洞ができるのらしい。
上の写真のパンだと、ああ、そこにバターかなんかが入ってたんだな、と想像出来る。しかしヴィ・ド・フランスの塩バターフランスパンは次元が違う。
これだもの。ちなみに味は、バターの香りと、パリッと食感。油と炭水化物だもの、美味いに決まってる。誤解されると困るのだが、この塩バターフランスパンはうまいし、空洞を考慮しても食べる価値がある。
さすがにこの空洞全部がバターだったとは思えない。発酵ガスなどで意図して空洞を作っているのだろう。
クレーム、あるんだって
撮影に必要なので10個ほど買いに行って、ついでに店員さんに気になってた事を聞いてみた。
松本「僕は好きなんですけど、このパンって中身空洞じゃないですか、お客さんに文句言われたりしませんか?」
店員さん「はい、最近は減りましたが最初の頃はよく怒られました。バカにするなって怒られた事もあります。」
やっぱり文句言われるのだ。
たぶんバカにしてるわけじゃないし、空洞が大きい事でパリパリ感を楽しめるのだから怒らないでほしい。
かなり売れてるらしい。10個買ったので、1日に売れる量の5%を僕が買ったことになる。
さて、では本題。
空洞に色々詰めて楽しむのだ。きっとなにを詰めてもおいしいに違いない。
10個の塩バターフランスパン。中身空洞なので、軽い。知らないで買って食べたら怒り出す気持ちもわからんでもない。
次のページから、塩バターフランスの空洞埋め立て祭りです。
鳥南蛮
空洞を埋めるには、ガッツリした塊じゃないと足らない。ってことで鳥南蛮を用意した(惣菜)。
これを詰めてみる。
1個分、まるっと入った。入った、というか飲み込まれたというか。
挟むとかじゃくて、飲み込みのだ。真ん中から切ってみると、中がどうなってるのか判りやすい。
地下の配管とかトンネルの断面図みたいだ。
パンに挟む、サンドする、を越えた。パンが具を飲み込む。怖い。
余裕で2個のカキフライを飲み込んだ。
パンに沈むカキフライ。タルタルソースなんぞ作って掛けてみた。
すごい包容力。カキフライが沈む。
グイッと開くと、カキフライとタルタルソースでみっちみち。
指でパンを開くとき、少し妙な気持ちになる。
カツ丼、いける
この包容力ならカツ丼もいけるに違いない。って事でカツ丼登場。
最近のスーパーは凄い。お弁当屋さんか定食屋レベルのカツ丼が売られている。
スーパーのカツ丼のレベル越えてませんか。しかもご飯と具が2階建て(具のトレイの下にご飯がある)。
まずはご飯を詰め込む。パンにご飯を詰める感覚の不思議さといったら。
空洞が凄いのでご飯がモリモリ入る。
ご飯を詰めて、カツを載せた。カツサンドでもカツ丼サンドでもなく、カツ丼が現われた。器がパンのカツ丼である。
あたらしいカツ丼。
味は、見た目通りそのまんま。カツ丼にバター風味のパンが足された味。美味いが、予想以上のものではない。
そして食べにくい。ご飯がボロボロとこぼれてしまうのだ。パンに粒は合わない。
この詰まり具合には満足である。いや、もっと詰められたかもしんない。
空洞を埋める、という点においては満足である。そういえばあんまり味の事を書いていなかった。これまでの3つ、全部うまい(雑)。
うまいパンに鳥南蛮とかカキフライとかカツ丼かを詰めて食べた味そのまんまで、想像通りの味だ。
まだまだ詰めます。漬け物とか。
漬け物はどうだ
トンチキメニューを考えるときには、タブーを無くすのが肝要だ。意外な組み合わせが予想以上においしかったりする。
だからパンと縁遠い組み合わせ、パンに漬け物、パンにめかぶである(世の中には色んな人がいるので、一部の人からは『普通』とか言われそうだが)。
山形の漬け物と、宮城のめかぶ。
水を切りつつ、ネバネバさせつつ、パンにつっこんだ。これがまた、ちょっとどうかと思うくらい入ってしまうのだ。空洞がでけぇ。
漬け物とめかぶのパン。
食べる。うん、漬け物とパンの味(まんま)。ご飯が欲しい。あれ、でもパンだから炭水化物だからこれでいいのか?でもちょっとしょっぱいし、やっぱご飯欲しい、という味である。
めかぶの方は、大変に海だった。これもご飯が欲しい。
割ると大体緑。
しっかし、食べにくい。味はわるくないが、食べにくい。カツ丼で得た『細かい物を入れると食べにくい』という反省が一つも生かされてない。
反省しない事火の如しである。
食べにくい。
定番いっとくか
ちょっと外れすぎたので、いったん定番に戻っておきたい。なので焼きそば。福島県浪江町名物の『なみえ焼きそば』だ。
鉄板メニューなので体裁は整うだろう。焼きそばだけに、鉄板。
B-1グランプリでゴールドグランプリというのを受賞したそうだ。
太麺がすげぇ
なんとなく買って来たのだが、パッケージを開けてみたら麺が凄かった。ふてぇ。通常の3倍だそうだ。ザクで言えば赤い奴だ。
細いうどんと言ってもいい太さ。
これで焼きそばを作ってヴィ・ド・フランス(代名詞化)に突っ込んだら、ちょうど1人前の焼きそばが詰まった。
一人前の焼きそばを余すことなく飲み込むパン。
ずっしり重い
重さを量ったら200g以上あった。重い。
恒例となった断面図を見ると、もうすっかり焼きそばである。焼きそばパンなんてチャチなもんじゃねぇ。もはやパン焼きそばだ。焼きそば主体である。
こんなに焼きそば過ぎる焼きそばパンが、ただの焼きそばパンと呼ばれていいはずがない(ラノベ風キャプション)。
食べ応え十分すぎた。学生時代の僕に食べさせてあげたい。あまりに金が無くて小麦粉を練って茹でて食べてたあの頃の僕に。
カニミソパンはどうか
安定の焼きそばパンからの、カニミソってパターン。カニミソってパンに合うの?とお思いのあなた。はい、合います。
日本酒飲みたくなるやつ。
カニミソにパンってのは意外かも知れないけど、間違いなくおいしかったから信じて欲しい。
まずは切れ目を入れて、とろけるチーズを入れるじゃろ。
チーズをたっぷりいれる!
でもって、そこにカニミソ。惜しげもなく入れたんさい。スプーンに残ったのは舐めて日本酒をグビリ(秘密のケンミンSHOW風擬音)。
これをチビチビ、日本酒チビチビってのも最高ですが!
チーズとカニミソ、ほら想像してみて、この組み合わせ。
美味しさが詰りました!
これを軽くレンジでチンして、グリルでちょっとだけ焼くわけですよ。
出来たのが下の写真。
うん、地味!!!
地味すぎるカニミソチーズパン
やっぱ中身が見えないと地味なので、割れ目を広げて、ホラ見て見てみて!
これは確実にヤバイ。
すっげーうまい。もう、すっげーうまい。ホントにうまい。カニミソとチーズと油と炭水化物、神の組み合わといっていい。
酒でもジュースでもなんでもいいから、食べて飲んで飲んで飲んで食べて飲んで、すっかりご満足である。
ケンミンSHOW風に言えば、ビールで流し込んでご満悦になるやつ。
カニミソは神が造りたもうた最高の食べ物だと思う。カニと乳牛と小麦に感謝。
ミスター味っ子っぽいの思いついた
ミスター味っ子って漫画が昔あったんだけど、ハンバーグをパンで巻いて焼くと肉汁をパンが吸っておいしくなる、みたいなメニューがあった。
それと似た感じのメニューも簡単に作れる。
ジャンクな味わいで非常においしい。
塩バターフランスの端っこを切って、そこにハンバーグのタネを詰め込んで、ホットサンドメーカーで焼くといい感じに焼ける。
注意点は、弱火でじっくり焼くこと。じゃないと火が通らないうちにパンが焦げてしまう。
具を詰めた塩バターフランスを焼くのにホットサンドメーカーは超便利である。上で書いたカニミソチーズパンもホットサンドメーカーで焼くとパリッとしてうまい。
たっぷりの肉汁が、とてもヤバイ。
半分で切ってみたら、肉汁がダーっと流れて来た。それをパンが余すことなく吸い取ってくれる。
チーズを混ぜてみるとか、餃子風にしてみるとか、お好み焼きの生地を入れてみるとか、可能性はまだまだありそうだ。レシピのブルーオーシャンである。
さぁこいクックパッド。
そしてスイーツへ…
唐突だが、甘い物が食べたい。スイーツだ。オッサンは酒とスイーツが好き。だから最後はスイーツを用意した。
プリン。
焼きプリン買ってきた。
今までのように切れ目を入れて入れようとしたら難しかったので、丸く穴を開けてプリンを投入。
1個分丸ごと入った。このパンをキレイに切るには出刃包丁がいい。
4ページ書いていろいろやってみて、それでも驚くこの収納力。いっそ小物入れにでもしたろうか、という収納性である。
プリンも1個まるごと収まってしまった。何回もやってると不思議な満足感があるね。
ずっぽり収まりました。
しかしまぁ、おおよそ予想はついていたが食べにくい。パンをちぎって、プリンをのせるスタイルならなんとかいけるが、最終的にはかなりボロボロになってしまった。
プリンをあらかた食べて、カラメルソースを吸ったパンを食べるというのが正解な気がする。
うまいが食べにくい。
あんこも大好きだ
プリンがちょっと食べにくかったので、もうちょい食べやすそうなスイーツを入れてみた。
下の写真から中身が判るだろうか。
チラリズム。
この色とテクスチャーは、
はい、正解はおはぎでした。この空洞はおはぎのためにあったのか?と思ってしまうようなピッタリ感である。
これが完成形という見事なフィット感だった。
パンの塩味とバターの風味があんこに合い、しかも餅米がサッパリしていて非常においしかった。
これ、製品化されたら普通に売れると思うんだけど、フランス名乗ってるパン屋さんがおはぎはねーか。
スペースがもったいない
色々詰めてみたが、詰めるたびに収納力に驚かされた。プリンやおはぎ、焼きそば1人前がすっぽり入っちゃうとはね。
そりゃ「おめぇんとこのパン、スカスカじゃねーか!バカにすんな!!」と怒り出す客がいるのも納得である(納得すんな)。
でも、そのスカスカがうめーんだよ!スカスカに不満があるなら進んでケーキでも詰めりゃいいじゃねーかすっとこどっこい!
あ、ケーキ詰めるのもいいな。
という感じで、みなさんもヴィ・ド・フランスの塩バターフランスパンを見かけたら買ってみて、なにか詰めてみてください。楽しいから。