ずっとずっと、カレーに本気
無印良品のカレーラインナップの幅のすごみについてはご存じの方のほうが多かろう。
まだグリーンカレーがタイ料理店でしか食べられない珍しいものであった2000年ごろから、無印良品にはグリーンカレーと、イエローカレーと、レッドカレーのレトルトが並んだ。
そして「あのときのすごさ」を、無印良品は今なおすごい勢いで更新し続けている。
ずっとずっと、カレーに本気なのだ。
渋谷の店舗に行ってみると、バターチキンカレーが5段にも渡って大展開されている。初代バターチキンカレーが復刻され、強く推し出しているらしい。
【今週の一押し新商品】『レトルト バターチキンカレー』https://t.co/SVDpHrmFog
— 無印良品 (@muji_net) December 10, 2023
2009年に販売開始した初代のバターチキンが、数量限定で復刻。カシューナッツとバターの濃厚さが特長です。
現在通常販売している、『素材を生かしたカレー バターチキン』と食べ比べるのもおすすめ。#MUJI新商品 pic.twitter.com/a5U2IemfOD
そのほか近ごろSNSで話題になった北インドカレーのセットも山積み。その先にはカレー全種ではなくスープカレーだけの人気ランキングが掲示されている。
聞いたところ、各店舗によって取り揃え方は違うものの、現状57のレトルトカレーがラインナップされているとのこと。毎日食べて1か月以上違う味が食べられる。
意味は分かるが意味不明と言って差し支えない状況ではないか。
それは何ですかというカレーがある
前述したスープカレーの充実にも驚かされたが、あちこちの国の郷土のカレーに果敢に取り組んでいることも、店頭のさまから伝わる。
はしから名前を見て行くと、分かるものもあるが既視感があまりにもないものも多い。
プラウンモイリー(海老のココナッツカレー)
ベイガンティルマサラ(なすとごまのカレー)
アルマタール(じゃがいもとグリーンピースのカレー)
まるで自分とは遠い名前がカタカナで表記されており、感想としては「勉強になる」という感じだ。
いっぽうで
ビーフカレー
牛ばら肉の大盛りカレー
と、なにも考えなくても脳が理解する安心できる名前もならぶ。
もはやカレーの店以上にカレーの店だ。
カレーに加え、不揃いなバウムクーヘンが名物
カレーを名物としてたずさえる店が、デザートとしてバウムクーヘンを当てたら無敵ではないか……。
それが無印良品だ。
渋谷の店舗ではバウムクーヘンも元気いっぱい商われていた。ラインナップは現在36種。
よくぞ! という展開数だ。人はもっとぼんやり生きていいと思うのだけど、バウムクーヘンに本気を出すとここまで頑張れる。36種って、頑張りの上限いっぱいではないか。
無印良品のバウムクーヘンがカルチャーとして良いのは、バウムクーヘンそのものの魅力に「不揃い」という概念をかけ合わせてヒットさせたところだ。
きれいに作ったのではない、不揃いだけれど味はおいしいのです、という、その態度に人気が出る。痛快だ。
不揃いのさまについてはライター大北くんがガチボコに調べているのでどうかご覧ください。
たまんねえなあと思うのは、不揃いバウムが不揃いでヒットしすぎた影響で、他のお菓子もこのバウムクーヘンの形にして売らざるを得なくなっているところだ。
ワッフル、パウンドケーキ、スコーンなどが棒状で不揃いバウムと同じサイズの袋に入って売られている。
不揃いからもう逃れられない、無印良品の負った業である。
以上から、無印良品はレトルトカレーと不揃いバウムクーヘンの店として私は認識する。
ちなみにひごろ愛用する無印良品の商品といえば「肩の負担を軽くする 撥水リュックサック」であり、これも一大ヒット商品だ。
「無印良品はレトルトカレーと不揃いバウムクーヘンの店」と頭の中で展開させておいて、その後ろに各々の愛用品を付加し、
「無印良品はカレーとバウムクーヘンとリュックサックの店」
などとするといっそう可笑しみも増すと思います。