デジタルリマスター 2023年7月4日

根っこや岩をよじ登って見に行く崖のお堂(デジタルリマスター)

鳥取県に、三徳山三佛寺(みとくさんさんぶつじ)という古くからのお寺がある。

三徳山は投入堂というちょっと変わったお堂があることで知られており、しかもその投入堂を見るためには、かなり険しい原生林の山道を登っていかなければならないそうだ。

そんな話を聞いて以来、ずっと行ってみたいと思っていた。そしてこの夏ついに鳥取に行く機会ができたので、念願の三徳山へ行ってみることにした。

そこがとんでもないところであるということなど露知らず。

2008年9月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

1981年神奈川生まれ。テケテケな文化財ライター。古いモノを漁るべく、各地を奔走中。常になんとかなるさと思いながら生きてるが、実際なんとかなってしまっているのがタチ悪い。2011年には30歳の節目として歩き遍路をやりました。2012年には31歳の節目としてサンティアゴ巡礼をやりました。(動画インタビュー)

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三徳山は修験道の聖地

三徳山三佛寺は、修験道の開祖である役小角(えんのおずぬ)が、706年に開山したといわれる由緒正しきお寺。

修験道というのは、山に入って修行を行い、神仏の力を得ようという日本独自の信仰のことで、まぁ、山伏と聞けばイメージしやすいんじゃないかと思う。ほら、あのほら貝の。以前に当サイトのライター玉置さんが修験道体験の記事を書かれているので、詳しくはそちらをご覧アレ。

そんな修験道の修行の場である三徳山は、当然ながら山の中にある。鳥取県中部、倉吉という町から車で30~40分ぐらい、山方面に行ったところにそれはある。

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三徳山三佛寺境内入口

入口は意外とこじんまりとしていて、標識等がなければ見逃していたかもしれない。山のお寺らしく、入口からいきなり急な石段が上へと続いている。

拝観料を払い、まずは本堂を目指して石段をてくてく登る。

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本堂まで続く石段は雰囲気良
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参道の両脇には宿坊が建つ

5分ほど石段を上がっていくと、程なくして本堂に到着した。

とりあえず本堂でお参りをと思ったのだけれども、ところがどっこいこの本堂、なんとも巨大な建設用のシートによって覆われてしまっているではないか。

これは何事かと中をのぞいてみると、そこは空っぽ。礎石(建物の基礎として柱の下に敷く石)だけが残されている状態だった。本堂は解体修理中であったのだ。

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残念ながら、本堂は解体修理中
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これはこれで普段は見られない光景だけど

木造建築は痛みやすい。古い建物は定期的にメンテナンスを行ってやる必要がある。

解体修理というのは、このように建物を一度全部バラバラにして、部材ごとに修理を行った上で組み立て直すという大掛かりな修理。バラした際には、その建物の文化財としての調査も行われるので、そういった意味でも重要な修理だったりする。

本堂を拝観することができないのは少々残念だけれども、礎石だけの光景なんてそう見られるものでもないので、これはこれで良しとしよう。

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いざ原生林の山へ

この記事の冒頭で、三徳山にはちょっと変わったお堂である投入堂があると述べた。その投入堂はこの本堂からさらに奥、山道を1時間ほど登ったところにある。

そう、実はこれからが本番なのだ。わずかな道のりで凄いものが見られるほど、人生は決して甘く無い。

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まずは受付で入山手続き

改めて言うが、三徳山は修験道の修行の場であり、ハイキングコースではない。道のりは険しく、それ相応の心構えが必要だということだ。過去には死者が多数出ているということもあり、寺側も安全対策には必死なよう。

まず、一人での参拝は禁止。安全のため必ず二人以上のグループで登らなければならないということだ。一人で来た人は、他の一人で来た人とペアを組まされることとなる。

次に、服装と靴のチェックがある。スカートなどの登山に適さない服装は当然ダメ。靴は裏側をチェックされ、凹凸が少なく滑りやすいものはNG。私はそれなりの運動靴を履いていったつもりだったが、靴底の溝が減っていたためはじかれ、寺で売っているわらぞうりを買うハメになった。

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安全のためぞうりを買わされたが……
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サイズが小さい……指出ちゃってるよ

ぞうりは大と小の二種類があったのだが、大きいものでも私にとってはかなり小さく(私の足のサイズは28.0)、思いっきり足の指が出てしまっている。歩くと指が地面と擦れ、結構痛い。

まぁ、そのくらい我慢だ、我慢。これが修験道だ、修行なのだ。

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熊避けの鈴も持たされ
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たすきのような輪袈裟もかけて、フル装備

準備が整ったところでいざ出発。そこには私の想像を遥かに越える、凄まじい山道が待ち受けていた。

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周りの木がデカいため、登山道入口の門が小さく見える

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