三徳山は修験道の聖地
三徳山三佛寺は、修験道の開祖である役小角(えんのおずぬ)が、706年に開山したといわれる由緒正しきお寺。
修験道というのは、山に入って修行を行い、神仏の力を得ようという日本独自の信仰のことで、まぁ、山伏と聞けばイメージしやすいんじゃないかと思う。ほら、あのほら貝の。以前に当サイトのライター玉置さんが修験道体験の記事を書かれているので、詳しくはそちらをご覧アレ。
そんな修験道の修行の場である三徳山は、当然ながら山の中にある。鳥取県中部、倉吉という町から車で30~40分ぐらい、山方面に行ったところにそれはある。
入口は意外とこじんまりとしていて、標識等がなければ見逃していたかもしれない。山のお寺らしく、入口からいきなり急な石段が上へと続いている。
拝観料を払い、まずは本堂を目指して石段をてくてく登る。
5分ほど石段を上がっていくと、程なくして本堂に到着した。
とりあえず本堂でお参りをと思ったのだけれども、ところがどっこいこの本堂、なんとも巨大な建設用のシートによって覆われてしまっているではないか。
これは何事かと中をのぞいてみると、そこは空っぽ。礎石(建物の基礎として柱の下に敷く石)だけが残されている状態だった。本堂は解体修理中であったのだ。
木造建築は痛みやすい。古い建物は定期的にメンテナンスを行ってやる必要がある。
解体修理というのは、このように建物を一度全部バラバラにして、部材ごとに修理を行った上で組み立て直すという大掛かりな修理。バラした際には、その建物の文化財としての調査も行われるので、そういった意味でも重要な修理だったりする。
本堂を拝観することができないのは少々残念だけれども、礎石だけの光景なんてそう見られるものでもないので、これはこれで良しとしよう。
いざ原生林の山へ
この記事の冒頭で、三徳山にはちょっと変わったお堂である投入堂があると述べた。その投入堂はこの本堂からさらに奥、山道を1時間ほど登ったところにある。
そう、実はこれからが本番なのだ。わずかな道のりで凄いものが見られるほど、人生は決して甘く無い。
改めて言うが、三徳山は修験道の修行の場であり、ハイキングコースではない。道のりは険しく、それ相応の心構えが必要だということだ。過去には死者が多数出ているということもあり、寺側も安全対策には必死なよう。
まず、一人での参拝は禁止。安全のため必ず二人以上のグループで登らなければならないということだ。一人で来た人は、他の一人で来た人とペアを組まされることとなる。
次に、服装と靴のチェックがある。スカートなどの登山に適さない服装は当然ダメ。靴は裏側をチェックされ、凹凸が少なく滑りやすいものはNG。私はそれなりの運動靴を履いていったつもりだったが、靴底の溝が減っていたためはじかれ、寺で売っているわらぞうりを買うハメになった。
ぞうりは大と小の二種類があったのだが、大きいものでも私にとってはかなり小さく(私の足のサイズは28.0)、思いっきり足の指が出てしまっている。歩くと指が地面と擦れ、結構痛い。
まぁ、そのくらい我慢だ、我慢。これが修験道だ、修行なのだ。
準備が整ったところでいざ出発。そこには私の想像を遥かに越える、凄まじい山道が待ち受けていた。