チャパティを焼くのが楽しい
ここ数年、インド料理を作るのにちょっとハマっていて、その流れでチャパティを焼くようになった。
チャパティとは、小麦の全粒粉に水と塩を加えて捏ね(油を加える場合もある)、薄く伸ばして焼いた無発酵のパンのこと。日本のインド料理店でよく食べられているフカフカのナンよりも、ずっと素朴な味がする。
そもそも生地を捏ねたりするのが好きなので、チャパティを焼くようになったのは必然なのだろう。カレーを作るよりも好きかもしれない。
タンドール釜で焼かれるナンと違って、チャパティを焼くのには特別な道具がいらない(後述する専用の道具があったほうが楽ではある)。
薄く伸ばした生地をフライパンなどで両面焼き、仕上げに直火で焼くのだが、うまくいくとプクーっとアルミ風船のように膨らむギミックが堪らなく楽しい。
これが成功すると、気持ち的にすごくうれしいだけではなく、膨らむことで生地が二層になり、口あたりがフワっと軽くなる。グレイビー(うまい汁)が染み込みやすくもなる。
どうしても固くなりがちな無発酵パンだからこそ、この形状の変化が大切なのだと思う。
チャパティを焼くことは寿司を握ることに似ている。材料さえ揃えれば素人でもそれっぽく作れるが、そこから先が奥深いのだ。
よりおいしいチャパティを焼けるようなりたくて、インド人料理家のソニ先生がやっている料理教室に参加したりもした。
やはりプロが持つノウハウとテクニックは素晴らしく、至近距離で手さばきを見て、すぐに己の手を動かしたことで、また少し上達できたと思う。
その後、私はインド旅行に行ったのだが、訪れたのが南インドだったので、主に北インドの主食であるチャパティは一度も食べなかった。
せっかくだから一回くらい食べればよかったと後悔しているが、ミールスとかビリヤニとかパロタとか、食べたいものが多すぎたのだ。
野外でチャパティを焼く会をしよう
話はここからが本題である。チャパティを焼くのがとても楽しいので、どうせならより本格的に炭火を使ってみたくなった。きっとより香ばしい仕上がりになるだろう。
そこでインド料理好きの友人を集めて、青空チャパティ会をすることにした。野外でチャパティを伸ばして焼いて食べるのだ。
チャパティに欠かせないカレー(インドにカレーという名の料理はなく、辛いスパイス料理の総称として外国人が呼んでいるのだというような話は置いておく)だが、外でチャパティに合うタイプのカレーを作るは大変なので、各自が持参したものを湯煎するというルールにした。
今回はチャパティを焼くことに集中したいのである。
チャパティは炭火、カレーはカセットコンロで湯煎
さて会場に着いたら、生地の用意よりも炭火を熾す作業を先にやる。これが一番時間が掛かる。
できるものなら石でかまどを組んで焚き火をしたいところだが、焚き火可能でトイレと水道があって駅から徒歩圏内の場所はなかなか無い。
そこで今回はバーベキューのできる川原で、このために購入した金属製七輪を使用する。
カレーの準備も進めるのだが、こちらは湯煎するだけだ。
大きめの鍋に水を入れてカセットコンロでお湯を沸かしつつ、参加者が持参したカレーを温める。この方法だと一つの鍋で一度に何種類も加熱可能。カレーを作ってくるのが面倒ならレトルトでも問題なし。
中カゴ(湯切り)のついたパスタ用の鍋があれば、カレーの袋が鍋に直接触れて熱で破れることもないし、袋を取り出しやすいのでお勧めだ。
チャパティの生地を伸ばす
チャパティの材料は、アタ、塩、水、打ち粉(普通の小麦粉)。アタとはチャパティなどに使われる全粒粉で、ハラールショップやエスニック食材店で購入できる。国産の全粒粉だと粒子がちょっと粗かったり膨らみが悪かったりするので、まずはアタを使うのが無難。
必要な道具は、ボウル、デジタルスケール(はかり)、計量カップ、平らな板(今回はまな板シート)、テーブル、麺棒など。
塩は一つまみ。水の量はこれまでの経験から、数値を粉のメーカーによって変えている。パドマというメーカーなら粉100グラムに対して水60グラム、アンビカなら水80グラム。今回はパドマを使用。これで3~4枚のチャパティができる。
気温や湿度、あるいは粉の湿気によってベストの水分量は変わってくるので、まずはこの比率で伸ばしてみて、生地が硬いようなら次回は水を少し増やし、柔らかかったら減らしていく。

