特集 2025年9月6日

チャンバラをする貝、チャンバラガイ(マガキガイ)

チャンバラガイと呼ばれるマガキガイは、刀を振り回すみたいな動きでかっこいい。

友人に誘われて磯遊びに行ったところ、なにやら変わった貝の存在を教えてもらった。

「昼飯にチャンバラガイでも獲りましょうか。正式名はマガキガイなんだけど、チャンバラをするから通称チャンバラガイ。昔は関東の海にほとんどいなかったけど、温暖化の影響で最近増えているんですよ」

チャンバラをする貝ってどういうことだ。

趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。(動画インタビュー)

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チャンバラガイは海の底に落ちている

チャンバラガイの獲り方だが、「海の底に落ちている」ということなので、その状況がよくわからないがチャプチャプと水に入って海底をのぞき込む。

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チャンバラガイの存在を教えてくれた友人の藤原さん。

チャンバラガイ、そういえばテレビでちらっと見たことがあるような気もする。確か細長い巻貝だったような。

短パンのポケットに入れたスマホが濡れそうになったので手に持ち、ここで転んだら嫌だなあと思いつつ砂泥の底を水面の上から覗き込んでいたら、苔の生えた石の上にそれらしき存在を発見。

小石のようにも見えるけれど、なんとなく生物っぽい気配を感じる。

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今日に限って防水カメラを忘れてきたので水面上からの写真で恐縮です。

手を伸ばして肩口まで濡らして貝を掴むと、ぬるっとした嫌な手触りだった。これまでの経験上、苔でヌルヌルしている貝は中身が入っていない。生きている貝はつるっとしているものなのだ。

あまり期待しないで一応拾ってみると、どうみても死んでいる貝の質感で、さらに貝の切れ目からカニの足みたいなものが見えた。どうやらヤドカリが入っているようである。

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なんだ、ヤドカリか。

いやでもこういうタイプの貝には、あまりヤドカリは入らない気もする。住み心地が悪そうだし。

もしかしたらと一応キープしつつ周囲を探すと、まったく同じ貝がいくつも見つかった。

藤原さんに確認してもらったところ、どうやらこれがマガキガイで正解のようだ。

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これがチャンバラガイことマガキガイらしいよ。

だいたいの貝というのは、岩にへばりついているか、砂に潜っているものなのだが、こいつは確かに「落ちている」という表現がピンとくる、隠れる気がまったくない状態だった。

あええ苔を生やしておくことで、カモフラージュをするタイプの生き方なのだろうか。

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かっこいいぞ、チャンバラガイ

海水と一緒に容器に入れて観察してみると、すぐに貝殻からニョキッと2つの目を出し、カタツムリみたいにゆっくりと歩き出した。そしてたまにヒョコンと小さく跳ねる。

なるほど、確かにヤドカリではなく貝である。磯にはカメノテという、その名の通りカメの手みたいな生物(貝みたいだけど実は甲殻類)がいるけれど、これはカニノテだ。

ここから先の話を動画にまとめました。

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目が出てきた。

持ち上げてひっくり返してみると、カニの足のような部分は体の先端だった。よく見ればノコギリのようにギザギザしている。

アサリだったら砂を掘るところ、サザエだったらフタになる部分が、なぜかカニの足みたいになっているのだから不思議である。

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こんな変な生き物が身近な海にもいるんだね。

これがどうやってチャンバラをするのだろうと眺めていたら、例の足部分がグイっと伸びて、一端後ろに振りかぶり、シャキーンと素早く居合い切りのような動きをしたのだから驚いた。

これは確かにチャンバラっぽい。あるいは「いいかんげんにしろ!」というツッコミの動きにも似ている。

こんなにアクティブに体を動かせる貝が世の中にいるなんて。飛びだした目と相まって、まるで寄生獣のミギーみたいではないか。

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びっくりした!

それにしても、これはなんのための動きなんだろう。急いでいるときに蹴って移動したり、ひっくり返った時に向きを戻したりするのには使えそうだが、ただそれだけのための進化なのだろうか。

苔などを食べる貝なので、エサをとるための攻撃用ではない。ということは魚やタコなどに襲われたときの防衛用なのかも。効果の程はわからないが、とりあえずびっくりはすると思う。

ちなみにマガキガイは無毒の安全な貝だが(おっかないけど)、南の海に生息する強力な毒槍(歯舌)を持った武闘派のイモガイとよく似た姿をしているので(このエリアにはまだいないはず)、迂闊に手を出すのはやめておこう。一説によるとマガキガイはイモガイの姿を真似ることで身を守っているのだとか(ベイツ型擬態)。

またマガキガイが元々生息している地域では、漁業権が設定されているため遊漁者は採取禁止の場合があるので、そういう意味でもご注意を。藤原さんの話によると、ここでマガキガイが目立つようになったのはここ20年くらいの話なので、この地域にはまだ獲る文化も食べる文化も漁業権もないそうだ。

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