いよいよスキャニング開始
スキャンにかけられる前に診察室で問診。
普段の生活リズムについて、仕事について、飲酒について、運動はしているか……。色々と聞かれるがどれも伏せ目がちになってしまう。
1点だけ、
「タバコ、やめてます(まだ4日目だけど)」
と強く主張したが、あまり誉めてくれなかった。
問診が終わり、いよいよレントゲン室へ。
CTスキャナーの機械に横たわるとベルトで体を固定される。
「頭を動かさない様にして下さい」
先生がベルトを締めながら言う。
「羊たちの沈黙」でレクター博士が搬送される時とほぼ同じ姿だ。
ウィーンウィーンというモーター音と共にベッドがスライドしていく。
丸く切り抜かれた機械の中に頭がおさまるとスライドは止まる。
「これは目をつぶっておいた方がいいですか?」
「どっちでもいいですよ。まあ、でもつぶっておいた方がいいかな」
顔の上を赤い光が移動するのが分る。
この光りが僕の脳をスキャニングしているのか?
「大体、3分程度で終わりますので、くれぐれも頭を動かさないように」
目を閉じると、CTスキャナーのモーター音だけが聞こえる。