特集 2025年1月30日

イギリスの水上生活文化に触れるガイド本「イギリス式極楽水上生活: ナローボートで楽しむ爽快クルーズ・ライフ」

デイリーポータルZのライター、関係者が愛読している本を語ります。

今回はライターの拙攻さん。レコメンドは「イギリス式極楽水上生活: ナローボートで楽しむ爽快クルーズ・ライフ(潮書房光人新社)

聞き手はまこまこまこっちゃん、こーだい、石川です。

では拙攻さん、お願いします。

インターネットにラブとコメディを振りまく、たのしいよみものサイトです。

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拙攻:
水上生活の本です。

以前「オランダの運河には小舟のお家がたくさん浮かんでいる」という記事を書いたんですけど、

拙攻:
これはオランダの話ですが、この本に登場するのはイギリスの文化なんです。たぶん世界的にはイギリスの方が有名だと思います。
オランダのボートはあくまで家なんですけど、イギリスでは生きたボートを使って移動しながら住んでます。見えますかね。ちっちゃいボート。

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書影

拙攻:
長さが10メートル、幅3メートルぐらいかな。細長い貨物船なんですよね。それを改造して住んでるんです。 
この本は、秋山さんっていう日本人がこの文化に惚れ込んで、 旅行者としてボートを利用しまくって書いた本です。

なので、実践的なんですよ。日本から旅行に行ってこういう文化を楽しみたいと思った時には、こういう旅行会社がありますとか、費用はこうで、モデルルートはこれがありますとか。

まこまこまこっちゃん(以下、まこ):
へー、すごい。

石川:
実用書なんだ。

拙攻:
はい。網羅的に書いてくれててですね、情報は古いんですけど、実際に試したいっていう方には参考になる本になるんじゃないかなと。

こーだい:
ナローボートっていうみたいですね。
ちょうどこの本(「みんなの民俗学 ヴァナキュラーってなんだ?」)にも日本での水上生活と絡んで紹介されてました。それで以前イギリスに行った時に実物を見かけて「(本に出てるのと)同じやん」って感動したことがあります。

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「みんなの民俗学 ヴァナキュラーってなんだ?」214~215ページより引用

拙攻:
現地で見たんですね。いいなあ。

石川:
拙攻さんの本はいつの本なんですか?

拙攻:
2006年ですね。

石川:
20年近く前か。

まこ:
今もやってるんですかね?

拙攻:
あると思いますよ。たまに調べるんですけど、イギリスでは現役っぽいですね。

 

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水上生活とお金

拙攻:
船がっていうより、まず運河が整備されてることがすごいですよね。イギリスに運河があって、それを残しているからこそ、このナローボートっていう文化が残るんだと。

景観の一部として、かなりしっかり運河の保護が進んでるみたいなんですよ。それが残ってる限りは、たぶんボート文化もそんなに簡単には廃れないんじゃないかと。

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イギリスのナローボート(冒頭部より引用)

石川:
その運河って実際に物流手段として使われてるんですかね?

拙攻:
物資の運搬っていう意味では、ほぼないと思いますね。ほぼ観光用みたいな。

まこ:
でも、いいですね。固定資産税かからなそうで。

拙攻:
(笑)それはどうでしょうね。
お金でいえば係留費っていうものがあるみたいで。

まこ:
あー、駐車場代みたいな。

拙攻:
それが高いみたい。これはオランダの時にもそういう話を聞きました結局どっかで金は取られるんでしょうね。

石川:
係留しないでずっと流れてたらいいのかな。

こーだい:
ずっと外洋を移動して、1年に1回だけ食料の補充に来るみたいな生活だったらどうでしょう。そういう夢があるんです。

石川:
不便すぎる。

まこ:
魚捕ってたら大丈夫かも。

こーだい:
プランターで野菜作って(笑)

お金の話に戻ると、日本の水上生活者は、役所からやめろって言われ続けてたって書いてあったんですよ。税とか取りにくいからやめさせたかったんでしょうね。

拙攻:
横浜にもけっこう最近まで、ギリギリ粘って船型のホテルを営んでた人がいたらしいんですよ。2000年代入るまではいたような。
でもやっぱそれも不法占拠だということでなくなってしまって。

まこ:
僕のおじいちゃんが仁徳天皇陵の近くの出身なんですけど、わりと最近までお堀で勝手に釣り堀やってる人がいたって聞きました。

石川:
釣りをしてるんじゃなくて、釣り堀を経営してるってこと?

まこ:
そう。

石川:
(笑)釣り堀はすごいな。さっきの水上生活とかホテルとかは一応自分の 船を持ってるわけじゃないですか。古墳のお堀はそれすらないから。

まこ:
勝手ですよね(笑)

拙攻:
いま大阪って、「水都」っていうことを打ち出そうとしてるんです。
観光資源になってない水路をもっとうまく使っていこうっていう動きがあって。

うちの近所のちっちゃい川でもイベントが開催されたりしてるんですけど、それを主催してるNPO法人の方にナローボートが好きなんですって言ったら、この著者の名前が出てきました。「ナローボート知ってるんですか」って言われて、いや1冊本読んだだけなんですけどって言ったら、「秋山(岳志)さんですか」って。

石川:
ナローボートといえばこの人、って感じなんだ。

拙攻:
そのイベントにもナローボート入れてくださいって言ったら、それはかなりハードルが高いですねって。

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29ページより引用

 

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モンゴルで車が沈む話

まこ:
勝手にやっていきたいですね。なんか。

こーだい:
勝手にやりたいですね。撤去されるまでの間でいいから。ゲリラ的に。

まこ:
浮かんでるだけですもんね。船は。

拙攻:
やっぱりあれですね、人類は水辺があると攻めたくなる。

石川:
陸ってだいたい建物とかで埋まってるじゃないですか。水上って空いてるから。「よしここ入ろう!」って思うんでしょうね。

まこ:
狭い狭いっていろんなとこで思い続けて、ぱっと川を見たら「ここ広いやん!」って。

拙攻:
広大な土地のあるモンゴル人に感想を聞いてみたいですね。水路ってどう思う?って。

まこ:
僕モンゴルよく行くんですけど、(陸地が)海みたいやなって思うんです。ランドルーザー乗るんですけど、あれもまさに陸の(ランド)クルーザーだし。

拙攻:
結局、定住できる場所との相対的な関係で、草原の中に町がぽつぽつってあったら、それは島みたいなものですよね。

まこ:
モンゴルって寒いから冬になると川が凍るんですよ。 そうすると、みんなその上を近道として車でバンバン通るんです。

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琵琶湖の4倍くらいある、モンゴルのフブスグル湖。冬季にはぜんぶ凍るらしい。(撮影:まこまこまこっちゃん)

石川:
徒歩じゃなくて車で?

まこ:
車で。
当然そのうち氷は溶けるじゃないですか。春先にギリギリ攻めすぎて、沈むんですよ(笑)
で、最近モンゴルのニュースで、「なんとか港に眠る何百台の車をこんど全部引き上げます」って。

石川:
ははは

まこ:
そういうことをしてるっぽいですね。もう水上生活の話でもなんでもないですけど。

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