まずは月餅さんが書いた記事をご覧ください
撮影日3日前の話
月餅さんがTwitterで「3日の土曜日の朝早くにケンタッキーに行く人がいない」と嘆いていたのを見た。
ライターの企画会議でも言っていた「ケンタッキーフライドチキンは開店して直後に食べるとおいしいらしい」という噂を検証する記事を書くんだなーと思っていた。
予定を見ると空いていたので「ケンタッキーに行けます!」とメッセージを送った。
この日、ものすごくお腹が減っていたので、絶対に行きたいと思い、連絡をした。
フライドチキンなんて想像しただけでもおいしいのに、それがいつもよりもおいしいフライドチキンを食べられる。しかも、書かなくていい。ほら、書くのって大変じゃん。
しかし前日に台風の影響で雨や風が強くなるらしいことが発覚した。しかし、ケンタッキーを食べたいおれの気持ちは台風なんかに止められはしない。
気を遣って「大変そうなので江ノ島さんの地元のケンタッキーにしましょう!」言われたが、私が自分の地元よりもあまり知らないところに行きたいので、月餅さんの地元にあるケンタッキーに行くことになった。
「本当に無理しないでください」と気をつかってくれたが、「どんな手段を使ってもいきます」と伝えた。
そして、開店時間の30分前に集合し、お店の前で撮影をしてから入ろうという話になった。そして問題の当日を迎えた。
問題の当日
今回の記事は遅れたら致命的だなと思ったので、かなり早めに家をだた。しかし、雨は降っているが、風は弱く電車が遅れることなくスムーズに到着し、開店時間の10:00である50分前に到着した。
ヒマなので外観や中の様子を撮影して時間を過ごす。
昨日夜から何も食べておらずお腹がペコペコではあるが、最高のフライドチキンを食べることができるのだ。早く食べたい。トランペットを買う少年のように店内をながめていた。
そして、時計を見ると9:30になった。しかし、月餅さんが来ない。でも「9:30ぐらいで」と言ったので、10分ぐらいは許容範囲だよなーと思いながらお店の前をぶらぶらする。
ぶらぶらしていると、おじさんがまだ空いてないケンタッキーに入ろうとしていたので、「オープン直後のケンタッキーを求めし者か?」となったが、普通に空いていると思って入ろうとしてしまったらしい。おちゃめ。
9:45になりチキンが並び始めた
開店15分前。とうとうチキンが並び始めた。しかし、月餅さんが来ない。どうした!?
最近、月餅さんが忙しいというのを聞いていた。本業が忙しく、原稿を書く時間が取れないようだった。怖い、もしかしたら家で倒れているってことないか。
不安になってくるといろんなことを考えてしまう。撮影日と集合場所を間違えていないか? 実は私の地元のケンタッキーで撮影することになっていて、ここじゃない土地のケンタッキーで月餅さんが待っているのではないか?
不安だ。何か見落としている?本当は違う場所で月餅さんが待っているのか?そわそわして水を買った。水を飲んだら喉からものすごい音がなった。ぐおってなった。のどに怪獣がいる。
9:50になっても来なくてテンションが上がる
「開店時間前にお店の前で待っている様子の写真を撮りましょう!」と言っていたが、もう開店しようとしている。
気持ちはかなり焦っており、月餅さんに「チキンが並んでいますよ!」「あと10分で開いちゃいますよ!」「月餅さん!月餅さん!!」と焦らせるようなチャットを送る。
今思えば、そんなことをするなよと思うが、この状況にテンションが上がってしまったから。
ただ、心のどこかで(これ、撮れ高だな)と思っていた。自分が書くならこの状況をぜったいに書くと思う。月餅さんの遅れている様子と私が待っている様子を交互に入れた記事になる。
開店したのでひとりで入る
開店してしまったが、月餅さんが来ない。
どうしよう、月餅さんがいなくても一応、どんな味なのを確かめておいたほうがいいのか、もしくは帰ってまた予定を合わせて来たほうがいいのか、悩んだが開店直後のフライドチキンに興味があったので、食べてみることにした。
入ろうとしたら、近くにいたおじさんもケンタッキーを食べたいのか、おじさんも入ろうとしていて、同時に入店した。
「おれ、この人と撮影するのか?」と一瞬思ったが、お持ち帰りの人だった。2人で食べている姿を月餅さんに送りたかったがその夢はかなわなかったな。
検証のためにはフライドチキンだけを買ったほうがいいと思う。なので、最初、チキン2ピースだけにしようと思ったが、気づいたらチキンとツイスター、ポテトとビスケットが入ったBOXセットとチキン2ピースを注文していた。空腹ってこわいな。
受け取ったら急いで席に座って開店直後のチキンを食べてみる。はたして違いはあるのか、また食べているうちに月餅さんは来るのか。
まず衣のサクサク感が違う。普段食べるフライドチキンの衣がしっとりとしているが、できたては皮がパリパリで、肉もプリプリしている。
肉の食感は部位によるかもしれないが、今回当たりかもしれない。
普段食べているチキンの3倍おいしい。月餅さんにも食べてほしかった。というか、月餅さん大丈夫か。
「おいしいなー10時にケンタッキーで食べるのありだなー」と思っていたらスマホが鳴った。電話である。電話なんて仕事の人からしかかかってこないのでビビった。昨日台風の影響で東京は停電になったと聞いたが、それで会社のネットワーク機器が壊れたか? 土曜日に会社、行きたくないと思いながら画面を見たら月餅さんだった。
月餅さんがやってきた
電話に出た直後「本当にごめんなさい………」とかなり申し訳ない感じが伝わってくる。「いや、本当に大丈夫ですよ」と伝える。
なぜなら、この状況があまりにも撮れ高があるなーと思っていたから。あと、この記事で自分も寝坊して2時間遅刻したことがあるから。
「どうします?月餅さん、来てできたてじゃないチキンを食べておきます?」と言うと「もう急いでいきます!本当に、本当にごめんなさい」と言って互いに電話を切った。
フライドチキンを食べて、ドリンクを飲んでひと息ついていた。ふと外を見たら全速力で走る人が、月餅さんだった。
目が合った瞬間「本当にすみません!」と謝罪をされた。土下座をする勢いがあったが「大丈夫ですよ、めちゃくちゃヒマだったので」と伝えた。
それでも月餅さんは謝っている。これ、周りの人に変な目で見られないか?と思ったので、「じゃあ外で写真撮りましょうか」と言って外に出た。
「4ピースパックだとお得なのでこれにしましょう。多かったらぼくが食べるので」と言って4ピースパックを買ってもらう。
「遅れてきたのに炭酸飲むんだ、と思いますよね、すみません…」
「遅刻してくせに甘いもの頼むんだって感じですよね」と注文しながら常に卑屈になっている。そんなに卑屈にならないでほしい。かける言葉のボキャブラリーが「大丈夫ですよ!」しかなかったので、今後は増やしていきたいと思った。
「本当にごめんなさい!」「人生でこんな遅刻したのはじめてで、」「スマホのアラームがなったみたいなんですけど全然気がつかなくて」と申し訳なさが伝わってくる。でも、こっちは人の遅刻で興奮をしている。ぜったい面白くなるもんな。
おいしそうに食べるで定評のある月餅さんが、申し訳なさそうにチキンを食べていて、なんかがんばれと思った。
あまりにも落ち込みすぎているので、何かなぐさめなくては。「自分も遅刻して迷惑をかけた記事があるんですよ」と伝えたり、「こういうのを全部含めて書けばいいんじゃないんですか? 遅刻したときの状況とか、心情、行動とかを写真に撮ったりして、それを入れたら展開があって他にない記事で面白いと思うんですよ」と先輩風を吹かせたアドバイスをする。
「でもなー、余談が多い記事よりも情報がある記事の方がウケますからねー。今日は、一般的なフライドチキンの味を紹介する感じにして、明日もう一回きて、開店直後のフライドチキンを食べたら比較ができて書きやすいし、わかりやすいかもしれないですね」
3時間ぐらい会話をして、この日は解散した。どんな記事になるのか楽しみな撮影だった。あと、よく数えたらこの日、5ピースのチキンを食べたことに気づいた。そんなに食べられるものなかと思って、ケンタッキーの食べ放題に行きたいと強く願った。
昔、南町田のグランペリーパークにケンタッキーの食べ放題があり、そこは東急が運営していると聞いたので、確認をしてもらったら人気がありすぎて(当時)とやんわり断られたのをいまだに根に持っています。
翌日、開店直後のフライドチキンを食べられたようだった
次の日、私は行けなかったが、ちゃんと開店直後のケンタッキーフライドチキンを食べることができたようで月餅さんから「パリパリ感が違うしリブのパサパサしたところもめちゃくちゃジューシーでした……遅刻しないとこんなにおいしいんですね」とメッセージが着た。
その様子をまとめた記事はこちらだ。
こういう裏があった記事だった。遅刻したことを省いたほうが記事として無駄な情報がなくて読みやすい。これで正解だったかもしれないなと思った。あと、構成がうまいよな。遅刻したけど。