厚揚げが、サンドイッチの具に見えて
好物のひとつに「厚揚げ」があります。フライパンやトースターでこんがり焼いて醤油をかけ、あれば薬味なんかをのせてやったら、この上ない酒のつまみになる。
ところがある日、スーパーで厚揚げを見ていたら、なぜか突然それが「サンドイッチの具」に見えたんですよね。
理由はわかりません。酔っぱらっていたのか、そういうめぐりあわせだったのか、もしくは、我が家でよく買っている小さめサイズのパン、タカキベーカリーの「しっとり豆乳ブレッド」と大きさがちょうど同じくらいだったから、脳内でそこが繋がったのかもしれない。
が、こういう検証に深い理由なんて不要でしょう。とにかく「この厚揚げ、パンに挟んで食べたい!」と、思ってしまったんです。
……やってみてもいいでしょうか?
まぁ、だめだと言われてもやるんですが。
パンに挟むにあたり、厚揚げって、中心部は無味に近い豆腐ゾーンですよね。なので、味はしっかりと濃いめにしておきたい。照り焼き風なんていいんじゃないかな。そこで家にあった万能調味料、エバラ「やきとりのたれ」で味つけしてみようと思います。
う〜ん、うまそう。最高に酒に合いそう。あわよくばこのまま食べてしまいたい。しかし今日は、このこってり味の厚揚げを、
あらためて、なんでこんなものが目の前にあるのか、自分でもよくわかっていません。が、完成したことだけは間違いない。
じゃあ、いいっすかね、いかせてもらっちゃって? いっただっきま〜す!
もぐもぐもぐ……ん? え? あれ?
皆様に今読んでいただいているのは、インターネット上に有象無象ある記事のたったひとつではあります。が、お願いだから信じていただきたい。これが、びっくりするくらいうまい! 想像をはるかに超えて。
事前の予想としては、やっぱり中心部の味が薄いから、ちょっと物足りなさはあるんじゃないかな? と思っていたんです。ところが、照り焼き風にしたのも良かったのでしょう。きっちりと満足感がある。それでいて重くない。
京都の玉子サンドって、崩したゆで玉子とマヨネーズを混ぜたものではなく、だし巻き風の玉子焼きをそのまま挟んだスタイルが多いんですよね。それの、ものすご〜く上品なバージョンというか。
いやいやいや、すでに大好物になってしまいました。厚揚げサンドイッチ。
毎日食べたいカツサンド
ではここからは、ちょっとアレンジバージョンの厚揚げサンドイッチを作っていってみましょう。
まっさきに思いついたのが、カツサンド風。
一石二鳥真っ茶色。
で、
これをサンドイッチにすれば、
これがもう!
厚揚げの皮のカリカリ感と、キャベツのしゃきしゃき。こんがりとバターの香るパンと、濃いソースの味。食べてみると、5割、いや6割くらいはカツサンドなんですよ! しかも、あっさりしていて胃もたれしない、不思議な不思議なカツサンド。
むしろ、40代もなかばになって日常的に脂っこいものをとれなくなってきた自分には、本当のとんかつサンドよりいいかもしれない。代替品としてがまんして食べるのではなく、ふだんの朝食やランチに食べたい、文句のない美味しさです。僕はなんで今まで、厚揚げをサンドイッチにしてこなかったんだろうか!
厚揚げ煮がこんなにも……
この時点で完全に確信しました。厚揚げサンドイッチ、どう作ってもうまい。というわけでここからは、さらに思いつくまま、いくつかのバリエーションを作ってみようと思います。
先日、お豆腐専門のチェーン店「三代目茂蔵」へ行ったら、調理済みの厚揚げ商品が何種類か販売されていました。それを購入。
特製のつゆで煮込まれ、そのまま食べてもうまい一品。このひとつを縦にカットしてパンに挟んだ、ホットドッグ風(ぜんぜんホットじゃないけど)なんてどうでしょう。
あ〜、これはさすがにネタに走りすぎでしょうか。見た目はおもしろいけど、ひと口食べた瞬間に、食べもので遊んでしまったことを後悔してしまいそうな。
とはいえ、作ってしまったからには食べないわけにはいきません。いざ、もぐもぐもぐ……。
え〜っ! うんまぁ〜っ!!!
じゅわっとジューシーな厚揚げと、ふわふわで甘いパンの味わいが、奇跡的とも言えるハーモニーを奏でていますよ。けど、食べたことのない人に対してなんて説明していいのかわからない。和風の……ホットドッグではないし……甘くてしょっぱくてめちゃくちゃ美味しい惣菜パン。
ベースがシンプルなので、ケチャップやマスタードも合いそうな気がするし、柚子胡椒やわさびだってなくはない気がする、可能性の宝庫。そして作るのが簡単すぎる。
出そうかな……店。