那珂湊まであんこうを買いに行く
あんこうの吊るし切りをするには、丸のままのあんこうが一匹必要だ。すでに捌かれたあんこうやパック詰めの肝だったら近所のスーパーでも売っているが、さすがにあんこう丸ごとでは売っていない。自分で捕まえられれば一番いいのだが、残念ながら底引き網漁師の知り合いはいない。
あんこうといえば常磐名物。そこで茨城までいけば捌かれる前のあんこうが売っているかなと、那珂湊おさかな市場というところまでやってきた。
このおさかな市場は完全に観光客向けの市場なので、バスで来ている団体客や家族連れが多く、築地みたいに気を抜くとターレーに轢かれるような緊張感はない。
あくまで観光客相手なので、売られているのはマグロやタイ、イカにサンマなどの普通の魚が多いのだが、それらに混ざって、市場にテンションがあがったお父さんがうっかり買ってしまい、帰ってから持て余しそうな魚も混ざっていて楽しい。
丸のあんこうが売っていたけど結構高い
このように市場内にはいろいろと興味深い魚介類が並んではいるのだが、本日の目的はあくまであんこう。見ているだけでも楽しい市場なのだが、買いたいものがあると市場巡りはぐっと楽しくなるよね。
さすがに常磐だけあってどの店もあんこうを並べているのだが、シーズンがちょっと遅いこともあり(あんこうの季節は梅の花が咲くまでといわれているらしいよ)、残念ながら切り身や肝のみがほとんど。
店の外に小ぶりながら丸のままで売っているなと思ったら、これはあんこうの干物だった。さすが常磐、あんこうの干物なんて初めて見た。
捌かれていないあんこうを探して市場内を隅々うろついていると、店の一番奥にこっそりと置かれているのを発見。しかも常磐産の良型だ。
あんこう一匹一万円前後。
あんこうの相場というものがぜんぜんわからないのだが、さすがは常磐産のあんこうだけあって、市場価格といってもお安くはない。吊るし切りをやりたいがために買うにはハードルの高いお値段だ。
いやこの大きさなら10人前は鍋ができる。これを10人で食べれば一人千円なのでそれほど高くもないのだが、今から急に10人も集めるのは無理だし、そこまで事を大袈裟にしておいて吊るし切りを失敗したら、私が吊るし上げを食ってしまう。うまいこといってみた。
手頃なあんこうを発見
一万円のあんこうはとりあえず心の中でキープしておき、ほかの店を見てまわっていると、スーパーなどにはあまり並ばないような魚が安く並んでいるエリアで、お手ごろ価格の小型あんこうを発見。
大きさはでかいウシガエルくらいとあんこうとしては小型だが、ちゃんと地元産で千円からある。この値段だったらたとえ吊るし切りに失敗してもダメージは小さいし、我が家の夕飯にちょうどいい量だ。
小型の上に丸のままという、「誰が買うんだこのあんこう」と思われそうな微妙な商品なのかもしれなが、私にとっては願ったりかなったり。「初めてあんこうの吊るし切りをする方へ!」というポップを添えて売ってほしいと思うほど、こちらの要望にマッチした商品である。
ちなみにほとんど同じ大きさのあんこうが1000円と2100円で売られていたが、値段の差は肝の大きさの違いだそうです。