結集! 掘田穴五郎商会
穴掘りイベントを主催したのは「堀田穴五郎商会」。発起人・堀田穴五郎さんを中心とした、人力で穴を掘る集まりである。今回が初めての企画らしい。
謎は多いがとにかく現地に向かってみると、同じく謎の告知に吸い寄せられた人たちが集まってきていた。
みんな「穴を掘りに来たんですが……」と言いながら、心なしか不安そうな表情でやってくる。わたしも同じ気持ちです。
しかし、とにかく予定の時間になった。会長・堀田穴五郎さんが、名作絵本「あな」(作:谷川俊太郎、絵:和田誠、福音館書店)を読み上げて、開会が宣言される。
「にちようびの あさ、なにも することがなかったので、ひろしは あなを ほりはじめた」。
今日の集まりも、趣旨はこれと同じである。穴を掘って建物の基礎に使うとか、そういう目的は一切ないらしい。
そう、意味などいらなかったのだ。週末の朝、なにもすることがない人が集まっただけだ。
とにかく掘るのだ。穴を!
まずは自分の力を知る
いよいよ掘り始めるわけだが、われわれ一同、みんな穴掘り初心者である。まずは自分の力を知ろう。無理してケガをしてもいやだし。
というわけで、最初の1時間は個人プレーに徹してみる。とにかく土を掘ってみて、土のう袋に詰めていきます。
地面にスコップをいれる。地面がひび割れる。地面が持ち上がる。全く動かないと思い込んでいた地面が、自分の力によってどんどん形を変えていく。それがおもしろくて、つい我を忘れて掘ってしまうのだ。
参加メンバーも、不安な表情はすでにない。掘るって、それだけですでに快感があるんだな。
ちなみに掘り出した土の重さを測ってみると、ひと袋が15〜25キロくらいだ。
普段は10キロ以上のものを持つことってあんまりないけど(米袋くらいか)、不思議とぜんぜん疲れない。むしろ夢中になっていく!
我を忘れて掘りまくり、あっというまに1時間が経過した。
計測した重量を足してみると、個人記録は163キロ。スコアを出すと人と比べたくなりそうなものだけど、なぜか今は達成感だけがある。
自分の力だけで163キロの物質を移動させたのだ。なんか元気が出てきたぞ。筋肉は疲労しているけど、それすら誇らしい。1時間ぶっ通しでなにかに没頭したのも久しぶりな気がする。