ホヤ養殖場見学でとれたてホヤホヤ(デジタルリマスター)

季節によって旬の食べ物というのはいろいろあるが、夏にうまくなる食べ物といえば、やっぱりホヤである。ホヤだといったらホヤなのだ。ホヤ。
三陸地方や北海道以外ではあまり食べられていないホヤなのだが、以前仙台で食べたホヤのうまさに驚いて以来、居酒屋などで見かけるたびに注文している。好き嫌いが別れる味だとは思うが、これがクセになる味なのだ。
東京の居酒屋で食べるホヤもうまいが、どうせならとれたてのホヤを一度食べてみたい。きっと別世界の味が待っているはずだ。よし、新鮮なホヤを求めて、ホヤ養殖場までいってこよう。
※2008年7月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
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宮城県の牡鹿半島までいってきた
ホヤといえば宮城県ということで、宮城県漁業協同組合に取材をさせてくれるホヤ養殖場を問い合わせたところ、牡鹿半島の鮫浦湾に面した寄磯という場所でホヤの養殖をされているサイトウさんを紹介していただいた。なんでも船に乗せてもらって、ホヤ水揚げの様子を見せてもらえるそうだ。すばらしい。
まずは寄磯の手前、女川魚市場で今回のツアーをコーディネイトしていただいた宮城県漁協経済事業部にお勤めの阿部さんと合流し、そこから寄磯へ移動。そして前泊する民宿にてサイトウさんを交えての打ち合わせ。
寄磯までは東京から車で六時間の長旅であるが、ホヤのためならエンヤコラだ。

わざわざ取材の前日からここ寄磯にきたのは、漁の時間がとても早いと聞いと阿部さんから聞いていたからなのだが、その早さは次元が違った。
玉置 明日は何時に出船ですか?
サイトウ 1時と2時半の2回だね。
玉置 それって…午後じゃないですよね。
サイトウ うん。夜中だね。
玉置 なるほど。
ホヤは鮮度が命。朝の出荷に合わせると、養殖場からホヤをとってくるのはどうしても夜中になってしまうのだそうだ。
サイトウ あと天気予報だと、明け方までは雨だね。
玉置 うわあ。
サイトウ なので、朝5時に来てください。取材用に船を出しますから。その頃ならもう明るいし、雨も上がっているでしょう。
玉置 あ、ちょっと待ってください。今、人の優しさに触れて目頭が熱くなってきました。
唐突な押しかけ取材に対して、そのために船を出してくれるサイトウさん、休日にもかかわらずわざわざ一緒に寄磯まできていただいた漁協の阿部さん。まだホヤを食べていないけれど、ここのホヤはうまいと、もう確信しました。
漁師小屋でホヤとご対面
取材本番当日、コケコッコーというニワトリの泣き声ではなく、ホーホケキョとウグイスの声で朝4時に目を覚ます。
雨は天気予報通りに上がってくれたようだ。

寝癖頭で約束の朝五時に待ち合わせ場所の小屋にいくと、10メートル離れたところからすでにホヤの香りが立ちこめている。朝ご飯を食べていない胃がグルグルと勝手に活動をはじめだして困る。

小屋の前にはとれたてのホヤが山積みにされており、中ではサイトウさん家族が総出で加工用のホヤを剥いていた。

ホヤが「海のパイナップル」ともいわれるだけあって、漁師小屋というよりは果物工場みたいな見た目なのだが、そこに充満する香りは紛れもなく磯。本物の磯よりもずっと爽やかな磯の香り。

海のパイナップルは、その皮を剥くと、よく熟れたマンゴーみたいな、海産物とは思えないような鮮やかな黄色である。とれたて剥きたてのホヤは、果物以上に瑞々しい。
でもその香りはやっぱり磯の香りなのだが。
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