地球感謝の鐘に宗教の真髄をみる
先にも触れたが、サンメッセ日南のてっぺんに地球感謝の鐘というものがある。
これは神道・仏教・キリスト教をはじめとした17の宗教団体がお金を出し合って建立したもので、各団体の代表レベルの人物が遺したメッセージが刻まれている。名ばかりの宗教施設よりよっぽど宗教をやっている。
そして柱のような装飾をくぐりぬけた最奥部に鐘があるのだが、この鐘が驚くべき形態を取っていたのである。
100玉を入れたらイキールくんが電動で動いて鐘を鳴らすのだ。
この凄まじい聖俗のバランス感覚よ。ああ、人を笑顔にせずしてなにが信仰だろうか。この宗教的な価値がわかる道を進んできてよかったねと、友人と喜びあった。世界を見回しても稀な友情の深めかたである。
調べたところによると、このサンメッセ日南の母体は宗教法人ではないものの、明治時代に生きた宗教家・実業家であった西田天香氏が創始した一灯園という団体であるらしい。
モアイが建立されたのも、イースター島でモアイの修復作業に従事した企業が一灯園と縁が深かったからである。もともとこの場所は一灯園が放牧を行う場だった。
西田天香氏は宗教的生活を重んじる一方で、特定の宗教を創始したわけではない。あらゆる宗教のなかにある真髄を礼拝したという。わたしは個人的にその考え方がとても好きだ。
帰り際、売店に寄った。西田天香氏に関する書籍がぜったいにあるはずだと踏んだのである。
モアイや焼酎にまぎれて売られていたので買った。
そうして、おれたちほどここをしっかり味わったやつなんていないぜと自信満々でサンメッセ日南をあとにしたのだった。

