特集 2020年10月4日

林きたに林がきた(デジタルリマスター版)

家でぼんやりしているときはたいてい地図を眺めている。航空写真をずーっとスクロールさせていると空を飛んでいるように見える、ことはない。

そして埼玉県所沢市に気になる地名を見つけたのだ。

2008年10月に掲載された記事の写真画像を大きくして再掲載しました。

1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと新宿区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

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僕を呼んでいる

目を疑うような地名

「林きた」だ。林が来た。
たぶんここが林という地名で、その北という意味だとは思うのだけど、なぜひらがななんだろう。やっぱり「来た」なのか。もしかして「着た」か?なにを? 服か。 じゃあおれ裸で行くのか。ここに? それはきついな。
これは行かなければならない。「着た」にしろ「来た」にしろ、まだ行ったことがない場所が過去形で呼ばれているなんておかしい。あらかじめ決められているみたいじゃないか。
「林きた」の最寄り駅は西武池袋線の狭山ヶ丘駅だ。

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そして僕は西武池袋線に飛び乗った

なぜ焼きそばの写真なのか。西武線の写真を撮っておくべきだったのだが、撮ってなかったのだ。これは西武線に乗る前に池袋駅のスナックコーナーで食べた焼きそばだ。時間がなかったために5分で食べて西武線に飛び乗ったので「飛び乗った」とあながち遠いわけではないことでご了解願いたい。
池袋から約30分、ここが林だ
そしてここが「林きた」の交差点である。

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まんなかにyoutubeの再生ボタンみたいなのがあるけど静止画です(再生ボタンはゴミ処理場への案内図)
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どっちを見ても僕のことを言っている
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行動があらかじめ書いてある

見回してみるとすべての信号に「林きた」「林きた」と書いてある。思った以上に面白い。行かなければと思う反面、まあネタにはちょうどいいかなというやらしい気持ちもあったのだが、予想以上の興奮だ。
信号が「林きた」「林きた…」「ほんとにきた」「林だ」とつぶやいているように見えるのだ。
カイジやアカギでいう「ざわざわ」のようだ。

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「林がきた…」
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「きた…」
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「ほんとにきたよ…」
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林きた に きた林

全国54万人の林さんはここに来ると楽しいです

林きたにきてよかった。林の姓は全国で約54万人いるらしいので、全国の林さんはここに来るとちょっとしたカタルシスが得られるだろう。不思議な感覚である。
逆を言えば、林さんにしかこのページは意味をなさないんじゃないかという気もする。

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見上げると信号が僕のことを話してる

ここは地名が林です

「林きた」の表記に興奮して説明が遅くなってしまったが、ここは「所沢市林」という地名なのである。だから周囲は「林センター」や「林小学校」など林だらけだ。37年も林を名乗っていながらいまだに街で「ハヤシライス」という文字を見るとピクっとしてしまう僕としてはピクピクしっぱなしの土地である。

埼玉県所沢市林 という地名です。

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林という交差点もあります
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林一丁目
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林二丁目!イエー
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林 ニ イコウ。うそ、語呂合わせになってません。
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バスだって林小から林だ。おれtoおれ。でも1日に5本。
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林交差点を渡る林の子ら。車に気をつけるんだぞ
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地図のうえでも林はきている

親戚どうしだと、「川越のおじさん」や「練馬の雄司です(電話かけたときとか)」など地名をつけて呼ぶことも多いだろう。しかし僕がここに住んでいると「林のおじさん」か「林の雄司です」になるのだろうか。「林の雄司」って藤原鎌足(ふじわらのかまたり)みたいでかっこいい。

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牛乳は森だった。くやしい(1本多いから)。
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ついに拝まれる

そして林の土地には「林神社」があった。拝まれたいとは思ってなかったが、いざ神社を目の前にするといい気分である。おれ神社。林神社は武蔵野の面影残すシンプル&ワイルドな神社であった。アブみたいなでかい虫がくちびるにぶつかってきた。林なのに。

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じゃーん
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カメラを持ちながらアブを追い払ったらシャッターを押してしまった

境内には林神社の由来が書いてあった。
> 武蔵野の林が続くことから「林神社」
………。シンプルな理由である。しかしそのあとの祭の説明は林の自尊心をくすぐる面白さだった。
> 足踊り 両足に面と着物をつけ寝て手足で踊る
> 祭ばやし 林はやし連
> 花火大会 林の花火
足踊りも楽しそうだが、林はやし連もすごい名前だ。林ギャグだと思う。

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林の花火は見てみたい。

 


GoTo 林

同じ名前に惹かれて訪れた知らない土地だが、最後は寺社仏閣めぐりの渋い老人のような気分になった。武蔵野っていいものですな。林という地名がなければ来なかった土地である。ありがとう、林。

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たそがれの林でたそがれる林

 

 

2020年の林から

この林きた探訪はやたらと楽しかった記憶がある。自分だけが楽しい場所にひとりで行く。ぜいたくな旅である。

デジタルリマスターにあたり、前回の記事には使ってない林の写真を加えた。林増量バージョンである。
そして記事の冒頭のほうにあるYouTubeの再生ボタンみたいな看板にヒントを得て、YouTube再生ボタンのクリアファイルを作った

所沢のほかにも、横須賀と富山に林という地名がある。富山のほうは祖父の出身地なのでガチである。はやく行かねば。

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