「脇道」を探す
岡田 私は現実に適応しすぎてきたかも。学生時代も「ここがテスト範囲です」って言われたら、その範囲をくまなく勉強して、評価されるように生きてきたタイプで。
林 僕もそうですよ。中学校まではちゃんと勉強してて。
それで、偏差値の高い高校に行ったら、みんなすげえ勉強ができたので「勉強ができる だけだとおれはアピールできないぞ、違うものでアピールしないと」と思って。そこでちょっとひねくれたところはあります。
就職した後も、最初の会社で営業職だったんですが、わりと評価されて。でも確かに、会社のメインの事業じゃないところで目立ってやろうみたいな感じはありましたね。
出向して、そこでもまあまあ評価されてたんだけど、ニフティだと接続事業とかメールサービスがメインの固い仕事だったんですが、そっちじゃないっていう感じは最初からありました。変わった仕事で目立って評価されて。
岡田 メインではなく“脇”を探す視線ですね。
そうですね。どこが脇かなみたいな。真面目に行くんじゃなくて、デイリーポータルみたいなのをスポッと作って評価されたい。
岡田 そこに壁があるな、じゃあ正面から登るか、みたいなタイプの人にはその脇が見えなくて、無理をしちゃうんですよね。林さんみたいな人に「あそこに脇道があるからそっちから回り込めばいい」と言われると、「確かにあるわ!」と気づくんですが、自分では見えない。
林 「四次元アリ」みたいな。
岡田 四次元アリ?
林 次元を説明するエピソードに出てくるアリです。目の前に壁があると、二次元アリはそこから進めなくなるんですが、三次元アリは高さを越えられるので壁を乗り越えられる。同じように四次元アリは時間を越えられるので、壁がない時代に移動して壁を越えられる、という。
イライラを「面白い」と受け入れる
岡田 次元を超えるのは難しそうですが……現実の“タガ”のようなものを一つ外せるといいのかもしれません。
そういう視点で、トルーさんの「レゴ踏み比べ」企画はすばらしいと思いました。私もレゴを踏むことがあるんですが、痛いだけで「踏み比べよう」って思わない。でも確かに、どれが一番痛いかは気になる。
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林 割と素直な企画かなと思ったんですけど。
岡田 私なら「うわ、痛い! 片付けて、子どもを叱らなきゃ」で終わる。現実のイライラがタガになってしまう。
林 レゴを踏むとイラッとするんですけど、イラッとするだけでは損だから、「面白い」と受け入れるんですかね。
岡田 なるほど。イライラをそのままにするんじゃなくて、「いや、面白いじゃん」と発想を転換してあえて挑んでみると、共感を呼べる企画になるかもしれませんね。
キャラクターが出ているといい
林 もうちょい素直なこともやろうとしていて。江戸東京たてもの園とか、ゴルフを見に行こうと思っていて。ゴルフ観戦のチケットのもぎりの人って、どこにいるのかな、とか。ゲートとか、あるんですよねきっと。
変わったことをしなくても、キャラクターが出ている記事ならいいんですよね。週1回とか、たくさん書いていれば、人で押せる。
おなじみのライターは読み手にとって面白くなっていく。軸は「好かれる」「覚えてもらう」こと。覚えてもらえると、多少企画が変でも読んでもらえて、読者に甘えられます。江ノ島くんとかは、“毎週の魔法”が使えるんです。単純接触効果です。
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接触回数を増やすには、他のライターの記事に出てきてもいいんですよね。藤原君とか、そんなにたくさん記事書いてなかったけれど、人の記事によく出て人気でした。
回数を書けない人は、内容で勝負するとか、変わった企画をやるという気の引き方をしないといけないから、ちょっと大変になる。
岡田 今、あらゆるコンテンツが人についている気がしていて。私も2024年になって「顔を出して覚えてもらわないと」と意識するようになりました。
林 おれも顔出し=キャラクターだと思ってたんですけど、最近の若い人って顔を出さないですよね? Adoとか。
岡田 強いキャラクターを表現することができれば、顔面を出す必要があるとは限らないということですね。
林 そうですね。キャラクターは大事だとは思います。