特集 2022年7月20日

この夏、絶対流行るスイーツをバンコクの屋台で発見

スイーツの流行りすたりは激しい。

ちょっと前に流行ったマリトッツォも、最近めっきり聞かなくなった。一般的に浸透したのか、みんな飽きたのか。どちらだろう。

そんななか、バンコクの縁日で見つけた、日本ではあまり見かけないスイーツをいくつか紹介したい。

鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。(動画インタビュー)

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バンコクの縁日にきた

バンコクの目抜き通り、スクンビット通りにあるエカマイ駅。そのすぐ横にあるワットタートトーンという寺院で縁日が行われていた。

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お寺の駐車場が、縁日の会場になっている

縁日の雰囲気は、日本とよく似てはいる。しかし、中に入ってよく観察すると、日本とはまったく違う。やはりここは異国だという思いが強まる。

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目に入るものすべてが異国、あたりまえだけど
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おいしい虫を売っている

おいしい虫の屋台だ。イナゴや、なんらかの蛹などに混じって、エビとカニを売っている。

案内してくれたバンコク在住の若生さんによると、こういった虫の屋台で、エビ・カニも一緒に売っているのはちょっとめずらしいらしい。

日本人は、昆虫を食べる文化を好奇の目で見がちだが、節足動物を食べることにおいては、エビやカニだって同じようなものだと常々思っていたので、この屋台のラインナップには得心がいった。が、今回は食べません。

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オレンジ色が多い寿司の屋台

寿司の屋台もある。寿司と言っても、玉子、カニカマ、カニカマ、エビ、とびっ子、穴子(?)、カニカマ……と、どんだけカニカマ好きなんだというカニカマファナティックな屋台だ。

寿司だけでは飽き足らず、もはやカニカマだけを詰めたパックまで売っている。

しかも、どの寿司にもマヨネーズかソースがすでにかかっており、日本人の思い描く寿司からはすでに遠い。

でも、気持ちはわかる。カニカマおいしいからな……。

見たこと無いスイーツをたくさん買う

で、ここからが本題。この縁日、子供連れの家族も多く、甘いものの屋台もけっこう多い。

まず目についたのがこれ。

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スイーツ感、なし

右の食べ物に至っては、焼けた葉っぱである。これはイサーン地方(タイ東北部)の「カオトムマット」という食べ物らしい。

ぼくがこれに惹かれたのは、美味しそうだからとかではなく、巻いてある紙が欲しかったからだ。

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なぜ器なのか……

旅先で見つけたいい感じの紙ゴミをたくさん集めているので、こういったどうでもよさげなものも、うっかり買ってしまうことが多い。ひと束40バーツ(150円)ほどで購入。

続いて購入したのは、これ。

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クレープ屋?

クレープと、なんらかのひも状のものを売っている。ひも状のものは、砂糖。そして、その砂糖のひもをクレープに包んで食べる。というスイーツらしい。

「ロティサイマイ」というスイーツだ。なんだかよくわからないけれど、これも購入。砂糖のひもとクレープ1セットで40バーツ

続いてはダイフク。大福もちだ。

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ちょっと隠れているけれど下の方に「DAIFUKU」と表記してある

若生さんによると、大福もちは、最近よくみかけるらしい。日本で見かける大福とそんなにかわらないけれど、フレーバーに一癖あるものがいくつかあった。ドリアン、オバルチン(ミロみたいな飲み物)なども惹かれたが、塩漬け卵、パンダンリーフ、タロイモを購入。一個10バーツ。

続いて購入したスイーツはこれ。

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野菜のミニチュア

野菜のミニチュア……ではない。「ルークチュップ」というスイーツだ。

形がめちゃくちゃかわいい。ただ、硬いのか、柔らかいのか、どんな食感なのか。全てにおいてわからない。

若生さんも、これは食べたことがないので、名前しかわからないという。

わかりました。買って食べてみましょう。ということで購入。40バーツ。

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蒸す文化から生まれた甘味

では早速、上で買ったスイーツを実際に食べてみたい。

まずは、カオトムマット。焼けたバナナの葉っぱをバリバリ剥くと、中に茶色のベローンとした餅的なものが入っている。これを食べるのだ。

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あくまき感ある

九州でよくみかけるあくまきに近い見た目だが、この野暮ったさに比べて、食べたときの甘さと爽やかさが意外でおもしろい。モチモチした感じだけでなく、ココナッツのシャクシャクした食感とフレーバーもあって、なかなかおいしい。

ココナッツミルクと砂糖で炊いたもち米に、マンゴーを添えて食べるカオニャオマムアンをご存知だろうか。あれを、炊かずに葉っぱに包んで蒸して、マンゴーを添えずに食べる感じと思ってもらえるといいかもしれない。

これ、牛乳と一緒に食べたい。と思ったので、次の日、コンビニで牛乳を買ってきて一緒に食べてみました。想像通りうまかった。

イサーン地方、タイ東北部では、水があまり良くないうえに少なく貴重なので、米などは蒸して食べる文化が発達したという。こういったスイーツもそういう蒸し米文化のひとつなのだろう。

麻ロープのような砂糖がうまい

続いて、ロティサイマイ。

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右の方がヒモ状の砂糖、左がクレープ

この砂糖、どうみても麻ロープにしかみえない。いわゆる綿あめの、綿になる前の状態のものだろうか。

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麻ロープではなく、綿あめです

で、この麻ロープみたいな綿あめをクレープに包んで食べる。

クレープのもっちりとした柔らかさと、綿あめのサクッとした食感がうまくあっている、食べた感じはおもしろい。綿あめは、ほんのりキャラメルの風味もあってうまい。

若生さんによると、ロティサイマイは、アユタヤ(バンコクの北にある古都、東京に対する鎌倉みたいな位置づけの町)の名物料理で、アユタヤに行けばこれを売っている店がけっこうあるらしい。

ちょっと前、ブラック・ピンクのリサが、インスタグラムでロティサイマイの映像をアップしてから、今売上が急上昇している。らしい。

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やっぱりどうみても麻ロープなのよ

これは、マリトッツォに続く流行スイーツになるかもしれない。

なお、クレープの緑色は、パンダンリーフのフレーバーが入っているためだ。パンダンリーフについては次の大福のところですこし詳しく触れるが、パンダンリーフフレーバーはよくわからなかった。

とにかく甘い、大福

続いて、大福を食べてみよう。

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オレンジ色が塩漬け卵、緑がパンダンの葉、紫がタロイモ。です。

緑色の大福は、ロティサイマイのクレープにも使われていたパンダンの葉。いわゆるパンダンリーフと呼ばれるものだ。そもそもパンダンリーフのフレーバーがよくわからないので、なんともいえない。調べると、バニラのような匂いがあるとのことだが、ピンとこず。そして大福は甘い。

紫色の大福のタロイモも、オレンジ色の大福の塩漬け卵も、同じく甘い。

塩漬け卵の方は、核にあたるところに塩っぱい卵風味の餡が入っていた。

いずれも、まずくはない。大福としておいしい。ただ、甘い。牛乳が欲しくなる味だ。

甘さひかえめみたいな味に慣れてしまった我々日本人には2,個、3個と食べるのはすこしきついかもしれない。

大福は、フレーバーの差があまりわからなかったうえ、一緒に飲んでいたペプシコーラの甘さが無くなったので、めちゃくちゃビビった。

甘くないペプシコーラを飲みたいときは、この大福を食べてから飲むといいかもしれない。

意外とうまい、野菜のミニチュア

そして、最後のルークチュップにいきたい。

まずはその造形をじっくり見てほしい。

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これ食べられるの信じられます?

硬いのか柔らかいのか、甘いのかそうじゃないのか。何から何まで謎のルークチュップ。おいしそう、という気持ちよりも先に「かわいい」となってしまう。

ひとつ、食べてみる。

外側のつるんとした食感のものをプチっと噛み切ると、中からコクのあるココナッツ風味の甘い餡がもにょっと出てくる。つまり、これは餡に色をつけて野菜型に造形したものを、寒天でコーティングしたものだ。

これはいい。見た目の可愛さ、おいしさを考えると、ちょっと流行ってもらってもいい気がする。

外側をコーティングしている寒天が、とっても涼しげで、冷やして食べるといいかもしれない。冷やしたものを、ストレートのアイスティーの中に浮かべて食べてみたい。おいしい気がする。

ただ、タピオカミルクティーのように、素人が修行ゼロ日で作れるような、簡単なものではないのが難点かもしれない。

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おいしいんだけど、作るの難しそう

以上、バンコクの縁日で見かけた、見たことのないスイーツを食べ比べてみた。

カオトムマットは、おいしいけれど、バズる感じの見た目ではない。韓流アイドルがインスタグラムにアップしていいねがつくような造形ではない。お盆の時期の仏壇の前に供えてあるとしっくりくる感じである。

一方、ロティサイマイ、ルークチュップなどは、見た目のカラフルさや、かわいさは申し分ない。うまさも、縁日のブーストがかかっているにせよ、工夫次第でけっこう化けそうな気がしないでもない。


外国にくることの楽しさよ

「見たこと無いもの」を見て「なんだこれ」となった時の、自分の常識や知識がぐらぐらとゆさぶられるような驚きは、けっこうな快感でもある。

外国に来ると、縁日の屋台を一周するだけでも「なんだこれ」というのがボロボロ出てきて本当にたのしい。

久々に「そうそう、こんな感じだった」という思いに浸っている。

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