ママチャリがますます好きになりました
なんの前知識もなく参加させてもらった今回のスーパーママチャリグランプリ、終わってみるとあんなに楽しい経験はなかなかできないな、と思います。ただみんな交代で7時間ママチャリを漕いだ、言ってしまえばそれだけのことなのに、富士山、F1コース、凍り付く寒さ、そしてあのメンバー、すべてが揃うとボロいママチャリがスーパーマシンに見えたのでした。
2巡目に入るとメンバーにも疲労がみられるようになってくるが、それと共に経験がもたらす余裕も感じられるようになってきた。1巡目の経験を皆で情報共有する。
・前半の下りはコースを間違えなければノンブレーキでいけるぞ
・登りは意地で漕ぐよりも押して走った方が速いのではないか
・どうでもいいが後半の登りは高低差35メートルあるらしいよ(まじかよそりゃ無理だ)
みんな晴れやかな顔をしていた。あの向かい風と上り坂を一度経験してしまうと、ある種人間ふっきれるのかもしれない。
レースも中盤戦を過ぎたあたりから、トラブルを告げるアナウンスが増えてきた。「**チームの関係者の方はメディカルセンターまでお越しください」。
もうコース上の氷は完全に解けているので普通に考えれば早朝の周回の方が危険なはずなのだが、ドライバーの周回数が増えてきて疲れと油断が出てくる頃なのだろうか。自分のチーム員が予想したペースを過ぎても帰ってこないとメンバー総出で心配した。
そしてまた僕の周回順がまわってくる。
2周目、3周目の周回は最初の一周よりもむしろ楽だったように思う。風はずっと吹き続けていたのだが、力の抜きどころがわかってきたのかもしれない。
それとも無限に続くコーナー地獄にも終わりがあることを知ったからか。同じ思いをしているチーム員が応援してくれるからか。周回の合間にパドックで食べるあたたかいおでんやら肉やらがやたらとおいしかったことも大きな要因だと思う。
こうしてほとんど写真を撮ることもないまま7時間のレースが終わり、コースにはチェッカーフラッグが振られた。
レースを終えたメンバーに待っていたもの、それは最高の達成感と今まで感じたことのないくらいの「良い」疲労感だった。
結果的に参加全チームが完走したということがなにより凄いと思う。順位どうこうよりも大きなアクシデントなくチーム員が全員で走りきったということがうれしかった。会場の人がみんなあの風と坂道を経験したかと思うと誰かれかまわずねぎらいたくなる。
ピットで撤収作業が始まった時には正直解散するのが寂しかった。
なんの前知識もなく参加させてもらった今回のスーパーママチャリグランプリ、終わってみるとあんなに楽しい経験はなかなかできないな、と思います。ただみんな交代で7時間ママチャリを漕いだ、言ってしまえばそれだけのことなのに、富士山、F1コース、凍り付く寒さ、そしてあのメンバー、すべてが揃うとボロいママチャリがスーパーマシンに見えたのでした。
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