日が昇り明るくなるにつれ、パドックに集った人たちの全景が見えるようになってきた。今回のレースには1000台以上のママチャリがエントリーしているのだが、各チームには10人前後のレーサーの他に家族や応援団なんかも一緒に会場入りしているので、合わせるとそれはもう大変な人数となるのだ。
さらにピットからコースを覗くと「すぱーん」と伸びる富士スピードウェイ自慢の1.4㎞のホームストレートが両脇に雪を積もらせて輝いている(凍ってるから)。
これを見て正気でいられる人は今頃家で寝ているはずだ。
着々とレース準備が進む
今回僕が参加させてもらったチームは男性のみで構成されたチーム「NOPANZ」。チーム名に特に意味は無いです、と聞いてはいたが正直少し不安だった(みんなちゃんと穿いてた)。
チームは4名以上12名以下の構成と決められているため人数が多いほど個人の周回数は少なくなる。僕が参加したチームは10人ほどのメンバーだった。
何はともあれまずはラジオ体操から。F1のピットで数千人の人が一斉にラジオ体操をするイベント、といえばそれだけで成り立つような迫力だ。あとラジオ体操って久しぶりにやるとすっかり忘れていて驚くよ。
コースの整備も始まる。セキュリティカーがコースを巡回し、凍結した部分を溶かすために塩化カルシウムをまく。(結局スタート予定の8時には解けきらずに少しスタートが遅れた)。路面が凍っていると恐ろしい事故が多発しそうなので少々の遅れはしかたがないのだ。
正直ママチャリなんだからそんな激しいレース展開はないだろうと思っていたのだが、ラジオ体操の後のチームミーティングで去年同じコースを経験しているキャプテンから「第一コーナーで突っ込むとそのままコース外まで滑っていってもう帰ってこられないだろうから気をつけろ」との注意を受けた。
うおっ!て思って一気に目が覚めた。
ピットではレース車両にICチップを付けたりタイヤの空気圧の調整等が行われていた。我らがチームのマシンはメンバーの私物で、普段コンビニへ行くためだけに所有しているチャリ。去年捨てようと思っていたのだが、レースに持ってくるためだけに取っておいたらしい。つまりまったくスピードレースには適していない、ということだ。
会場が徐々に盛り上がってきた!
スタート時刻が迫るとTスクエアの曲と共にレポーターの現場中継を交えた特別番組が会場に流れる。会場の熱気は倍倍にと上がる。ピットレーンにびしっと並んだマシン(ママチャリ)の模様がオーロラビジョンに映し出されると自分がいま凄いところに立っていることを自覚するのだ。
気温は相変わらず氷点下のはずだが顔が熱くなっていくのがわかった。
とはいえこのレースは基本的に速さを求めるものではなく純粋にママチャリで富士を走ろう!というある意味お祭りのようなイベントなので参加者もそれぞれの方向で楽しんでいる。
もちろん女性や子供を含むチームもたくさんあるし、どう見ても走るのに不利と思われるコスプレのチームもある。
寒さと興奮に震えながらもマシン整備が済み、いよいよスタート時刻が迫ってきた。アナウンスに誘導されスターティンググリッドに1000台強のママチャリが整列していく。
お、レースクイーンが出てきたぞ。すっげー!(氷点下なのにあの格好が)