「おてごろモーニング」と「まんぞくモーニング」
ジョイフルは九州を中心に展開するファミリーレストランで、個人的な話をすれば僕の家から半径20km圏内にある唯一の飲食チェーン店である。365日規則通りに点灯消灯を繰り返す店舗看板、生活圏にあっていつでも気軽に入れる飲食店。まさにメシア、いや、飯屋。
ジョイフルの料理の良さは日常的なおいしさにあると思っている。ギリギリ実家の料理を超えないくらいの、親近感のある味付けがいい。あんまりおいしすぎると普段の食事と差が生まれて日々の食に対する有り難みが目減りするからね。
さて、ジョイフルには大きく分けて2種類のモーニングメニューがある。朝帯の時間だけ提供される「おてごろモーニング」と、24時間いつでも注文できる「まんぞくモーニング」である。
一度確認しておきたいのだが、そもそもモーニングというのはwikipediaによるとモーニングサービスの略で、朝帯の時間にトーストなど特定のメニューを割安で提供するサービスのことである。
そこへきて、24時間提供のモーニング……。
頭のなかにあるモーニングという語の定義が揺らいでしまうが、定義なんぞで腹は膨れないのだ。私は九州男児の不器用かつ謹厳実直なあり方をそこに見るのである。
朝ご飯っぽいメニューにドリンクバーが付いてたらそれは全部モーニング!文句あるやつは二の太刀要らずで即チェスト!あいがとさげもした!と、そんな要領で。
そもそもジョイフルには町中華と括られるメニュー群があるのだ。なんでもありだ。
それで、おてごろモーニングの中ではなんと言っても「ベーコンモーニング」というメニューが気になっている。
税抜き299円でベーコンにサラダ、パンかライスの選べる主食にドリンクバーまで付いている。そんなことってあるのか。これでご飯の大盛りが無料でできたら最強と言って差し支えないだろう。できるのだろうか。
とりあえずジョイフルに行ってみよう。
朝「ベーコンモーニング」¥299
お目当てのおてごろモーニングの提供時間は午前10時までとなっている。至極まっとうな時間の縛りである。
でも余裕をぶっこいていたら寝坊してしまった。10時まであと少ししかない。このままではモーニングに遅刻してしまう。モーニングに遅刻するってなんだ。
自宅から車で10分ほど。現在時刻は9時50分、無事にモーニングの提供時間内にジョイフルにたどり着いた。
席につくやいなや、ベーコンモーニングを注文するために呼び出しボタンを押す。主食はライスと決めてきた。ベルの音で店員さんがやってくる。
「あのー、この、ベーコンモーニングのライスって無料で大盛りにできるんですか?」
「できますよー」
「えぇ!?じゃあそれで、ライス大盛りでお願いします!」
「…ベーコンこれだけですけど大丈夫ですか?!(メニューの写真を指しながら)」
「大丈夫です大丈夫です」
そう、大丈夫なんてもんじゃないですよ。299円でベーコン2枚にサラダ、時間無制限のドリンクバーが付いてご飯大盛りが無料ってもはやバグだろう。テストプレイした?
提供スピードが牛丼屋のそれでびっくりした。早いよ!コーヒー取ってくるからちょっと待ってて!
うおお……。インフレ値上げなんのその、これで299円って大丈夫なのか。
ベーコンの照りを見るだけで幸せである。ベーコン2枚のどこに問題があるのか!サラダもドレッシングがかかっているので十分にご飯のオカズたりうる。
もしもご飯があまったらタバスコと塩でももらって振りかければいいわけで、どう考えても負けないのである。勝った!誰に、何者に勝つつもりなのか。
食中食後にコーヒーを2,3杯飲んで、お腹がたぷたぷになったことに大変満足して店をあとにした。こんなにいい店はないぞ。
よし、いったん家に帰ってまた昼にモーニングを食べに来よう。