特集 2018年10月8日

大真面目にカレーラーメンを考える会

個性的なカレーラーメンが集まりました。
個性的なカレーラーメンが集まりました。
カレーラーメンについて考えたことはあるだろうか。カレーとラーメンという国民的人気メニューの組み合わせにもかかわらず、カレーうどんや激辛ラーメンよりもマイナーという不思議な存在だ。

カレーラーメンとは何ですか。あなたのカレーラーメンはどんなですか。あなただけのカレーラーメンを食べさせてくれませんか。そんな呼びかけに料理好き達が集まり、各自が大真面目に考えたカレーラーメンの発表会がおこなわれた。
趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。

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カレーラーメンとは何かという疑問

オリジナルのカレーを持ち寄るイベントに誘われて、カレーラーメンを作る機会が何度かあった。カレーは市販のルーでしか作らない派なので、本格的なカレーは作れない。そこでカレーラーメンである。

腕に覚えのあるスパイス大好きなメンバーに混じって、恥ずかしくない一皿を出す自信なんてまったくない。ならばと麺作りが趣味の私がそれなりに作れて、みんなが大好きなラーメンをカレーと合体させることで、諸々ごまかそうという魂胆である。
今までに作ってきたカレーラーメンは中華麺にルーを掛けるスタイル。カレーラーメンライスというのも作ったな。
今までに作ってきたカレーラーメンは中華麺にルーを掛けるスタイル。カレーラーメンライスというのも作ったな。
何度か作ってみて思ったのが、『カレーラーメンとはなんぞや』という根本的な疑問である。カレーラーメンの正解はなんだろう。

カレーとラーメン、どちらも海外からやってきた帰化料理であり、今や日本人の国民食ともいえる人気メニューだ。
インスタントの世界では、カレー味のヌードル(ラーメンとはちょっと違う)、カレー味のうどん、カレー味のそばが確立されており、みんなが同じ味をイメージできる。だがカレーラーメンとなると、存在しないことはないけれど、急にぼんやりとしたイメージとなる。
インスタントの世界では、カレー味のヌードル(ラーメンとはちょっと違う)、カレー味のうどん、カレー味のそばが確立されており、みんなが同じ味をイメージできる。だがカレーラーメンとなると、存在しないことはないけれど、急にぼんやりとしたイメージとなる。
人気者同士を合わせるのだから、まずくなるはずはない。確かに私が作ったカレーラーメンはどれもそれなりに美味しかったと思う。

ただ、正解がわからない。まだまだのびしろがあるはずなのだ。もっと知りたいんだ、カレーラーメンの可能性が。
唐辛子のたっぷり入った辛いラーメン、山椒の効いた痺れるラーメン(坦々麺)は存在するが、どちらもカレーラーメンではない。
唐辛子のたっぷり入った辛いラーメン、山椒の効いた痺れるラーメン(坦々麺)は存在するが、どちらもカレーラーメンではない。
もちろんうまいカレーラーメンを出す店はすでに存在するだろうし、ご当地ラーメンとして愛されている地域もある。これこそがカレーラーメンだという確固たる答えを持つ人もたくさんいるだろう。

それを分かった上で、これが俺の考えたカレーラーメンだという自信の一杯、自分なりの答えを出してみたい。別に飲食業をやっている訳ではないので、作ってどうすんだという話なのだが。
油で和えた麺にカレーを掛けたものもうまいが、ライスの方がうまいかな。
油で和えた麺にカレーを掛けたものもうまいが、ライスの方がうまいかな。
こういう遊びは一人でやってもおもしろくないので、カレー好き、ラーメン好き、料理好きの友人に声を掛けて、各々がコンセプトを考えた(ここ大事)カレーラーメンを持ち寄る会を開くことにした。ほら、みんなが考えるカレーラーメンを食べてみたいじゃないですか。

こういう会はついつい対決形式にしたくなるが、カレーラーメンという料理の幅が広すぎるので、あえて順位はつけない懇親会としよう。

マイカレーラーメンの方向性を考える

ということで、さて私は何を作ろうか。まず考えるべきは、カレー味のラーメンなのか、麺で食べるカレーなのか。言い換えれば、ラーメン屋が出すカレー味ラーメンか、カレー屋の出すカレー麺かという問題だ。

やはり得意な分野に重心を置くのがベターだろうということで、カレー味のラーメンとして設定を固めよう。

舞台は鶏ガラベースのドッシリとしたスープが売りのちょっとだけ意識の高いラーメン屋。月替わりで提供している新作ラーメンとして、脱サラ店主がオリジナルのカレーラーメンを考案するという物語を楽しもうか。
とりあえず濃い鶏ガラスープを用意してみた。
とりあえず濃い鶏ガラスープを用意してみた。
であるならば、ベースとなるスープは醤油味や塩味のラーメンと共通となる汎用性の高い鶏ガラスープだ。この段階ではスパイス類を入れるべきではない。

たっぷりの鶏ガラにニンニクとショウガを加えて3時間ほど煮込んだら、仕上げに昆布、煮干し、鰹節類、そして野菜を加えて1時間煮込む。

まだ味つけがされていないこの無垢なスープに、丼の中で混和されるタレと油が加わることで、ラーメンとしての方向性は決まるのだ。

カレーダレを作る

タレは醤油とみりんと塩という基本的なものに、前に本格的なカレーを作ってみようかと張り切って買ったスパイスをバンバンと放り込んで、軽く煮込んでみた。

スパイスに関する知識がほとんどないので、分量や組み合わせは適当である。
とりあえずたくさん入れておこう。
とりあえずたくさん入れておこう。
シナモン、クミン、コリアンダー、ターメリック、レッドペッパー、チリホール、クローブ、コショウ、カルダモン。

どのスパイスをどれくらい入れるべきなのか、理想の味はどんななのか、その辺りがまったくわかっていないのだが、とりあえずスパイスをたくさん入れればスパイシーになってくれると信じたい。

素人が適当にスパイスを調合するくらいなら、S&Bのカレー粉を入れるだけでもいいような気もする。でもやっぱりスパイスからやってみたいじゃないですか。

スパイシー香味油を作る

鶏ガラスープとカレーダレを合わせただけだと、うっかりすると具のないスープカレーになってしまいそうなので、そこに油を足すことで、一気にラーメンっぽくしたいと思う。

普通のラーメンだと、鶏皮からとった鶏脂だったり、豚の背脂だったり、ネギやショウガを煮た油だったりするのだが、やはりカレーラーメンなので、たっぷりのスパイスを煮込んだ香味油だろうか。
このスパイシーな香味油が入ることで、俺のカレーラーメンが完成するはず。
このスパイシーな香味油が入ることで、俺のカレーラーメンが完成するはず。
サラダ油に、チリホール、クローブ、カルダモン、マスタードシード、クミンシード、ショウガ、ニンニク、カレーリーフを加えて、弱火で加熱する。

これも家にあったやつを適当に入れただけなので、こういうのが作りたいという主張的なものはまだない。

メインの具であるチャーシューを焼く

カレーの具は無限にあるが、ラーメン屋が出すカレーラーメンの具といえば、やはりカレー風味のチャーシューだろうか。タンドリーチキンも魅力的だが、ラーメン屋の店主としては仕入れが面倒になりそうなので、できれば通常営業と共通の食材を使いたいはずだ。

ヨーグルトにガラムマサラ(ミックススパイス)とレッドペッパーを入れて、豚肩ロースを一晩漬けこみ、低温のオーブンでじっくりと焼いてみよう。
右がカレーラーメン用、左は醤油ラーメン用のチャーシュー。110度で2時間、さらに100度で2時間焼いた。
右がカレーラーメン用、左は醤油ラーメン用のチャーシュー。110度で2時間、さらに100度で2時間焼いた。
これをスライスしてカレーダレを掛けたら、カレーラーメン用チャーシューの出来あがりだ。

ビールのつまみとしては最高だが、さてラーメンの具としてはどうだろう。
肉が小さかったので、少し火が通りすぎたかな。
肉が小さかったので、少し火が通りすぎたかな。
麺はとりあえず、他のラーメンと共通の細ストレート自家製麺でいいだろう。

さあこれで、スープ、タレ、油、具、麺が揃ったわけだ。それぞれを個別に味見した限りでは美味しいのだが、問題は組み合せてどうなるか。

カレーラーメンを仕上げてみる

さあ試食である。鍋にお湯を沸かして麺を茹で始める。その間に丼にカレーダレとスパイシー香味油を同量ずつ入れる。

具に野菜が欲しいから、香味油で炒めたキャベツでも用意しておくか。
雰囲気としてカレーダレの中にあった唐辛子を一本入れた。
雰囲気としてカレーダレの中にあった唐辛子を一本入れた。
丼に鶏ガラスープを加えて軽く混ぜ、茹であがった麺を泳がせ、具を乗っけたら完成だ。
これが現時点でのザ・カレーラーメンである。
これが現時点でのザ・カレーラーメンである。
自分で作っておいて味の想像がいまいちできないカレーラーメンを食べてみると、これが全然ピンとこない味だった。確かにカレーラーメンではあるのだが、食べたい味とちょっと違う。なんだろう、この物足りなさは。

鶏ガラスープが濃すぎてスパイスを打ち消している。唐辛子の辛味がストレートすぎる。香味油のせいで油っこい。野菜由来の甘さが足りない。スープと同じ味付けのチャーシューだと飽きる。

なんで自分で作った料理にこれだけケチをつけなきゃならんのだ。でももっとうまくなるという確信は得られた気がする。
スープをほんの少量にしてまぜそばにした方がうまかった。でもダメ。
スープをほんの少量にしてまぜそばにした方がうまかった。でもダメ。
妄想の世界では、このままだと来月の月替わりラーメンとして出すことができない。現実問題としては、自分で企画したカレーラーメンを考える会で恥をかくことになる。

本番までの間、頭の中で、そして台所で、試行錯誤の日々が延々と続いたのだった。
これがバージョン3。もっと先へ行けるはずなのだ。
これがバージョン3。もっと先へ行けるはずなのだ。
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