広告企画♪ 2018年5月15日

ゆるキャラにはメカ版が必要だ

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会社のイメージキャラクターをデザインして着ぐるみも作った。街にでれば大人気、イベントにもひっぱりだこだ。会社の好感度はぐいぐい向上し良いことずくめである。

……それで……それで満足していいのだろうか。

答えは、否だ。

メカ版を作らねばならぬ。

せっかくのキャラクターだ、そのメカ版を作って対決させる夢をかなえたい。
東京生まれ、神奈川、埼玉育ち、東京在住。Web制作をしたり小さなバーで主に生ビールを出したりしていたが、流れ流れてデイリーポータルZの編集部員に。趣味はEDMとFX。(動画インタビュー)

前の記事:すげえハードルの高い海藻

> 個人サイト まばたきをする体 Twitter @eatmorecakes

ゴジラがいたらメカゴジラがいるように

あるキャラクターのメカ版を作る。発想はもちろん「ゴジラ対メカゴジラ」だ。

特撮については完全な門外漢だがそれでも知っているのがやっぱりゴジラシリーズである。

ゴジラとメカゴジラが相対する作品は昭和ゴジラ版(「ゴジラ対メカゴジラ」)、平成ゴジラ版(「ゴジラvsメカゴジラ」))、ミレニアム版(「ゴジラ×メカゴジラ」)と3作あるが、昭和ゴジラ版の公開時コピーは「宇宙をとびミサイルを撃ち込む! 全身が武器の凄いゴジラが現れた!」だったそうだ。

元来の存在よりも圧倒的に刷新的であり強いというのがそのアイデンティティなのだろう。純度の高い「かっこいい」の塊だ。良い、良すぎる。
というわけで、作りました。「メカシナガワン」ですよろしくお願いします
というわけで、作りました。「メカシナガワン」ですよろしくお願いします

「シナガワン」というキャラクターがおりまして

唐突によろしくお願いされても、という登場になってしまった。私はせっかちでいつも説明が足りない。

さきほどメカゴジラについて「元来の存在よりも圧倒的に刷新的であり強い」と書いた。

同じように、このメカシナガワンにも「元来の存在」がいる。
メカシナガワンでいうところのゴジラがこちら、シナガワンです
メカシナガワンでいうところのゴジラがこちら、シナガワンです
ケーブルテレビ品川という放送局のキャラクターだ。どローカルなキャラクターなだけに知名度は低いが東京の品川じゃ大人気のゆるキャラである。
で、こいつがまたかわいいんですよ……
で、こいつがまたかわいいんですよ……
つい愛があふれてしまったがこの人(イヌです)、キャラクターらしさをまっとうしてきっちりかわいいのだ。

2Dもいいが3Dがまた格別にいい。

2Dで想像した1.5倍はでかく圧迫感がたまらない。「圧迫感」という言葉がほめ言葉になるということを私はこの着ぐるみで知った。
2Dからの
2Dからの
3D、この良い圧迫感
3D、この良い圧迫感

サイボーグ化するかメカ版を新たにつくるか

このシナガワン、飼い主であるケーブルテレビ品川という会社は我々デイリーポータルZの運営会社であるイッツコムとグループ関係にある。

その縁あってシナガワンを自由に記事に登場させていいという声がけをもらったのだった。

なんと、どうしてくれてもかまわないしなんでもやるという。ゆるキャラが飽和状態の戦国時代だというのは聞いていたが、NGなしでなんでもやりますというのにその厳しさの核心にふれる思いだ。
いいのか
いいのか
そこまで言うならと一時はシナガワンそのものを改造するマッドサイエンティスト案もあった。サイボーグ・シナガワンである。

しかし、シナガワンに対する存在としてもう一つメカ版のメカシナガワン作るのはどうだろうという案が急浮上したのだった。

正直、サイボーグ化については、何をどうやったらそういう状態になるのかが想像つかなかったのだ。新しく一から作るならダンボールとかガムテープとかでなんとかなんじゃないか。

ごらんのとおり、なんとかなったことはなんとかなったのでその知見を次ページからお伝えしたい。

PR♪ シナガワンVSメカシナガワン エピソード1 ~どうするシナガワン!!?

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メカを作るならダンボール

このメカシナガワン、写真をごらんいただいてみなさまうすうすお気づきのとおりテクノロジーを用いたメカではない。

前ページで「ダンボールとかガムテープで作る」と宣言していながらいまさらだが、メカではなくメカ「のようなもの」だ。
手作り感
手作り感
それにしてもそこそこできているんじゃないか。受験科目に図工があったら偏差値35くらいをうろうろしていたであろう私にしては。

肝は「自力でやばそうな部分は人に頼んだ」ところだろう。
デザインはかつてダンボールでATMを作った</a>テクノ手芸部のよしださんにお願いした
デザインはかつてダンボールでATMを作ったテクノ手芸部のよしださんにお願いした
まだ粗い段階ですがこんな感じでしょうかと画像が届いたとき、もうこの仕事終わったなと思った次第だ
まだ粗い段階ですがこんな感じでしょうかと画像が届いたとき、もうこの仕事終わったなと思った次第だ
よしださんにはデザインからダンボールの展開図の作成まで頼んだ。つまり、自分でやるのは根性でなんとかなる部分だけという状態にしたのだ。
強化芯の入ったダンボールをレーザーカッターで切って
強化芯の入ったダンボールをレーザーカッターで切って
組み立てていく
組み立てていく
根性を担当したと書いたが、つまり売ってるプラモを作っているようなものだ。私がやってることは完全に娯楽のパートである。
アタイにこんなものが作れるなんて…
できてきた…!

工作べたの勘

組みあがったら外面のメタル化だ。メカのようなものをメカのようなものたらしめるのはやはり輝きだろう。

よしださんからはスプレー塗装をすすめられた。が、慣れぬ者が急にやろうとして思ったようにできない作業ナンバーワン、それが塗装ではないか。

ここは初心者でも作業の起承転結の想像がつきやすいアルミテープを貼る方法をとることにした。
さらに手先の器用なウェブマスター林(上司)を作業にアサインする念の入れよう
さらに手先の器用なウェブマスター林(上司)を作業にアサインする念の入れよう
若き工作べたのみなさまにお伝えしたい。

年月を重ねても工作はきっとうまくならない。しかし、失敗を回避する能力は確実に上がる。

それもまた立派なスキルではないか。
そして完成した……!
そして完成した……!

PR♪ シナガワンVSメカシナガワン エピソード2 ~どうなるメカシナガワン!!?~

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「品」がないし「川」もない

と、このような顛末がありメカシナガワンは冒頭の写真のとおりシナガワンと対面となったのだった。
わーい!
わーい! すしざんま~い!
対面の場にはケーブルテレビ品川の撮影部隊もやってきた。

東急池上線という都心でもなかなかにローカルな路線があるのだが、そのデジタルサイネージ用のCMを撮影するのだそうだ(本稿にもページ最後にPR動画として載せました!)。

おらの工作がCMに出る…。工作偏差値がいっきに35か45くらいにはあがったのではないか。
なんかそれらしきものを撮っている…!
なんかそれらしきものを撮っている…!
しかし、そこで撮影スタッフに重大なポイントの指摘があった。メカシナガワンにはシナガワンの特徴ともいえる、お腹面の「品」と背中面の「川」がなかった。

ブチ模様だと思っていたお腹の茶色は品川の「品」だったのだ。

「メカシナガワン」、結果的には「メカワン」くらいまでしかできていなかったことが現場で判明してしまったが、大きな声で笑ってごまかした。ニコニコして大きな声を出して置けばなんとなくその場はおさまる(が、あとで怒られることもある)。
シナガワンの背中の「川」はこんなかんじ。うしろすがたもかわいいですね…
シナガワンの背中の「川」はこんなかんじ。うしろすがたもかわいいですね…

なかのひと

さて、はなしが若干前後するが、メカシナガワンは着ぐるみであるからして、だれがしかが中に入らねばならない。が、ゆるキャラというのは前提として「中にひとなどいない」という鉄の掟があるらしいのだ。

ゆるキャラに詳しくない私でも、超有名なあのキャラやあのキャラが着ぐるみを脱いだところなどうっかり見てしまったらと思うと身の危険を感じる。そういう法律があることは知っている。
無関係なスナップ写真だと思ってください
無関係なスナップ写真だと思ってください
デイリーポータルZなどというふざけたサイトを10年以上やってきたが、ここ一番のふざけられなさを感じる。ここはガチのゆるキャラの現場なのだ。

読者のみなさまにおかれても、どうか引き続き中の人のことは忘れて記事を楽しんでほしい。
シナガワンに出会ったのでまずは攻撃させた。そうだ、これでこそ「シナガワン対メカシナガワン」だ!
シナガワンに出会ったのでまずは攻撃させた。そうだ、これでこそ「シナガワン対メカシナガワン」だ!
撮影部隊をも攻撃、ケーブルを抜くメカシナガワン
撮影部隊をも攻撃、ケーブルを抜くメカシナガワン
そして威嚇
そして威嚇
しかしそれを見ているシナガワンがかわいい
しかしそれを見ているシナガワンがかわいい

♪PR シナガワンVSメカシナガワン エピソード3 ~ワンダフルな結末~

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かわいいが正義という世界

さて、後半撮影、品川区の平塚児童センターにご協力いただきトランポリンを使わせてもらえることになった。
サクッとのるメカシナガワン(ボディが軽いから)
サクッとのるメカシナガワン(ボディが軽いから)
一方、よっちらよっちら乗るシナガワン
一方、よっちらよっちら乗るシナガワン
両者がその生きる動機を背負っていたしかたなくはげしくぶつかりあう。それがゴジラとメカゴジラの戦いだろう。

ケーブルテレビ品川制作のシナガワンとメカシナガワンのCMではそういった両者の背景からのストーリー付けがなされており感激した。

しかしどうだろう。

メカシナガワンを作った本人として、この2体が並んだときその対決の本質はかわいさの勝負にあるということをどうしても痛感せざるをえなかったのだ。
よっちらよっちら
よっちらよっちら
よっちららっと
よっちららっと
危なっかしくトランポリンにあがるシナガワンに歓声があがった。

かわいい。

この圧倒的なかわいさを前にメカシナガワンはどうしたかというと、こうなった。
 
 
かわいい造形が得意なよしださんにデザインを依頼したのが不幸中の幸いとはいえ、それでも所作を心得ているシナガワンにかわいさで勝てるとは思えなかった。

シナガワンVSメカシナガワンの決着は圧倒的にシナガワン勝利でおわった。

PR♪ シナガワンVSメカシナガワン エピソード0 ~覚醒のメカ~


ガチのゆるキャラのすごみ

繰り返しになるが、シナガワンの完成されたかわいらしさはすごかった。

そうだ、この感覚は生でアイドルを見たときに近い。アイドルなんてたくさんいるし…などといういう思いが一瞬でふきとぶオーラ。輝くということを仕事にしている強さがある。

私たちはあきらめない。次にメカシナガワンがシナガワンに会うときはバックグラウンドで圧倒するのはどうだろう。よし、エヴァンゲリオンばりに鬱で葛藤的な生い立ちをメカシナガワンのプロフィールに加えよう。

かわいさが外見で決まる時代が過ぎ去った今、勝ち目はきっとある。

ゆるキャラにはメカ版が必要だ。その思いに変わりはない。
あわてて「メカシナガワンは生みの親の博士(よしださん)の子どもの名前」という設定を作ったが遅かった
あわてて「メカシナガワンは生みの親の博士(よしださん)の子どもの名前」という設定を作ったが遅かった
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