「○○方面」を妄想へと変換
往年の少女漫画には、しばしばたくさんの登場人物が入り乱れるのっぴきならない人物相関図が登場する。
山手線 東京駅 内回りホームの行き先表示。上野と池袋だけというシンプルさ(表示が2つしかないのは東京駅と秋葉原駅だけ)。
もはや自分がただ中に身を置きたいなどとは思わないが、そういうのを考えるのは楽しそうだ。
そこで山手線である。
池袋の内回り。新宿、渋谷、品川という
主要駅しか示さない。
「そこで」っていう言葉の使い方がおかしいとは思いますが、そこで山手線なのである。
新宿の外回り。池袋、上野は行き先表示として当然だが、田端の登場にはびっくり。
環状線でぐるぐるまわるこの線には、当然ながら終点がないため、行き先の表示が駅によって変わる。
その「行き先表示」を「想っている相手」と見立てることによって、恋愛相関図を完成させよう、というわけだ。
こういうことです。
上の例で言うと「大崎くんは、品川さんと東京さんと上野さんが好き」ということになる。気が多いな、大崎。大崎がなぜ男性なのかは自分でも分からない。
なぜこんなふうに見立てたかというと、予想以上に行き先表示にイレギュラーがたくさんあったから。もっとシステマチックに順繰りに主要駅が示されるかと思いきや、いきなり「なんでその駅を行き先にした?」という例がけっこうあったのだ。
この唐突さは、恋だ。恋なら納得できる。
というわけです。
やたらモテまくる「6強」
何が「というわけです」なんだ、という感じですが、何をやろうとしているかはご理解いただけたかと。
実は
3年前に同じ内容で記事を書いている。意外な想い・想われの関係にびっくりしたものだ。
今回は、その後関係にどのような変化があったかが重要なポイント。
ともあれ、まずは全体的な状況をご覧頂こう。各駅をひと駅ひと駅めぐって行き先表示を確認した結果である。たいへんだった。恋ってたいへんなのね。
上は、全29駅の行き先表示に登場する駅ランキングである。いずれも「そりゃあ行き先としてあげられるよな」と納得のラインナップ。この6駅が圧倒的に「モテる」駅である。敵である。こんちくしょう。
上は全駅の行き先表示駅(=想っている相手)をマトリクスにして分かりやすくしたもの。
いや、分かりやすくないか?
表の見方は上のようになる。やはり分かりやすくはないか。どう示したらいいのだろう。やっぱり惚れたはれたってややこしいのう。
とにかくここで見ていただきたいのは「相思相愛」、つまりお互いの行き先表示が一致しているケースだ。ハートマークの部分がそれにあたる。
さきほどの「6強」が相思相愛の多くを独占している。
が、いくつか6強以外でも案外うまくいっている関係があるのがわかる。田端くんはその代表だ。
案外モテるし、相思相愛のケースも上野、新宿、池袋、巣鴨とのあいだで成立している。見かけによらずスケコマシだな、田端。
端的に言って股かけ過ぎだろ、ということなのだが、複数の相手とよろしくやるのが山手線駅たちの生態なのだ。ディスカバリーチャンネルとか見てると、そういう動物出てくるじゃないですか。山手線はああいう系の野生動物だと思ってください。気にくわないけど。
想い想われ七不思議
全部を丹念に見ていくときりがないので、以下にぼくが「おや?」って思った行き先表示を示そう。
外回りと内回りで分けて表にしてある。奇しくもいずれも7つ不思議に思ったケースがあった。いわゆる七不思議である。
前回、3年前との比較でいうと、外回りは変わりなく、内回りには3つ変化があった。上のかっこで表示したのがそれである。
3年前は、神田ときたら4つも好きな相手を挙げていたが、巣鴨をあきらめて3つになっていた。
逆に五反田は好きな人を2人に絞っていたが、今回上野を追加。
田町は池袋をあきらめ、巣鴨にラブコールである。なぜだ。
あえて遠距離恋愛
前記2つの七不思議の中から「モテモテの6強をあえて避け、ひと味違う相手を想っているケース」の現場写真を3つお届けしよう。
内回り品川駅、謎の駒込行き表示。駒込が出てくるのは内外全駅でここだけ。
内回り田町駅。なぜか巣鴨。巣鴨が出てくるのはあと内回りの田端駅だけ。
浜松町が出てくるのは、ここ内回り渋谷だけ。
みんなが知らない、自分だけが知っているあの人の魅力。って感じでいい。
あと注目すべきは、いずれもやたら遠い駅を示している、という点だ。品川くんが思いを寄せる駒込さんなんて、ほぼ対岸だ。遠距離恋愛である。
この「どれぐらい遠くを想っているか」を示したのが以下だ。
これまた分かりやすくしようとして、結果失敗、というグラフ。だってどう表現したらいいかわからんよ!
真ん中の駅名から右の外回り、左の内回りそれぞれ外側ほど遠くの駅を示している。
一番遠距離恋愛をしているのは、渋谷。外回りの表示に上野があるが、実に15駅先。山手線は全部で29駅。つまり、真向かいより遠い。内回りの方が14駅で駅数は少ない。
渋谷駅外回りの表示。「上野」がいる。
なんでだ! って思って調べたら、駅数は多いものの、外回りの方が所要時間は短いらしい。へー。まあぼくだったら銀座線使うけど。
あと渋谷駅は「
駅もれ」がすごかった。まるで時計がお漏らししているかのよう。
気になる相関図8選
さて、表やグラフでなんとか相関関係を示そうとがんばったがやっぱり分かりづらい。
以下からは、気になった想い・想われのケースをダイアグラムでご覧頂こう。
意外にも浜松町くんを想っている子はほとんどいない。先日調べた「コインロッカー規制から見るオバマとトランプの違い」でも「主要駅」から外れていた浜松町くん。
そんな彼を唯一好いているのは、なんと6強のひとり、渋谷ちゃん。そして両思い。いい。応援したい。
前述した「なぜか品川の行き先に駒込」。これはほんとうに謎。いや、恋とはそういうものか。6強のひとり品川くんが、あえて対岸の駒込さんを想うとは。しかも駒込さんは品川くんを相手にしていない。ドラマを感じる。
あと、品川の好かれ具合を細かく見ると気になる点が。
あと、なぜか秋葉原と田町だけが不自然に品川を無視しているのである。こりゃなんかあったな。
「なんかあったな」シリーズでは、目白さんと田端くんのあいだにある妙な緊張関係も気になる。6強にはランクインしていないものの、一部エリアから絶大な人気を誇る田端くん。ローカルヒーロー。そんな彼をかたくなに無視するお嬢様大学に通う目白さん。なんかあったな。
「なんかあったな」シリーズもうひとつ。立地的にはとうぜん上野を好くべき西日暮里くん。なぜか遠距離の五反田にラブコール。
同様に上野を無視するのが恵比寿くん。どうやら遠くの人気者よりもご近所幼なじみの目黒さんのほうが気になるご様子。
その目黒さんは、マニアックな人気を見せる。なんでこんな偏った好かれ方をするのだろう。
こちらは3年前からのこじれた関係に新展開、というケース。前述したように、神田は3年前には巣鴨を行き先表示に入れていたが、今回それが消えていた。あきらめたのだ。
逆に田町くんは、今回新たに巣鴨さんに新たな恋の表明。妙に遠距離の意外な登場人物間で静かにラブアフェアが展開している。今後も目が離せない。
いちばんやきもきするのがこれ。マニアックな趣味の持ち主ゆえ、いろいろと誤解されがちな秋葉原くん。ぜんぜんモテないのだが、実は隣に住む幼なじみの御徒町ちゃんが好いている。
それに気づかず、無謀にも6強のひとり、上野さんにラブコール。目を覚ませ!
山手線恋模様2017冬
以上に若干のストーリーを付加してまとめてみたのでご覧ください。山手線恋模様2017冬、です。
マンガ化希望
思いのほか複雑でイレギュラーな山手線の行き先表示。恋愛相関図にしたら分かりやすいかな、と試みたが、分かりやすくはならなかった。おもしろかったけど。
これ、マンガ化したらもっと分かりやすくなるんじゃないだろうか。だれか描きませんか。
こういう古いタイプの行き先表示は五反田と新大久保にしか残っていないことも分かりました。
【告知】12月9日 イベント「真昼のソ連ナイト旅情編」に出演します
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記事にもした
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