さくらごはんは給食メニューである
さくらごはんは給食で出されるメニューなので、食べさせるお店はあまりないそうだ。そこで鈴木さんが自宅で炊いたものを公園に持ってきてくれた。
炊飯器ごと
さくらごはんは静岡で一般的だが、炊飯器を外に持ち出すのは一般的ではない。
これがさくらごはん…
鈴木さんはさくらごはんを作ったのははじめてだそうだ。
「材料はお米と酒と醤油のみ。だからみんな作れます」
鈴木さんはいま静岡県在住だが、5年ほど東京で女優を目指していたことがある。
ある日、故郷の味が恋しくなって調べたら、ただの醤油味であることを知ったのだという。都会で知る故郷の現実。
「静岡にいるときは気づきませんでした」。
醤油を入れて炊いたごはんを醤油味とは思わなかったってどういうことだ?もしかして舌バ…。
醤油かけごはんの味ではない
しっかり入れたお茶といただきます。
食べてみてわかった。
醤油かけごはん、ではない。もっとまろやかだ。言われてみれば醤油かなあという程度で、もっと旨味が前に来ている。
出してるところじゃなくて食べているところです
そういえば醤油かけごはんを取材に行ったとき、醤油メーカーの人も温かいごはんに醤油を少し垂らすとふわっと甘い匂いが香る、と言っていた。それだ。(
その記事)
「これこれー」
食べながら聞いた掛川さくらごはん情報
・さくらごはんが給食に出ると、子供が競い合うようにおかわりをする
・ 浜松では縁起がいいので合格祈願のものとされている
・なぜさくらごはんという名前なのかはわからない(Wikipediaによるとほんのり桜色だからと書いてあるが、桜色…?)
さくらごはんが出ると子どもの食べ順が変わる
掛川の子供はさくらごはんが出ると普段と違う食べ方をするらしい。さくらごはんだけ先に食べてしまうのだ。
おかず→ごはん→おかず→ごはん…
ではなく
さくらごはん(完食)→おかず
という順番だそうだ。
「だって、おかずと一緒だとさくらごはんの味が分からないからもったいないじゃないですか」
とのことである。県外の人が考える以上の想いである。
たしかに味の濃いおかずだと負けてしまうぐらいの淡い味である。
先にごはんを食べるほどの好物
具なしの炊き込みごはんだとがっかりするけど、さくらごはんはOK。なぜならもとから具がないから
具なしの炊き込みごはんといえばそうなのだが、炊き込みごはんよりも味が薄い。白飯と炊き込みごはんのあいだで、程よく味がついていてもりもり食べられる。
液体で言えばポカリみたいなポジションかもしれない。水とジュースのあいだ。
「具がないのにこんなに美味しいのが素晴らしいと思うんです! 炊き込みごはんで具がないと『なんで~』ってなるけど、おさくらごはんだとならないんです!」
詭弁めいたレトリックで押してくる。
具のない炊き込みごはんをさくらごはんと名付けた人が偉い気もする。
「言われてみればそれはある気もします…」
このやさしい味は飲んだ後にもいいだろう。実際、居酒屋で締めにさくらごはんを出すところはあるそうだ。
おにぎりにもするが、やっぱりそのときも海苔はまかない
理由は「海苔の味でさくらごはんが負けてしまうから」。
もはやさくらごはんが好き、ではなく、さくらごはんに同化した発言である。
ウス茶糖は(も)文句なくうまい
同じく鈴木さんが記事で紹介していたウス茶糖も持ってきてくれた。(
記事)
人生初のウス茶糖
単純に緑茶に砂糖を入れたという感じではない。ちょっととろみを感じるような柔らかい甘さである。スタバの抹茶ラテよりも優しい。
なるほど、うまい。
この写真からわかることは、「屋外で緑色の液体を飲むと青汁のCMのようになる」ということである。
静岡の人はカテキンにくわしい
さくらごはんの付け合わせにもってきてくれたのがお茶っ葉の佃煮。
おかずポテンシャルが高い
カフェインが多そうだ。そう言うと「カテキンも多く入ってますよ」
とのこと。そうだろう。
冷茶は掛川の深蒸し茶。実家でこんなに濃く淹れると母に怒られる
「深蒸し茶はカテキンが多いんです」
これ以外にも2回ぐらいカテキンと言っていたと思う。お茶文化が強いとカテキンという言葉が日常にどんどん入ってくるのだ。
駅のお茶売り場でもカテキン推しだった
名前の良さよ
醤油をいれて炊いたごはんにさくらごはんというエバーグリーンな名前をつけたのは発明だと思う。「醤油+ごはん」という禁断の組み合わせを昇華する働きがある(もちろん醤油+ごはんのようなダイレクトな味はしなくてもっと上品なんだけど)。
僕もこれから醤油かけごはんのことをダイヤモンド☆ごはんと呼びたいと思う。