万世ビルの地下へ潜る
大人のドリンクバーがある場所は、秋葉原の万世ビル。『肉の万世』の本店だ。
高級そうなステーキ屋や焼肉店が並ぶ中、大人のドリンクバーを出すのは、文字通り最下層の底辺にある呉越同舟という店。
二階以上に上がったことのない万世ビル。
あの時から気になっていたのがこのお店。
地下へと降りていくと入り口が二つあり、左側は通常メニューで、右側奥に進むと飲み放題と別れていた。
通常メニューと飲み放題の共存共栄、下戸と酒飲みの呉越同舟ということだろうか。ちなみにツマミのメニューは共通らしい。
左の店だと生ビールが560円、ハイボールが460円。
怪しく輝くネオンサインに導かれよう。
万世だからローストビーフを食べてみよう
なんとなく立ち飲みスタイルの店なのかなと思っていたのだが、入ってみると半個室のレストラン風だった。
料金は30分390円(サンキュー価格)だが利用は1時間以上。30分に1杯以上のペースで飲むのであれば、左の入り口よりもだいぶお得な計算だ。
なぜそこに天狗?
ガヤガヤした店かと思いきや、お客さんの少ないタイミングだったこともあり意外とひっそりしている。
入室時間が掛かれた伝票。フードのラストオーダーは30分前とのこと。
突き出しはなく、ツマミを一人1品以上注文するスタイル。メニューを見ると、唐揚げやポテトなどの普通のものから、ここが万世系列であることを強くアピールするお高めのハンバーグなど様々。
さてなんにしましょうか。
ハンバーグいっちゃう?
ちょっと迷ったので店員さんにオススメを聞いてみたら、ローストビーフという意外な答えが返ってきた。
これか!値段がピンとこない!
飲み放題の酒のつまみに国産牛のローストビーフというのも間違っている気がするけれど(しかも一人酒)、こんな機会でもなければ万世の高い肉なんて食べることもないので、せっかくだからとオススメされてみることにした。今なら高い絵とかでも買っちゃいそうだ。
これが大人のドリンクバーだ!
ローストビーフを待つ間に、本来の目的である大人のドリンクバーへ。
そこには重力を無視したように上にも下にも酒瓶が並んでおり、想像以上のレパートリーだった。
上には焼酎、泡盛、ワインなどがぶら下がり、下にはハイボールのサーバーやカクテルの原液など。
もちろんソフトドリンクも完備。
生ビールだって注ぎ放題の飲み放題だ。
これらが全部混ぜ放題、飲み放題。お店側もミックスを推奨している。
上に持ち上げると出てくるギミックが楽しい!
すごいなここ。学園祭の模擬店用に女子大生が考えたみたいな、オリジナルB級カクテルが好きなだけ作れるぞ。
欠点は私がそんなにお酒に強くないことだな。
泡盛のオレンジジュース割りに挑戦。甘い。
これが万世のローストビーフか!
一杯目の甘い酒を飲みほして、早くもオリジナルカクテル作りに飽きたのでハイボールにチェンジ。
しばらくしてワゴンに乗ったローストビーフ様がやってきた。一気に高まる結婚式ムード。
高いんだか安いんだかわからんない店だな。
この店は一枚いくらではなく、肉塊から切り取られた分だけを1グラム15円で買い取るスタイル。
せっかくだから厚く切ってくれたまえと思う反面、料金を心配して薄く切ってくれないかと訴えそうになる貧乏臭さがせめぎ合う。
特に厚さを指定をせずに切っていただいたところ、堂々の123グラムが盛られた。後にも先にも人生で一番厚いローストビーフとなることだろう。
いきなりステーキならぬ、いきなりローストビーフ。
一点豪華主義の男。孤独すぎるグルメ。
酒のつまみが国産牛のローストビーフだけという一人飲みも珍しい。どこの没落貴族の最後の晩餐だよ。
この付け合せのない一片の肉が、一人飲みの寂しさを加速させてくれるじゃないか。
箸で簡単にくれるローストビーフ。付け合せになりそうな料理を頼めばいいんだけれど、あえて我慢するプレイ。
うまい肉を食べた後、このホースラディッシュをつまみにハイボールの炭酸水割りを飲みました。
そんなこんなで1時間が経過。うっかりローストビーフを食べたので会計はそこそこいったが、まったく後悔はしていない。
呉越同舟というのは、いろんな値段のツマミがあるんだよという意味だったのかもしれない。
これぞ貴族の晩酌。
大人のドリンクバー、適当にカクテルを作って楽しむのはおもしろいですが、やっぱり一人でやるもんじゃないですね。でも一人飲みの寂しさが逆におもしろかったです。次は誰かと来たいけど。
たくさん飲んで普通のツマミを頼めば、かなり安く楽しめる店だと思います。