特集 2016年10月28日

ロンドンの団地に泊まって大満足

泊まった団地の部屋からの眺め。
泊まった団地の部屋からの眺め。
数ヶ月前にロンドンに行き、かっこいい団地を見て回り記事を書いた

大満足だったのだが、ひとつだけ心残りがあった。

団地の中に入りたい。なんなら泊まりたい!

今回それが叶ったのでそのようすをお届けしたい。ロンドンの団地は中もすてきだった。
もっぱら工場とか団地とかジャンクションを愛でています。著書に「工場萌え」「団地の見究」「ジャンクション」など。(動画インタビュー

前の記事:ロンドンの「獣」団地と階段にうっとり

> 個人サイト 住宅都市整理公団

あたし、来ちゃった…

ヒースロー空港に到着するなり、その足で向かったのはロンドンにおける素敵団地No.1(暫定)のアレクサンドラ・ロード・エステイト( Alexandra Road Estate )だ。今年5月にはじめて訪れてすっかり魅了されてしまったのだ。
あたし、また来ちゃった……
あたし、また来ちゃった……
過日記事にしたアレクサンドラ・ロード・エステイト。何度でも訪れたい。
過日記事にしたアレクサンドラ・ロード・エステイト。何度でも訪れたい。
2度目でも確かな興奮がある。何度通ったら慣れるのだろうか。
2度目でも確かな興奮がある。何度通ったら慣れるのだろうか。
どうしてうちの近所にアレクサンドラがないのだろうか。欲しい。
どうしてうちの近所にアレクサンドラがないのだろうか。欲しい。
前回の訪団(団地を訪ねることの意)の様子はすでに記事にしており、それをご覧いただいた方は「またかよ」とお思いかもしれない。

しかし違うのだ。また来ちゃった理由は、なんと今回は中に入れるからなのだ! 夢だった!
氷河がつくった峡谷のような姿ゆえ、いったい間取りがどうなっているのかとても興味があった。
氷河がつくった峡谷のような姿ゆえ、いったい間取りがどうなっているのかとても興味があった。
なぜ人んちであるこの建物に入れるのかというと、毎年秋にに行われる "Open House London" という催しのおかげだ。
この緑色のポスターが貼ってあるおうちには自由に入ることができるのだ! ふとっぱら!
この緑色のポスターが貼ってあるおうちには自由に入ることができるのだ! ふとっぱら!
ロンドンの様々な施設を無料で公開する粋なこのイベント。その対象建築は数百にのぼり、その種類はオフィスから歴史的建造物、そして団地まで。

アレクサンドラ・ロード・エステイトに入れるっつったらそりゃあ行かないわけにはいかない。おかげですっかり貧乏に。シルバーウィークってやつでフライト代が高いんだよねー。

中の雰囲気全然違う!

入ります! 入りますよー!
入ります! 入りますよー!
おおー! なんだか予想以上にすてきな部屋だぞ!
おおー! なんだか予想以上にすてきな部屋だぞ!
ぼくのような(?)団地好きがわらわらと入り込んでうろうろしている。人んちなのに。
ぼくのような(?)団地好きがわらわらと入り込んでうろうろしている。人んちなのに。
こちらがこの部屋にお住まいの奥さま。建築家だそう。ご本人による解説が楽しかった。ここも自分でリノベしたのだとか。どうりですてき!
こちらがこの部屋にお住まいの奥さま。建築家だそう。ご本人による解説が楽しかった。ここも自分でリノベしたのだとか。どうりですてき!
玄関側窓際に移動したというキッチン。まさかここまですてきとは。
玄関側窓際に移動したというキッチン。まさかここまですてきとは。
360度全天球画像は→こちら。ごらんのように全体的にすてき。
360度全天球画像は→こちら。ごらんのように全体的にすてき。
びっくり。外観を裏切るすてきさ具合にびっくり。いやもちろん外観がダメなんじゃなくて、外観のかっこよさとは別路線の「ふつうにすてき!」ってことだ。いやふつうじゃないけど。なんと表現したら…えーい、とにかくすてきだよね!

で、問題の特有の斜めな構造で「いったい間取りはどうなっているんだろう」の答えは、メゾネットだった。
部屋に貼ってあった断面図。オレンジの部分、上下で一戸。つまりメゾネット形式。
部屋に貼ってあった断面図。オレンジの部分、上下で一戸。つまりメゾネット形式。
玄関入ってすぐのところに、下に通じる階段があって、そこを降りると、こんな。
玄関入ってすぐのところに、下に通じる階段があって、そこを降りると、こんな。
おもしろいのは、玄関から一番奥の部屋の外、ベランダにも階段があって、そこからも下の階に行けること。いいなこれ。楽しい(全天球画像は→こちら)
おもしろいのは、玄関から一番奥の部屋の外、ベランダにも階段があって、そこからも下の階に行けること。いいなこれ。楽しい(全天球画像は→こちら
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ベランダ経由で下の階におじゃますると、そこは寝室。
ベランダ経由で下の階におじゃますると、そこは寝室。
下の階には玄関サイドにもうひとつ寝室があった。さきほどの建築家のマダムと、その娘さんの2人で暮らしているとのこと。
下の階には玄関サイドにもうひとつ寝室があった。さきほどの建築家のマダムと、その娘さんの2人で暮らしているとのこと。
なんだか完全に「すてきなお宅拝見~ロンドン編~」記事って感じだ。デイリーポータルっぽくない。すまん。でもすてきだよねえ、この家。

メゾネットならではの、両面窓、ちょっと楽しい導線、リビングと寝室の分離、などを堪能した。いいなー。

それにしても寝室まで開けっぴろげで写真撮ってアップしてもぜんぜんOK! っていう太っ腹さにも感激だ。それだけ見てもらいたい、どうだ! すてきだろ! という自信があるということなのだろう。見習いたい。部屋を片付けたい。

あ、あと今思い出したが、このメゾネット団地は、川崎の至宝・河原町住宅の間取りに似ている。
石油王とかになってちょう大金持ちになったら丸ごと買い取る予定の河原町住宅。
石油王とかになってちょう大金持ちになったら丸ごと買い取る予定の河原町住宅。
以前、ここにお住まいの方に招いてもらったことがあるのだが、その間取りは同様にメゾネット形式であった。残念ながらその内部の写真はお見せできない。「オープンハウス・河原町住宅」とかじゃなかったので。

正確には2階ではなく2.5階とでもいうべき複雑な構成で、写真の棟とは別の棟なのだがそういう詳細は話が長くなるので割愛。
考えてみれば河原町住宅も「斜め」だ。
考えてみれば河原町住宅も「斜め」だ。
アレクサンドラ・ロード・エステイトといい、河原町といい、ブルータリズムを中心として建築の歴史における「斜め」というコンセプトについて調べたくなったが、いよいよデイリーポータルっぽくなくなるのでやめておこう。

壁あたたかい

ともあれ、メゾネット間取りの愉快さと外観からは予想できなかった雰囲気に「建築はやっぱり中入らないとだめだよなあ」と思ったしだいだ。

で、もうひとつびっくりポイントがあった。

なんと壁が暖房なのだ。
「壁の中に温水パイプが入ってるのよ」という解説に、部屋にいた人がみんな壁を触る。「ほんとだあったかいー!」
「壁の中に温水パイプが入ってるのよ」という解説に、部屋にいた人がみんな壁を触る。「ほんとだあったかいー!」
ベランダ側の小上がりの下には、温風が吹き出す口もあった。
ベランダ側の小上がりの下には、温風が吹き出す口もあった。
いわゆるセントラルヒーティングだ。オンドルの壁版、ペチカだ。まさかこの団地がその方式をとっているとは想像していなかった。言われてみればヨーロッパではめずらしくないが、日本の団地ではあまり聞いたことがないので。少なくとも本州では。

「輻射熱の方向と、風が通る方向が直角なのがポイント」だと言っていた。なるほど。ひと冬暮らしてこの壁暖房を経験してみたい。

ただ「正直、暑すぎて、冬でもちょっと窓開けたりするのよね−」「自治会でいつも温度設定が問題になるんだけどね」とも。そうだろうなあ、暑がり寒がりそれぞれへ対応はできないよねえ。

いやー、やはり中にに入れてもらってそこに暮らしている人の話を聞くと得るものが多い。

あと、建築家ならではの話で面白かったのが、オリジナルの間取りとリノベーション後の間取りの考え方、というか流行の違い。
この引き戸はオリジナルのもの。こういうもので必要なときにこまかく仕切っていくのがもともとの間取りの考え方だったようだ。(ちなみにこれは別のお宅の様子)
この引き戸はオリジナルのもの。こういうもので必要なときにこまかく仕切っていくのがもともとの間取りの考え方だったようだ。(ちなみにこれは別のお宅の様子)
すごく良い雰囲気とはいえ、決して広くはないこの団地。日本の伝統的な団地に比べれば広いけどね。

で、もともとは、可動間仕切りで暮らし方に合わせて部屋を分割していくというものだったらしい。たぶん当時は画期的だったのではないか。

「日本の障子みたいで使いにくいし、あんまり良くないんだよね」と笑っていた。そうなんだ、障子ってそういうイメージなんだ、というのも面白かったが「今はビッグワンルームがはやりだしね」というようなことを言っていたのが興味深かった。

確かに日本でもここのところずっと「脱個室」的な感じだ。うちも妻と二人で暮らしてるけど個室なくて玄関入ったらどーんとでかいひと部屋だし。

家族でどういう部屋の構成がいいかには流行があって、たぶんその根底にはそれを可能にする家具などの変化があるのだろうな、と思った。

たとえばスマホの登場によって、プライベートが空間の仕切りを必要としなくなった気がするし。

こんなにバリエーションがあるとは

今回のアレクサンドラ・ロード・エステイトのオープンハウスでは、5軒の部屋が開放されていた。

もちろん全部おじゃましたんだけど、すべてを紹介していると10ページぐらいになっちゃうので、もう1軒だけ。

さきほどの部屋と対照的な間取りのお宅だ。
2軒目おじゃまします。
2軒目おじゃまします。
玄関入ってすぐ右側がキッチン。こじゃれてるなー。全天球画像は→こちら
玄関入ってすぐ右側がキッチン。こじゃれてるなー。全天球画像は→こちら
そして廊下挟んで向かいが居間。ポップ! かわいい! 電話してるのが家主さん。
そして廊下挟んで向かいが居間。ポップ! かわいい! 電話してるのが家主さん。
オレンジがテーマカラーみたいですね。吊ってある椅子とかすごくいい。全天球画像は→こちら
オレンジがテーマカラーみたいですね。吊ってある椅子とかすごくいい。全天球画像は→こちら
居間からキッチン・玄関方向を振り返った様子。黒いのが玄関の扉。いまは開け放ってる状態。キッチン横の壁紙もかわいい。
居間からキッチン・玄関方向を振り返った様子。黒いのが玄関の扉。いまは開け放ってる状態。キッチン横の壁紙もかわいい。
居間の奥を横に入ったところに寝室。ここも開放。ふとっぱら。
居間の奥を横に入ったところに寝室。ここも開放。ふとっぱら。
全天球画像は→こちら ・右が居間、左正面奥がバスルーム
全天球画像は→こちら ・右が居間、左正面奥がバスルーム
かわいい。住みたい。

写真とキャプションだけでは部屋の位置関係がよくわからないと思う。とにかくカクカクと折れ曲がりながらどんどん奥へ部屋がつながっている複雑な間取りで、それがすごく楽しかった。広くはないんだけど、探検してるみたいだった。こういう部屋理想。
部屋に貼ってあった平面図。ここは先ほどの家より小さくて、ひとり暮らしとのことだった。
部屋に貼ってあった平面図。ここは先ほどの家より小さくて、ひとり暮らしとのことだった。
ベランダもちょうすてきだった。
ベランダもちょうすてきだった。
横の階段からベランダを見たところ。毎日がアレクサンドラ・ビュー。あたらいまえだけど。うらやましい。全天球画像は→こちら
横の階段からベランダを見たところ。毎日がアレクサンドラ・ビュー。あたらいまえだけど。うらやましい。全天球画像は→こちら
さきほどの建築家さんの部屋とは広さも間取りも全然違う。このあとまわったもう3軒もそれぞれ異なる間取りだった。

これほど間取りにバリエーションがあると思わなかったのでびっくりだ。中に入れて本当に良かった。
どの部屋もバルコニーがよかった。これこそ「斜め」のおかげだろう。
どの部屋もバルコニーがよかった。これこそ「斜め」のおかげだろう。
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つなげたので見てくださいませ

以前「防火帯建築」の記事を書いた時に、その建物の魅力をどうにかしてお伝えしたく、勢い余ってやたらながーいパノラマ写真をがんばって作った。ぼくはどうやら気に入った建築があるとながーくしたくなるらしい。

ということで、アレクサンドラ・ロード・エステイトもつなげてみよう。
どーん。
どーん。
これで全体の1/4程度。わかってはいたが、奥行きのある建築の場合、平行パノラマに向いていない。階段のひろがりがじゃまをして1階の部屋が圧縮されてしまった。もっとやりようはあるんだけど、それにはもう一回撮影に行き直さなければならない。こまったなあ、しょうがないなあ、またいくかなあ。

せっかくなので、画像を横向きにしてより大きくご覧いただこうと思う。どーん!
スマホでご覧いただいている方は、横にすればよいのであまり問題ではないと思いますが、パソコンの方には申し訳ない。
スマホでご覧いただいている方は、横にすればよいのであまり問題ではないと思いますが、パソコンの方には申し訳ない。
満足しました。

アビー・ロードへ

十数時間のフライトから直行、アレクサンドラ・ロード・エステイトで大興奮。大満足もどっと疲れが。シャワー浴びたい。

しかし、行っておかねばならない場所が近くにある。アビー・ロードだ。
アレクサンドラ・ロード・エステイトから歩いて15分ぐらい。ここが例の横断歩道だ。みんなやってる!
アレクサンドラ・ロード・エステイトから歩いて15分ぐらい。ここが例の横断歩道だ。みんなやってる!
ビートルズの代表的アルバム「ABBEY ROAD」。その有名なジャケットの写真が撮られたのがここなのだ。一度は来たかった場所だ。 "Come together, right now, over me" と呼んでいるのが聞こえる。

歩いて近づいていったら、ひとだかりしている横断歩道があって「あそこだ!」とすぐわかった。上の写真でも分かるように大勢の人がここでジャケットの写真の真似をして写真を撮る。
ここに来るためにアビー・ロード・シャツを買った。飛行機の中もずっと着てたのでよれよれなのが惜しい。
ここに来るためにアビー・ロード・シャツを買った。飛行機の中もずっと着てたのでよれよれなのが惜しい。
ぼく自身はビートルズ世代ではないが、中学・高校のときに活躍していた音楽評論家やミュージシャンたちが何かというとビートルズビートルズ言う世代だったので、聴いておかなければならないのだな、と思ってよく聴いていた。90年のポールの来日コンサートにも行った。高校3年生だった。アビー・ロードのメドレーに感動した。
アビー・ロードのシャツを着て、アビー・ロードを横断。全天球画像は→こちら
アビー・ロードのシャツを着て、アビー・ロードを横断。全天球画像は→こちら
問題は、この横断歩道は信号がなく、車通りも多いため、ビートルズの真似をする観光客によって渋滞が起きることだ。ビートルズ渋滞だ。

きけばしばしば事故が起きるという。クラクションがひっきりなしになってた。一緒に行った妻によれば、通りかかった地元と思われる人が光景を見て "Such an idiot" と言っていたそうだ。ぼくが近所に住んでたらここの様子を定点観測写真にして作品にするんだが。
アビー・ロードの様子をライブで見せてる cam があって、現地で自分が写っているさまをキャプチャした。
アビー・ロードの様子をライブで見せてる cam があって、現地で自分が写っているさまをキャプチャした。

そしてなんと、団地に宿泊!

さて、渡英1日目にして充実の idiot であったが今回の団地充はこれだけでは終わらない。なんと、団地に泊まるのだ!
ロンドンにおけるすてき団地No.1(暫定・タイ)の
ロンドンにおけるすてき団地No.1(暫定・タイ)の "Trellick Tower" に泊まれるのだ! だいこうふん!
前回訪れた際の記事で決意した「次回は中に入りたい」が実現である。感涙。
Barbican と並ぶロンドンのブルータリズム建築の名作。設計・エルノ・ゴールドフィンガー。1972年竣工、高さ98メートル。
Barbican と並ぶロンドンのブルータリズム建築の名作。設計・エルノ・ゴールドフィンガー。1972年竣工、高さ98メートル。
泊まったので夜景も撮れました。それにしてもやっぱりかっこいいー!
泊まったので夜景も撮れました。それにしてもやっぱりかっこいいー!
はいるよ! 武者震い!
はいるよ! 武者震い!
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エントランスを入ると、守衛室があって、もうひとつドアが。ものものしいがとくに厳重警備されているわけでもなく、すっと入れちゃった。
エントランスを入ると、守衛室があって、もうひとつドアが。ものものしいがとくに厳重警備されているわけでもなく、すっと入れちゃった。
その先はエレベーターホール。この窓とかちょうかわいい。
その先はエレベーターホール。この窓とかちょうかわいい。
泊まるのは18階の部屋。ここはその階のエレベーターホール。ビビッド! (全天球画像は→こちら)重厚なエレベーターの扉もぐっとくる。
泊まるのは18階の部屋。ここはその階のエレベーターホール。ビビッド! (全天球画像は→こちら)重厚なエレベーターの扉もぐっとくる。
ちなみに階によってカラーリングが違う。これは最上階。
ちなみに階によってカラーリングが違う。これは最上階。
エレベーター内のソリッドな感じもよかった。
エレベーター内のソリッドな感じもよかった。
階段室も見事な黄色! (全天球画像は→こちら) 階段室好きとしてはたまらない。
階段室も見事な黄色! (全天球画像は→こちら階段室好きとしてはたまらない。
廊下。ここもカラフル! かわいい。全天球画像は→こちら
廊下。ここもカラフル! かわいい。全天球画像は→こちら
というように、共用部分ですでに大興奮だった。なかなか部屋に到着できない。

各階をなめるように見て回りたいのをぐっとこらえて、部屋に。

団地に泊まるためのサービスだったか

そもそもどうしてこの団地に泊まることができたのかというと、それは Airbnb(エアビーアンドビー)のおかげだ。まさかな、と思って検索したら、なんとTrellick Tower の住民で部屋を貸しだしている人が何人かいたのだ。びっくり。

正直、話題にはなってたけど Airbnb には興味がわかなかった。ほら、なんかコミュニケーション強者のためのサービスって感じじゃないですか。

しかしいまやぼくはAirbnbファンである。なんせ団地に泊まれるのだ! 世界の団地に泊まるためのサービスだと解した。すばらしいサービスだ。
右が今回部屋を貸してくれた Stephan さん。と Boris (犬の名前)。
右が今回部屋を貸してくれた Stephan さん。と Boris (犬の名前)。
Trellick Tower に泊まりたいという人は Stephan さんところお勧めです。すごく親切。

で、玄関入って「ここもか!」とびっくりした。
ドアを開けたらいきなり階段。
ドアを開けたらいきなり階段。
階段上がると、そこに各部屋が。全天球画像は→こちら
階段上がると、そこに各部屋が。全天球画像は→こちら
Boris がお出迎え。
Boris がお出迎え。
いきなりの階段に、Trellick Tower もメゾネットなのか! とびっくりしたのだ。ロンドンの団地、メゾネット好きか、と。

でもこれはメゾネットじゃない。玄関のフロアと住居フロアが違う階だというだけだ。

どういうことかというと、廊下は2階おきにしか通っていなくて、その上下のフロアの住居は、玄関が別の階にあるのだ。

いわゆるスキップフロアというやつだ。日本にもあるけど(大谷田団地とかスキップフロアの名作だよねー)、ふつう階段は住居の外にある。玄関の中に階段置くの海外っぽい。
外観でもわかるが、廊下と渡り廊下が2階おき。エレベーターもその階にしか停まらない。
外観でもわかるが、廊下と渡り廊下が2階おき。エレベーターもその階にしか停まらない。
この3戸だと、一番左の部屋は中に入っても階段なしでこのフロアに部屋が配置されている。真ん中のブルーの扉の部屋は、入ると下り階段があって、ひとつ下の階に部屋がある。一番右は入ると上り階段がある、Stephan さんちと同じタイプ。
この3戸だと、一番左の部屋は中に入っても階段なしでこのフロアに部屋が配置されている。真ん中のブルーの扉の部屋は、入ると下り階段があって、ひとつ下の階に部屋がある。一番右は入ると上り階段がある、Stephan さんちと同じタイプ。
なぜこんなにややこしいアプローチにわざわざするのかというと、廊下が走っていない階は、廊下側も窓にできるという利点がある。

実際、Stephan さんちなどは3方向窓だった! これは1フロア上のタイプであることとに加え、一番端っこに位置していることによる。うらやましい。
「ここがきみたちの部屋ね」と案内されたところにも大きな窓が。部屋の全天球画像は→こちら
「ここがきみたちの部屋ね」と案内されたところにも大きな窓が。部屋の全天球画像は→こちら
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その窓からの眺め。ここらへんでは Trellick Tower ほどの高さを誇る建物はないので、かなり遠くまで見える。正面がシティ。
その窓からの眺め。ここらへんでは Trellick Tower ほどの高さを誇る建物はないので、かなり遠くまで見える。正面がシティ。
東向きなので、朝日とともに目覚めるかっこうだ。つくづくいい部屋だ!
東向きなので、朝日とともに目覚めるかっこうだ。つくづくいい部屋だ!

まわりもいいぞ Trellick Tower

昼の様子。
昼の様子。
Trellick Tower はシティから西に7.5kmほどの場所(地図だとここ)にある。東京でいうと、新宿から荻窪とか経堂ぐらい。あるいは東京駅からだと東大島あたり、そういえば東大島にはいい団地が多い。

こうして見ると、ぼく好みの郊外的インフラ風景が近くに揃っていて、その点でもあらためて Trellick Tower が好きになった。
まず Westway の高速道路高架がいい。それに交わる線路もぐっとくる。
まず Westway の高速道路高架がいい。それに交わる線路もぐっとくる。
高架の下をよく見ると…
高架の下をよく見ると…
2階建てバスの操車場がある! すてき!
2階建てバスの操車場がある! すてき!
運河にはよく観光船が浮かんでいるし。
運河にはよく観光船が浮かんでいるし。
いやほんとにいいなここ! 住みたい!

Stephan さんに Airbnb で申し込むときには 「自分は団地フォトグラファーであり、Trellick Tower が大好きで是非とも泊まりたいのです!」と熱い思いを語り、いざ対面したときも、いかに自分が興奮しているかをまくしたてたところ…
朝食のときに Trellick Tower マグカップを用意してくれた。よっぽど好きなのだということが伝わったらしい。というか、こんなマグカップあるんだ!
朝食のときに Trellick Tower マグカップを用意してくれた。よっぽど好きなのだということが伝わったらしい。というか、こんなマグカップあるんだ!
そのキッチンもたいへん居心地が良い。全天球画像は→こちら
そのキッチンもたいへん居心地が良い。全天球画像は→こちら
リビングルームもすてき。何度もいいますが、ここ住みたい。全天球画像は→こちら
リビングルームもすてき。何度もいいますが、ここ住みたい。全天球画像は→こちら
キッチンの入口から階段方向を見たところ。間取りで言うなら3LDKだ。
キッチンの入口から階段方向を見たところ。間取りで言うなら3LDKだ。
またもやただの「すてきなお部屋紹介~ロンドン編~」みたいになってしまった。しかし、ブルってる(ブルータリズム然としているの意)外観とはちがう室内の雰囲気はぜひともご紹介したかった。

団地、きてるな

あと、現地のテレビ番組におもしろいものがあった。
その名も
その名も "Britain's Weirdest Council Houses" 「イギリスの超へんてこ団地」といったところでしょうか。というか、いい団地だなこれ。
この住民の方の部屋すごくて、
この住民の方の部屋すごくて、
すごい装飾! 団地なんだってよこれ!
すごい装飾! 団地なんだってよこれ!
しかもすべて自分で材料買ってきて彫刻したりしてゼロからつくってるらしい。すげえ。
しかもすべて自分で材料買ってきて彫刻したりしてゼロからつくってるらしい。すげえ。
イギリスでも、団地きてるな! と思った。

Trellick Tower も以前は少々荒れていたと聞くが、いまは Stephan さんのような方がお住まいで、ぼくのような人間も泊まることができるようになっている。

うん、やっぱり団地きてるな。

世界の団地に泊まりたい

やっぱり団地は中入っても楽しいな、とあらためて実感。この調子で世界の団地に泊まっていきたいと思う。
前回渡英時にはなんとか買うのを思いとどまった Trellick Tower のオブジェにまた出会ってしまった。小一時間悩んだ。欲しい。ちょう欲しいけど、2万円超だぜ!
前回渡英時にはなんとか買うのを思いとどまった Trellick Tower のオブジェにまた出会ってしまった。小一時間悩んだ。欲しい。ちょう欲しいけど、2万円超だぜ!
で、いま、ぼくの部屋にあります……
で、いま、ぼくの部屋にあります……

【告知】2016年11月6日「間取り図ナイト」

お台場カルカルの最後を記念し「間取り図ナイト」復活です。

11月6日(日)の13時から。詳しくは→こちら

今回はぼくも例の「マンションポエム」の発表をしますよ!
1000軒以上のマンションポエムをテキストマイニングするなど無駄に詳細な分析をしましたので、そういう話なども!
1000軒以上のマンションポエムをテキストマイニングするなど無駄に詳細な分析をしましたので、そういう話なども!
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