これからゴミのイラスト看板は増えてゆくのか減ってゆくのか。ただゴミ看板を観察し、むだな情熱をがんがん燃やそう、燃やしていこうと心に誓うのだった。
ゴミ看板の旅情
旅先でゴミ看板を見るのが好きだ。
燃える、燃えない、資源など各カテゴリーの代表として描かれたゴミのイラスト達に魅せられたのだ。
燃える、燃えない、資源など各カテゴリーの代表として描かれたゴミのイラスト達に魅せられたのだ。
京都のゴミ看板。
缶の銘柄もいい。「BEER BEER BEER」青いドリンクはちょっと読みにくいけど「STRIKE」
別の場所にあった少し新しい看板。缶の模様や缶詰の口部分などが微妙に変わっていてサイゼリヤの間違い探しのよう。
静岡県のゴミ看板、相良町は2005年に合併して牧之原市になっているのでこれは将来プレミアがつくかも(つかない)
魚のアゴが力強い。
東京ゴミ看板クエスト
そんならば家の近所はどうなのだ。と改めて自宅(東京都板橋区)のを見てみた。
あれ?こんなさっぱりしてたか。
こんなシンプルな文字ベースのサインだったっけ。
そうだっけ、他の地方で見たように、骨だけの魚やぶっこわれた家電製品のコミカルなイラストがたくさん載ってなかったっけ。確かめてみよう。誰かがやらねば。地味に壮大な東京23区ゴミ看板クエストがはじまった。
そうだっけ、他の地方で見たように、骨だけの魚やぶっこわれた家電製品のコミカルなイラストがたくさん載ってなかったっけ。確かめてみよう。誰かがやらねば。地味に壮大な東京23区ゴミ看板クエストがはじまった。
練馬区、やっぱ文字。
中野区、文字。
ダイドー感を大事にしたいい100円があった。
豊島区でやっと絵発見!絵じゃ!
パックにいちいち名称が書いてあるきめ細かさ。小さい絵は拡大すると楽しい。
包丁の壊れ方が尋常でない。
豊島区も別の地域では文字看板であった。写真は巣鴨。
新宿区に飛び込むとまた文字。
ピクトさんが投獄されていておそろしい。
思いのほか文字看板ばかりだなあと少し落胆しながら回っていたが東京の東側に侵入すると潮目が変わった。
台東区!線画!
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少ないイラスト看板をなめるように見よう
荒川区!
葛飾フルカラー!
枝に3色使用、いい仕事です。
足立区ではイラスト付きと文字看板が混在。
足立区もフルカラー。
アーノルド・パーマーのようなビビッドなカラーがかわいい。ポロシャツに刺繍したくなるゴミ達。
文字は一転してシンプルに。
墨田区(錦糸町駅周辺)では同じ通りに2種が存在していた。
イラスト看板。ごみの種類→曜日
文字看板。こちらは曜日→ごみの種類。
で、実はこれだけである。
今回、23区の中でイラストゴミ看板があったのは足立、荒川、葛飾、台東、豊島の6区であった。
今回、23区の中でイラストゴミ看板があったのは足立、荒川、葛飾、台東、豊島の6区であった。
各区においてだいたい2駅、各3~4カ所見て回った結果。
しらみつぶしに見て回ったわけではないので確実な事はいえないが、イラストものは想像よりはるかに貴重な存在だった。ゴミのイラストが見たければ東へ向かうのが吉だ。
ゴミの代名詞とは
イラスト看板で気になった事がある。「可燃ごみ」「不燃ごみ」などの各カテゴリでいったい何がモチーフとして描かれているのか。そこから現代社会の病理が見えてこないか、いや、そういうのは見ないでいいや。
ここは私のビジネススキルを存分に活かし、表計算ソフトのエクセルを使って集計してみた。
ここは私のビジネススキルを存分に活かし、表計算ソフトのエクセルを使って集計してみた。
かっこつけてみたが、ひたすら入力して数えるだけである。
エクセルを使ったデジタル集計の結果、可燃ごみ部門では3品がフルマークで並んだ。(資源ごみはかなり似通っているので今回は割愛します)
<可燃ごみ部門>
魚の骨・枝・ゴム長靴:6区(全地区)
生ゴミの代名詞というとやはり魚なのか。大根の葉、りんごの芯と連れ立って登場する事が多い。
葛飾区、魚の目が死んでいる。
余談だが隣のやぶれた写真?の絵がこわい。
台東区の魚もすばらしく虚無。
枝は墨田区がイチ推しである。
真っ黒の暗黒感ある枝がニョキ。
出せるサイズに制限があるため(直径10cm以内など)、きちんと先細りさせて小枝感を出しているケースが多い。
なんだかんだ書くのが一番わかりやすい(足立区)
ゴム長靴は台東区のリアリティが胸をうつ。
隣の革靴の「靴底べろん」は仕事で客先を訪問した時に経験したことがあり、見ると胸が締め付けられる。
りんごの芯、大根の葉、紙おむつ、革靴:5区
おむつ、革靴は問い合わせが多かったりするのだろうか。たしかに知らないとゴミ出すのちょっとひるむな。
台東区のギャザーがワイルドな紙おむつ。りんごの芯との間にあるミカンの皮が寄生獣。
豊島区の革靴、ファミコンのアイテムっぽい。
ビデオテープ:4区
CD・DVDなどを押しのけてオーディオメディアではビデオテープがトップだった。貞子もまだまだいけるではないか。
葛飾区のビデオテープ。ちなみに我が家はベータでした。
墨田区、ラップに「すみラップ」と書かれている芸の細かさよ。
逆に、孤高の存在として個性を放っているものもある。
台東区のうきわ、ビニール製品。
私が人生で唯一所有したうきわは西武ライオンズのマスコット、レオが大きくプリントされたもので、野球にはそんなに興味がなかったが親にねだって買ってもらった。当時はたしかクリンアップを田淵とかテリーが打っていた気がする。
おもちゃ系
発想がフリーダムなおもちゃ類は地区のセンスの見せどころだ。
葛飾区ゼンマイ鳥、ゴミとは思えないほど活き活きとしている。
豊島区クマのぬいぐるみ。脳のあたりをえぐられている。ウォーズマンのベアークローにやられたか。
<不燃ごみ部門>
傘:6区(全地区)
堂々のフルマークは傘、不燃ゴミの代名詞として見事に君臨している。
豊島区。屈強な猛禽類(ワシとかタカ)に上空から襲われたかのような穴
足立区の傘は無傷。
スプレー缶、茶碗、電球、グラス:5区
大混戦の2位グループ。グラスや電球の割れ方に哀愁を感じる。
豊島区。ビンの割れ方がすさまじい。
台東区もひどく怪我しそう。
同じく台東区のスプレー缶&ボンベ。
下の方の黒いぐしゅぐしゅしたのはなんだろう。植田まさし先生の描く女性の頭にあるのと同じようなものだろうか。
個人的に気になるアレ
芸が細かい墨田区、スイッチの描き込みがすごい、「ターボ」「ホット」「クール」まで3段階の風を自在にあやつっていた在りし日の姿が目に浮かぶ。
豊島区、コードなできちんと描いてある。
東京じゃないけど大好きなドライヤー画を紹介させてください。
岡山、業務用ドライヤーのブランド「Nobby」製品のようなデザイン。ひびが壮絶。
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「燃えるごみ」と言わない
次に気になったのは可燃ごみや不燃ごみの「言い方」である。
「可燃ごみ」「不燃ごみ」だったり
「燃やすごみ」「燃やさないごみ」だったり。
これもEXCELで集計だ!
入力して数えるだけ
結果としては「燃やすごみ」「燃やさないごみ」が「可燃」や「不燃」を大きく上回ったが、興味深いのは「燃えるごみ」「燃えないごみ」という表記が全く使われてないことだった。
「もやす」「もやさない」と唯一、ひらがな表記の港区の看板はずばぬけてほっこりしている。
なんか今までは普通に「燃えるごみ」「燃えないごみ」と言っていたような気がするのだが。気のせいだったかな。
と、実家のある神奈川県は厚木のごみ看板を確認してみると……。
と、実家のある神奈川県は厚木のごみ看板を確認してみると……。
やっぱもえるごみだ。
東京23区内の家庭や事業所から出された可燃ごみを焼却する清掃工場を運営している「東京二十三区清掃一部事務組合」に問い合わせてみたところ、2008年にプラスチックごみが「不燃」から「可燃」に変更された際、「燃える」より「燃やす」という言い方が使われるようになったと思われるが正確な要因は不明、基本的にゴミ看板の表現は各自治体の裁量との事。当時のネット記事では広報の資料などで言い方を変更したとある。(参照:ゴミ分別「燃えない」から「燃やす」へ/All About 2009年9月24日)
長い間、燃えないとしていたものを可燃として扱う場合、「燃やす」としたほうがマインド的に移行しやすいのはわかる。焼却技術や考え方の変遷によって「燃える」「燃やす」はこれからも各地でぐらんぐらんしてゆくのだろう。そのうち「消せる」とか「人の心を打つ」とか出てきたりして。
長い間、燃えないとしていたものを可燃として扱う場合、「燃やす」としたほうがマインド的に移行しやすいのはわかる。焼却技術や考え方の変遷によって「燃える」「燃やす」はこれからも各地でぐらんぐらんしてゆくのだろう。そのうち「消せる」とか「人の心を打つ」とか出てきたりして。
以前小田原で見つけた「もせるごみ」、存分に飛び出していて気持ちがいい。こんな兜がほしい。