ラップに書けるお台所文房具
エポックケミカルのブースでは、メインの新商品として、サランラップでおなじみ旭化成と共同開発した『ラップにかけるペン』を展示していた。
どういう製品かというと、名前から1ミリもずれることなく、ラップに字や絵が書ける水性マーカーである。
ペンよりもラップを貼ったお皿が目立つエポックケミカルブース。
ラップのようなつるつるしたものに水性インクを定着させるのはなかなか難しいのだが、試してみると、インクが弾かれることなくきれいに書ける。で、一度乾くと結露や水に濡れても落ちない。
面の塗りもばっちり。普通によく書けるマーカーだな、という感じ。
実はだいたいの油性マーカーならラップに書けるのだが、電子レンジで加熱すると油性インクが溶け出して、食品や皿が大変なことになってしまう。
『ラップにかけるペン』は電子レンジもOKということで、安心して使えるはずだ。
作りすぎたおかずを冷蔵庫に入れる時も、作った日付をラップに書いておけば、うっかり「あれ、これいつ作ったおかずだっけ。腐ってないかな…いいや、食べちゃえ」みたいなギャンブルをせずに済む。便利だ。
束ねて1セットになる6色マーカー。
あともう一つエポックケミカルで気になったのが『はにかむ』という6本セットのマーカー。
どういうものかと言うと、マーカーのキャップ部分がつながって一体になっているのだ。
そこそこ安定して立たせておけるのも便利。
子供にマーカーでお絵描きさせるとよくキャップを無くすんだけど、じゃあ、そもそもキャップが全部つながっていたら無くす危険性が大幅に減るだろう、というコンセプト。
おお、なるほど。いや確かにそうなんだろうけど、すごい大雑把な話な気もする。
お願い口調のハンコがかわいい
今年は初日から通してずっと人だかりのあったシヤチハタブース。
昨年のISOTで登場したハンコの自動販売機『osmo』が今年も展示されており、相変わらずの人気っぷりでずっと行列ができていた。
常に30分待ちぐらいの行列できてた。みんなハンコ好きだな。
で、そんなシヤチハタの新製品として紹介されていたのが、連結型スケジュールスタンプ『ポンプラン』だ。
女子女子したデザインの連結型スタンプ。
手帳のスケジュール欄に捺して使う「休み」「飲み会」「通院」みたいなスケジュールスタンプをロケット鉛筆のように連結して持ち運べるようにした、かわいい系のアイテムである。
筆箱に放り込んで持ち歩きやすいのがポイント。
実はすでに連結型スタンプは他社からも発売されているのだが、そこはさすがシヤチハタ、この『ポンプラン』用にネーム印も受注しているとのこと。
その辺りは印鑑メーカーの強みを活かして、うまく他社既製品との差別化を図っているようだ。
ザ・丁寧なお願い口調ハンコ。
もう一個気に入った新製品が、『お願いごとスタンプ』。
閲覧書類などに捺しておく角印なのだが、「要確認」とか「訂正」みたいな堅い感じではなく、いちいち「ご確認ください」「承認お願いします」「訂正してください」など丁寧なお願い口調になっているのだ。
これ、すごいほっこりする。
あと、インク色が茶色なのもいい。トゲトゲしく目立つ朱色とか、書類の文字に紛れて見えにくい黒色では無く、ぼんやりと地味だけど「あ、捺してあるなー…」ぐらいの茶色。
文面も色も共に低姿勢かつ、ほどよく地味なのがポイントなのだ。
もらった名刺に貼る専用ふせん
機能的なふせんを出しているビバリーは、今年は名刺に貼る専用のふせんの新製品を発表していた。
誤解しようのないネーミング。『めいしふせん』
名刺をもらっても、いつ・どこでもらったかは忘れがち。
もらった名刺にその場で書き込みをする人もいるが、個人的には名刺に直接ペンを入れるのはなんか気が引ける。
いつどこで会ったか、どういう人だったかをメモっておくと、次に会った時に「誰でしたっけ」みたいなことが無いという。僕は、メモってても忘れる。
なので、名刺に半透明のフィルムふせんを貼って、そこにメモを書き込んでしまえばいい。
これなら剥がせば元通りだし、いいんじゃないか。
さらにふせんにはタブもついているので、名刺箱に放り込んでも検索がしやすい。また、タブにはミシン目が入っているので、気になるなら切り離しても構わない。
パッケージごと名刺入れに入るので、持ち歩くのにも便利。
あと、最近は名刺をドキュメントスキャナにかけてデータ化する人も多いが、『めいしふせん』は薄いフィルムなので、貼ったままスキャンしても大丈夫だ。
お風呂ブックカバーと便利な祝儀袋
今回のISOT、偶然だとは思うが、祝儀袋・香典袋の進化版ともいうべきものがいくつかのメーカーから出展されていた。なぜいま祝儀袋なのか。
この7月に「ジェリーコールデザイン」から社名変更したばかりの「ジェコル」社。
ジェコルは、どんなサイズの本にも装着できるブックカバーや、お風呂で本が読めるブックカバーなどを作っているメーカーだ。
空気を入れた風船に本を入れた、的なもの。これもブックカバーと言っていいのか。
以前にテレビでお風呂用読書カバー『湯文』を見たことがあったので、へー、これがそうか、と遊んでいたら、「ぜひ新製品も見ていってください」と声をかけられた。
内袋単体の製品化ってかなり珍しいんじゃないか。
その新製品こと『お返しご辞退内袋』は、お金を包んで祝儀袋や香典袋の中に入れる内袋の最新版。
少額のお祝いなどでお返しをもらうのは気が引ける、ということが結構ある。で、口頭で「お返し要らないよ」と伝えても、社交辞令と取られて結局お返しが戻ってくる、ということもかなりある。
相手の名前だけ書けばいいバージョン。
そこで、お金を入れておく内袋の中に「お礼は要りません」とハッキリ書いておくと、わかりやすくて失礼にもならず、確実にこちらの意図が通じるのではないか。
内袋に自筆の手紙をいれておくのがベストなんだろうが、それも面倒くさいし…という人(僕だ)には、ありがたい内袋である。
とはいえ、この内袋、定型メッセージのみver、名前だけ手書きするverに加えて、罫線だけ入った自筆手紙verもあるので、自分の面倒度合いによって好きなのを使えばいい。
もっとダイレクトに、進化型香典袋
会場内には色々な商品が展示されているのだが、今回トップクラスに人目を引いていた商品名は、GMEブースの『行列のできない香典袋』だろう。
パッと見ですごい気になったし。
なんというか大胆すぎないか、その商品名。
そもそも香典袋で行列ができないってどういうことだ。なにをする香典袋なのか。
袋を開いていくと、小窓が。
GMEの方に説明を求めると、展示してある香典袋を開いて見せてくれた。
おお、小窓から紙幣の金額部分が揃って見えるようになっている。
なるほど、いちいち袋を完全に開けて中のお金を確認する手間がなくなるから、葬式の受付で行列にならない、ということなのか。
内側に接着されてズレ動かないお札ポケット。
袋の内側はポケットが3つあり、そこにお札を一枚ずつ入れると、外の小窓からちょうど金額が見えるようになっているのだ。
お札5枚とかにはどう対応したらいいのか、などの問題はあるだろう。が、受付側からしたら、この袋を使ってくれたら嬉しいだろう。
ちなみにGMEという会社、紙製品メーカーなのかと思ったら、性病やがんの郵送検査をやっている医学検査の研究所なのだとか。
たまたま社長がこの香典袋のアイデアを思いついたので、そのまま製品化してしまったということだ。
ファンシーな祝儀袋と、実用的なお悔やみメッセージ
対して、四国にある水引や金封専門メーカー、今村紙工のブースでは、ものすごくファンシーな結婚祝儀袋が展示されていた。
ファンシーなおしゃれ金封がいっぱい。
少し若向けの祝儀袋。水引がブーケになってる。かわいい。
こちらも水引がブーケに。ちょっとシックめ。
で、こちらで提案されていたのが、お葬式やお通夜に出るほどではないけど弔意は表したい、という人向けの製品。
手軽に送れるお線香。そういうのもあるのか。
お線香30g分とお悔やみの文面が入るカードがセットになっており、140円分の切手を貼ったらそのまま投函できるというもの。
なるほど。「子供が生まれたお祝いなら、とりあえず消耗品の紙おむつを送っとけばいいだろ」的な感覚かもしれない。お悔やみに、とりあえずお線香送っとくシステム。
結婚式だのお葬式だの細々と面倒なルールのある儀式に対して、こういう手順を省けて失礼にならないツールが出てくれるのは、非常にありがたい。
この手のアイテムはもっと進化してくれるといいのに。郵送で送りつけるだけで結婚式に出席したことになる祝儀袋とか、そういうの出ないかな。
まだまだ、金曜日までたっぷりと最新文房具レポートをやってまいります。
明日は、ISOT会場内で行われていたイベントや、日本市場をリサーチしまくった海外ブースの出展戦略をご紹介します。