特集 2015年4月30日

行列のできる店の隣の店にいくin神保町

神保町名物、キッチン南海行列。その隣に行こう
神保町名物、キッチン南海行列。その隣に行こう
テレビや雑誌などでよく「行列のできる店」が取り上げられる。美味しいとか、安いとか珍しいとか、とにかく何かがきっかけで話題を呼んで並んでいるんだろう。

では、その店の「隣の店」はいったいどんな感じなんだろうか。職場近くの神保町で試しにいくつか周ってみることにした。
東京葛飾生まれ。江戸っ子ぽいとよく言われますが、新潟と茨城のハーフです。
好物は酸っぱいもの全般とイクラ。ペットは犬2匹と睡魔。土日で40時間寝てしまったりするので日々の目標は「あまり寝過ぎない」(動画インタビュー)

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隣の店にフォーカス

古本だけでなく、グルメの街としても有名な神保町。

ラーメンにカレーに中華に焼き肉。どの分野も激戦していて、美味しいお店が生き残っている。ランチタイムともなれば長蛇の列ができるお店も多い。

行列の店はさぞかし美味しいんだろうな、と思うが、並ぶ気にはなれず素通りしてしまう。…あれ、まてよ。行列に目を奪われて、隣の店を見落としてないか? 今回は行列の「隣の店」にフォーカスしたい。
看板周りの絵がかわいいおにぎり屋さん
看板周りの絵がかわいいおにぎり屋さん
まずやってきたのはサラリーマンたちがカツカレー目当てで行列をなす「キッチン南海」の隣のお店。家族で営むおにぎり屋さんであった。

おにぎりの小林

であった、と書いたが私はたまにこちらでオニギリをいただいている。基本的にはお持ち帰り客が多いのだけれど、店には2席あるので、いつもそこでいただくようにしている。
今日はお父さんオススメのものを頼んでみた。高菜漬けと鮭だ。
今日はお父さんオススメのものを頼んでみた。高菜漬けと鮭だ。
いろんなお惣菜がコンパクトに詰まったおかずパックが嬉しい。それにお味噌汁(100円)を注文。
いろんなお惣菜がコンパクトに詰まったおかずパックが嬉しい。それにお味噌汁(100円)を注文。
招き猫の隣にはメダカが泳いでます。
招き猫の隣にはメダカが泳いでます。
お父さんはおにぎりが並ぶケースの前に立ち接客、お母さんは店の奥でオニギリを作ったり配膳する係だ。

店内には懐かしの歌謡曲がラジオから流れていて落ち着く。坂本九の曲がながれると、お母さんが鼻歌を歌い出した。ここではよくある光景だ。
神保町はお昼が特に賑やか。ここはノンビリできてそれが贅沢に感じる
神保町はお昼が特に賑やか。ここはノンビリできてそれが贅沢に感じる

寅さんが入ってきそうな店をイメージ

何度か来ているけど、今回初めて話しかけてみた。すると、このお店は「(男はつらいよの)寅さんが立ち寄りそうな、居心地のよいお店」をイメージしてるとお母さんが教えてくれた。そりゃ落ち着く訳だ。
おいしそうでしょう!
おいしそうでしょう!

これぞ日本の味

神保町には和食の店ももちろん多いけど、こんなにシンプルに和を感じる食事ができるところは無いんじゃないだろうか。

コンビニで買ってきたおにぎりは何かしながら片手間で食べてしまうけど、ここではしっかりと味わいたくなる。お味噌汁もおかずも、やさしい。
おにぎりの端っこまでしっかり具が入ってる。さすが手づくり。
おにぎりの端っこまでしっかり具が入ってる。さすが手づくり。

きっかけは親心

以前は果物屋さんだったらしい。

おにぎり屋さんを始めたきっかけを聞くと、「最近キレやすい子供が多いのは、ごはんや味噌汁をしっかり食べてないからじゃないかなって。朝からお肉を食べるようになって、運動能力は上がってるけどキレやすかったり暴力的だったりする。健康によくてしっかり栄養がとれるものを食べて欲しい」と話してくれた。
張り紙はお母さんが書いたもの。昔は筆耕士の仕事もしていたといって色々見せてくれた。
張り紙はお母さんが書いたもの。昔は筆耕士の仕事もしていたといって色々見せてくれた。
お寺からの依頼や、有名人アーティストの花環の名前、イベントの式次第など書いていたそうだ。
お寺からの依頼や、有名人アーティストの花環の名前、イベントの式次第など書いていたそうだ。
お母さんの達筆ぷりも注目してしまった。依頼をすれば書いてもらえるのかと聞いたが、もの凄い集中力をつかうので最近はやっていないそう。今はおにぎり作りに専念だ。
おとなしめなお父さんと楽しそうに話してくれたお母さん。奥の似顔絵がまたそっくり!
おとなしめなお父さんと楽しそうに話してくれたお母さん。奥の似顔絵がまたそっくり!
さて、一店めは馴染みの店を紹介したけど、ここからは初めてのお店ばかり。ほかはどんなお店があるだろうか。

店が無いパターン

翌日向かったのは、うどん「丸香」。ここも毎日長蛇の列だ。今回の列は女性も多く混じっている。こちらのお店の隣は…残念ながら夜しか開いていないバーだった。ベルギービールの専門店らしい。
うどん「丸香」の左隣はビールバー。右隣は普通のビル。
うどん「丸香」の左隣はビールバー。右隣は普通のビル。
カツカレーが人気の「まんてん」に移動。しかし両隣ともビルで店は何もない。
カツカレーが人気の「まんてん」に移動。しかし両隣ともビルで店は何もない。
男性率100%の「まんてん」の隣にはお店は無かった。

残念ではあるが、2軒お隣には神保町で人気のお店のひとつであるアボカド料理専門店「アボカフェ」の姉妹店が近々オープンすることを知った。これはこれで楽しみが増えた。
アボカド専門店の2号店「アボカフェプラス」ができることを発見。(記事公開現在はすでにオープンしている)
アボカド専門店の2号店「アボカフェプラス」ができることを発見。(記事公開現在はすでにオープンしている)
それにしても…長蛇の列があるところはなんとなく頭に入っているのに、その隣がどうなってるのかは全然覚えていないもんだな。
今度はランチが焼き肉食べ放題の「食肉センター」へやってきた。しかし隣は居酒屋。
今度はランチが焼き肉食べ放題の「食肉センター」へやってきた。しかし隣は居酒屋。
反対側はまた別の行列ができてた。
反対側はまた別の行列ができてた。

行列の隣が行列パターンも

この辺りは行列の店の塊エリアだった。天ぷら「いもや」に(いもやは暖簾分けしたお店が近くにいくつかあるのだが全部行列)、ラーメン屋「さぶちゃん」、古くからある洋食屋「キッチングラン」など一区画がぜんぶ並んでしまっている。

まずいぞ…。調査じたいはとても楽しいのだが、私の昼休みの時間がなくなってきたのだ。
今日の最後の頼みの綱「ラーメン二郎」。しかし隣はビル。ついでに手前のラーメン屋も行列。
今日の最後の頼みの綱「ラーメン二郎」。しかし隣はビル。ついでに手前のラーメン屋も行列。
この日思いついていた行列の店はもう周りきってしまった。こんなに苦戦するとは正直思ってなかった。今日は諦めるしか無いのだろうか。
あ! 右隣は八百屋さん・・・
あ! 右隣は八百屋さん・・・
というわけでエクアドル産バナナ(230円)とリンゴ(150円)を買った。並べるとゴリラの食事ぽい
というわけでエクアドル産バナナ(230円)とリンゴ(150円)を買った。並べるとゴリラの食事ぽい

ラーメン二郎の隣は八百屋

完全なる想定外だがこの日の昼食は果物に決定した。店内と店頭に並ぶ野菜や果物は、そんなに種類が多いわけではないけど新鮮で美味しそうだった。

ちなみに神保町では八百屋をほとんど見かけない。非常に貴重な存在なのだ。
キュウリやトマトもそのまま食べられるけど、外で食べるには勇気がいるので却下。
キュウリやトマトもそのまま食べられるけど、外で食べるには勇気がいるので却下。
バナナだけのランチは初めて。
バナナだけのランチは初めて。
適当なベンチに座りバナナを3本食べた。とにかくお腹がすいていたし時間が無かったので勢いよく食べた。エクアドル産のバナナは普通の1.5倍くらい大きく、1.5倍くらい甘くて旨い。

しかし目立つな。道路脇でバナナ食べるとすごく目立つな。そして3本は流石に飽きるな。食べ終わるのに10分以上かかった。

バナナだけでお腹いっぱいになったのでリンゴは家に持って帰った。

人気カレー屋の隣

翌日向かったのは、カレー屋が多い神保町で毎回上位の人気を誇る「ボンディ」。こちらのお店は多くの古書店がビルにはいった「古書センター」の2階にある。
カレーが1350円からとなかなかのお値段だが大人気。
カレーが1350円からとなかなかのお値段だが大人気。
その古書センターの両隣はどちらも古書店。
その古書センターの両隣はどちらも古書店。
表の通りから見ると、隣は両方古書店だった。今日も不発か・・・と落胆したが、裏側にまわるとあった、ステーキ屋さんだ!
同じビルの1階にあるので正確には斜め下に位置するお店。ステーキ&ワイン「神房」
同じビルの1階にあるので正確には斜め下に位置するお店。ステーキ&ワイン「神房」
メニューを見たらちょっと戸惑った。お高めだ。
メニューを見たらちょっと戸惑った。お高めだ。
ボンディの行列写真だけでも撮ろうと裏手に回ったところ(1階の書店は抜けられなかった)、手前にステーキ屋さんがあるのを発見した。

昼から贅沢だが、昨日はバナナだけだった事を考えて今日は良しとしよう。それにこんな機会がないと入ることは無いかもしれない。

ステーキのほかにはカレーとハンバーグが食べられるお店らしい。
入ってすぐ右側が厨房。静かな雰囲気だ。
入ってすぐ右側が厨房。静かな雰囲気だ。
私の後にふらっと入ってきた男性が英字新聞広げてかっこいい。私にそんな余裕は無い。
私の後にふらっと入ってきた男性が英字新聞広げてかっこいい。私にそんな余裕は無い。
頼んだのはカットステーキ。きのうとは打って変わって贅沢!
頼んだのはカットステーキ。きのうとは打って変わって贅沢!
金額を加味してステーキ100g 1350円をオーダー(一番リーズナブル)。

美しく盛られたステーキはとても美味しそうだ。神保町にはステーキのお店もたくさんあるけど、立ち食いだったり学生向けのガッツリ系なので、雰囲気も含めてまるで違う。

おもしろいのが、ステーキなのにお箸とお茶碗がでてきた所だ。汁物も人参のクリームスープかお味噌汁から選べる。つけ合わせも和洋折衷だ。

柔らかいお肉はもとより、野菜が美味しいこと。ペロリとたいらげてしまった。幸せである。
肉のアップもそりゃ撮るよ
肉のアップもそりゃ撮るよ
なんでもない平日の昼に、こんなステーキを食べることになるなんて予想外で刺激的だった。ステーキの横に添えられていたものが何か気付かずそのまま口に入れたら西洋ワサビで、それも違う意味で刺激的だった。

ボンディのカレーがここでも味わえる!

そして凄い発見をした。なんと行列のできるボンディのカレーがここでも食べられるのだ。
ボンディに並ぶ時間がない人やたまには違うものを頼みたい常連客にはいいかも。
ボンディに並ぶ時間がない人やたまには違うものを頼みたい常連客にはいいかも。
ボンディの人気カレーをさらにグレードアップさせるお店があったのだ。こんな近くに。
食後のドリンクつき。
食後のドリンクつき。
昨日のバナナとはまた違った非日常が味わえた。こういう風に毎日予想がつかないランチはいつもよりずっと楽しい。

さぼうるの隣

最後にやってきたのは今年で60週年を迎えた喫茶「さぼうる」の隣のお店。
ナポリタンが人気の喫茶「さぼうる」
ナポリタンが人気の喫茶「さぼうる」
さぼうるの隣は、お寿司屋さんであった。なんと、昨日より入りづらい感じだ。メニューは表に無いし、扉の格子からうっすら見える感じだとカウンターだけである。敷居が高い。怖い。

しかし、昨日のところもそうだけど、こういう機会でないと入らないかもしれない。どうしても手が出せない値段だったら財布忘れましたと謝って引き返せばいいのだ。

5分くらい周りをウロウロして、テンションをあげてからエイヤと入店した。
お寿司屋さん「六法」。寿司好きだけど怖い。
お寿司屋さん「六法」。寿司好きだけど怖い。
そっと扉をあけると、店員さんが荷物を預かってくれた。店内はLの字型のカウンターで、3人の職人さんが中に並ぶ。

私が入ることによってちょうど満席になった。たいがいが2人組で、みんな常連さんのようす。壁にあるメニューには1200円、1700円、2200円、3200円の値段が書かれているのみ。お任せ握りのようだ。想像していたよりはずっと良心的な値段である。

ちなみに1200円のものは店内の特別価格で、出前では出せないよと教えてくれた。そしてたぶん昼価格。
フフフフフ
フフフフフ
というわけで、好物のイクラが入っていることを確認してから店内価格の1200円のものを頼んだ。目の前で握ってくれるお寿司がこんな値段で味わえるなんて…いいお店見つけちゃった。

聞くと44年にもなる老舗。通って何十年ともなる常連さんが多く、私のように一人で飛び込みでくる客は少ないそうだ。そりゃそうだと思う。普通こわいよ。
シャリが柔らかく握られているそうでお箸は無い。
シャリが柔らかく握られているそうでお箸は無い。
目の前に大将がいるので食べるの緊張した。
目の前に大将がいるので食べるの緊張した。

隣のネタも美味しそう

とても美味しくいただいた。しかし、カウンターなだけあって隣の人のより良いネタに目がいってしまった。同じ卵焼きでも全然違うんだもんな。

また今度バナナで節約して、翌日もっといいネタの寿司を頼もうかしら。「隣」に注目するのは面白い。

灯台下暗し

この企画をやっている間、いったい今日はどんなお店だろうとワクワクして楽しかった。それがよく通る道だったりするから不思議なのだ。どれだけ見てないんだよ、と。

それにしても、神保町の「行列のできるうまい店」を知っている人は多いかもしれないが、その隣までもを把握している私はかなりツウと言っていいだろう。問題は、並ぶのが嫌いで行列の店にはまだ入ってない事だ。嵐の日を狙って行こうと思う。
うどん屋の外に一人席があってちょっとカッコ良かった。
うどん屋の外に一人席があってちょっとカッコ良かった。
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