立川のパブリックアート
東京都立川市のJR立川駅近くに「ファーレ立川」という、デパートやホテル、ビルなどが集まった街区がある。
この街区は、もともと基地だった場所を再開発し、街を作ったエリアだ。
こういった再開発で新しくできた街には、よく彫刻などの芸術作品を路上に展示する「パブリックアート」というものがありがちだ。
ファーレ立川にものそんなパブリックアートがあるのだが、その中には「ん?」と思うようなアートがいくつかある。
たとえばこちら。
網カゴの前で記念写真
巨大な網カゴである。シンガポールの作家タン・ダ・ウの「最後の買い物」という作品だ。網カゴの中には排気口のようなものが設置してある。
巨大なものがあると、おもわず記念写真を撮りたくなってしまうひとのサガ。たとえそれが排気口であっても。
「日常的なものを拡大することによって、社会の矛盾について考える」ということらしいのだが、「スゲー」の方が先立ってしまい、社会の矛盾にまで考えが至らなかった。
それとも、日常的なものでも拡大されると、たとえ排気口であっても、思わず記念写真を撮ってしまうという行為そのものが、社会の矛盾ということなのだろうか?
巨大な◯がみえるアート
さて、今回いちばん見たかったのはこちら、立川の高島屋とホテルの間にあるアートだ。
通路に突然浮かび上がる黒い丸
フェリチェ・ヴァリーニというスイス生まれの現代美術家の「背中合わせの円」という作品。
ある一定の場所に立つと、黒い輪っかが浮かび上がるというアート作品だ。
ヴァリーニは、このようなある場所からみると平面にみえるような幾何学模様を建築物などに描く作品で知られる。
ちなみに、フェリチェ・ヴァリーニで
画像検索するととてもおもしろい。
ちょっとずれるとこんなふうにわけがわからなくなる
「背中合わせ」というのは、この後ろににももう一つ輪っかがみえる場所があるからだ。
階段の出口を囲うようにわっかが見える
うーん。丸だ。
街の風景の中に、これだけ本意気の丸が存在するのはかなりの違和感があるけれど、すごくおもしろい。
ワープゾーンが開く直前みたいな景色だ。
しかし、さっきのでかい網カゴもそうだけど、パブリックアートって違和感を楽しむものなのだろうか?
さっきから「わー、丸だ!」「すげー」とはしゃいでるのは、ぼくたちだけだ。近所の人は、あまりにあたりまえすぎて慣れっこになってるのだろうか?
近づくと崩れる感じもまた面白い
もちろん、これらの輪っかは近づいてみると崩れてしまう。
近づくとわけがわからない
線がちゃんと途切れてる
近づくと「なーんだ」思うが、かなりの広範囲に歪んだ線を描かなければいけないので、実際に作るとかなり手間がかかるはずだ。
制作は、プロジェクターで映像を投影して、そのとおりに線を描いているらしい。似たようなことはすでに
当サイトでもやっているのだが、とにかくこれは規模がでかい。
記念写真を撮ろう
こんな楽しげなアート作品、ただ見て写真を撮るだけじゃつまらない。
せっかくなので、ぼくもこのアートと一体化した記念写真を撮りたい。
このために白っぽい服を着てきたのだ
ダイソーの黒いガムテープ
黒いガムテープを体に貼って、アートと一体化するのだ。
ガムテを斜めに貼って……
完成!
撮影を頼んだ妻の指示にしたがい、姿勢を調整する……。
えんやー
ポーズは、白鶴まる! のポーズである。
うっかり大成功しちゃってる。アートに違和感なく、すっかり馴染んで一体化している。
ほんとは「しっくりこないなー」と、試行錯誤するつ過程をおもしろおかしく書こうとおもったのにこのザマである。
わかった、後ろの方の円でもう一回やってみよう。
ガムテープを付け直し
こうかな?
ばっちり一体化できた
わりと違和感なく、一体化に成功した。
ここで、妻が「もうちょっと、こう、顔を横断してるような感じにしたい」と、一体化が甘いと言い出した。
え、顔?
あぁ、こういうことね
これでよろしいでしょうか?
……。
そして俺は、アートとなった
無理やり参加するパブリックアート
みなさま、立川へおでかけの際は、ぜひ黒いガムテープをご持参下さい。ただ見るだけではなく、アートに無理やり参加したような記念写真が撮れます。
これが本当のパブリックなアートかもしれない。