特集 2014年10月8日

そばとうどんが一つになった「そどん」を作りたい

これを混ぜて食べて美味い!っていう話
これを混ぜて食べて美味い!っていう話
以前、当サイトのライター斎藤充博さんがうどんとそばがひとつになった「そどん」を出す店という記事を書いていた。うどんとそばが一つの麺になっていて、それが美味しいらしい。

その記事を読んで、食べたいなと思っていたのだがいかんせん家から遠い。どうにか食べられないものかと考えていたが、意外に作れるのではないかと気がついた。

と、いうことで作ってみよう。
1983年三重県生まれ、大阪在住の司法書士。
手土産を持参する際は消費期限当日の赤福で受け取る側に過度のプレッシャーを与える。

前の記事:歩きスマホは思った以上に危険

> 個人サイト owariyoshiaki.com

そばとうどんを打つ

気温24℃、加水率50%、塩分率14%
気温24℃、加水率50%、塩分率14%
そばとうどんが合体した「そどん」を作るためにまずは、うどんとそばの生地を打つ。うどんは普段から作っている感じの讃岐風。
袋に入れてから踏むけど、いつも一応お風呂上がりに踏むことにしている。
袋に入れてから踏むけど、いつも一応お風呂上がりに踏むことにしている。
手順は簡単で、塩水と中力粉を混ぜて踏んで伸ばして切るだけ。それだけで美味しくなるから小麦粉はすごい。

その工程を思いつくまでは大変であったろうが、すでにその方法が周知されている現代に生きている僕たちは生まれながらにして小麦粉はすごい世代、勝ち組である。
すべすべもちもちでかわいい。
すべすべもちもちでかわいい。
いとも簡単にうどんが完成。極めようとすると奥が深いが、食べられないくらいの失敗はしないのでうどんは偉い。

そば怖い

韃靼そば粉
韃靼そば粉
作り慣れたうどんに対して初挑戦のそば。作る始める以前にまず買ってきただけで驚いた。うどんが1キロ289円に対してそば粉が500グラム600円。

四倍。粉の値段がそばはうどんの四倍。予想以上の価格差にそばが高い訳を知る。だが、そしたらそばうどんの値段が同じな立ち食いそばは何なんだ。
そばと小麦粉をブレンド。
そばと小麦粉をブレンド。
そばを打つにも、そば粉100%だと打つのがムズカシイというので小麦粉と混ぜる。小麦粉とそば粉の割合によって二八そば(小麦粉二割のそば粉八割)やら、七三そばやらと分類されるくらい、そば粉の割合は重要だそうだ。
水と合わせてるだけで香ばしい匂いがしてくる。
水と合わせてるだけで香ばしい匂いがしてくる。
そんな重要なポイントだが、計量がめんどくさいので小麦粉が100グラムそば粉が200グラムとした、二八そば的な表現をすると三,三三六,六六そばってことになるが、約分して一二そばと呼ぶとわかりやすくていいと思う。
中々固まらないんですけれど。
中々固まらないんですけれど。
ネットで作り方を調べると先ほどの粉に40%位の水を混ぜ合わせるらしい。そばは塩すら入れないのか。団子とか餅みたいな作り方だ。

さてこの生地を麺にしていこう。

製麺機を買ったんですよ

麺生地を麺にする。となると製麺機の出番だろう。あっ、そうそう、製麺機を買ったんですよ。
カッコいいだろう。
カッコいいだろう。
当サイトライターの玉置さんが家庭用製麺機を買って「俺の製麺機は力強いんだぜ!」という記事を書いており、ものすごく欲しくなった。
あぁ、カッコいいだろう。
あぁ、カッコいいだろう。
しかし、真似するのは恥ずかしいし、人のネタのフィールドに入っていくのも憚られるな…。と思ってためらっていた。
良い…。
良い…。
すると、当サイト編集部の安藤さんが「うどんは天ぷら粉で打った方がいい」という記事を書いて「玉置さんの見てたら欲しくなっちゃった!」ってストレートに言って製麺機を買っちゃっていた。

なにそれ!素直!!良いな!!!と思って俺も買った。すぐ買った。そしてその素直な欲求そのままに製麺機を自慢する記事を書きたい!と思って書いたのがこの記事である。

早速作ります

早速作ります
早速作ります
製麺機を手に入れてから伸ばしと切りが簡単になって、麺の水分量や塩分量、寝かし時間など色々試行錯誤するのに力を注げるようになって製麺の楽しさが増した。
びろーん
びろーん
製麺機があれば製麺機任せになるのではないかと思っていたがとんでもない。製麺機は麺打ちに自由を与えてくれる。翼である。
モロモロッとしてる。
モロモロッとしてる。
みにょーんと伸びる。
みにょーんと伸びる。
うどんに続いてそば。工程としては同じなので出来ると思うのだが感触が全然違って戸惑う。伸びるうどんに対してモロッと崩れるそば。ネリケシみたいな感触。いい匂いするけど食べちゃいけないって言われるアレだ。
全然麺になってくれない。
全然麺になってくれない。
不安ながらも麺にしようと伸ばすが全然伸びない、まとまらない。ポロッポロッと製麺機を通り抜けるそばと同じ成分をした何か。緑のネンドみたいなやつ。

水分が、水分が足りない気がする。
泥遊び
泥遊び
水だ!と思って少し足したら表面だけヌルヌルし始めて、オカシイ…。と思って更に足したら完全に泥になった。水を合わせるのは初めの瞬間しかないのだ。製麺機で翼を授かるハズが泥になったそば。

ムズカシイとは聞いていたが想像以上。完全にどうしようもない。さよならそば。ヌルヌルだけどスタッフがこのあと美味しくいただきました。
泥と
泥と
生ハムと
生ハムと
卵とチーズと
卵とチーズと
焼いて
焼いて
そば粉のガレット美味い!
そば粉のガレット美味い!

そどん完成

美白のそば。
美白のそば。
ガレットをたくさん作って冷凍した後、再度そばをこね直した。水分量を50%位にしたらなんとか麺帯にはなってくれた。さっきのは完全に水分量が少なかったようだ。ネット情報を鵜呑みにするのは本当に良くない。
こういうことがしたかったわけ。
こういうことがしたかったわけ。
かなりの分量の文章を読み進めて頂いているが、やっとやりたいことに辿り着いた。こうすれば「そどん」が出来る。ハズ。
あっ、出来た。
あっ、出来た。
恐る恐る製麺機を通すと表は緑、裏は真っ白な帯が姿を現した。そどんだ!
びろびろびろびろ~
びろびろびろびろ~
興奮を抑えながらカッターを通す。何度やってもこの瞬間はワクワクする。それも出てくるのがそどんであるならなおさらである。
二種類の麺が入り混じってるように見えるけど、一種類の麺。
二種類の麺が入り混じってるように見えるけど、一種類の麺。
これがそどん、抹茶とバニラのソフトクリームのハーフアンドハーフみたいな見た目。果たしてどんな味がするのだろうか。

そばとうどんが混じったような味がする

ガラスの器が透明すぎて、テーブル直置きみたいに見える。
ガラスの器が透明すぎて、テーブル直置きみたいに見える。
茹で上げると抹茶とバニラのソフトクリーム感は影を潜めて、違う麺が混ざってるようにみえる。が、よく見ると二色の層があるのに気づく。

前出の記事で斉藤さんは歯磨き粉のアクアフレッシュみたいだ。と言っていたが、上手いたとえだなぁと思う。
美味いのか。
美味いのか。
一口食べると案外普通。と思ったけど、あっ、ちがう、普通じゃない。

ザラッとしたそばとうどんのツルンッとした麺肌が滑りこんできた後、そばの香りが広がって、噛むとそば部分にサクッと歯が通ったかと思うとうどん部分がムニーっと粘りを見せる。

全体の成分だけで言えば小麦粉を六割以上使った薄いそばなんだけれど、きちんとそばの特徴とうどんの特徴が立っている。そしてそばとうどん、それぞれを同時に食べた時とは違うのがまた面白い。

これがそどんか。近いようで遠い二種類の麺が出会ったケミストリー、それがこんなに美味しいのならば、もっと他にも可能性があるのではないか。
さてこの麺類はなんでしょう。
さてこの麺類はなんでしょう。
そばとラーメンで、ソーメンです。
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ソーメン作ろう

ラーメン二郎の麺に使われているということで有名なオーション。菓子パンやソフトパンに適しているそう。麩質が強いのが特徴だそうです。麸質ってなんだ。
ラーメン二郎の麺に使われているということで有名なオーション。菓子パンやソフトパンに適しているそう。麩質が強いのが特徴だそうです。麸質ってなんだ。
そばとうどん、それでそどん。ならば、そばとラーメンでソーメンだろう。それが言いたいばかりに広がる展開。中華麺を作ります。
左がうどんで右がラーメン。しっとり感と荒々しさが対照的。
左がうどんで右がラーメン。しっとり感と荒々しさが対照的。
ラーメンは強力粉で水分率35%の小麦粉500グラムに塩とかんすいが5グラムずつ。今回は個性を伸ばそうと強力粉で低加水率にしたが、実はうどん生地にかんすいを入れたらラーメンになる。
出来た。
出来た。
うどんとラーメン、全然違う麺類なイメージだがほんの少しの違いしかない。ゴリラと人間のDNAは98%同じだとかいうけれど、うどんとラーメンも98%同じで、違いの2%がかんすいなのだ。
めっちゃそば。
めっちゃそば。
ということで出来た、ソーメン。そどんよりも見た目にそばっぽい。さてお味のほどはいかがでしょうか。
塩すだちソーメン。チャーシューは面倒なので生ハムを入れた。
塩すだちソーメン。チャーシューは面倒なので生ハムを入れた。
ソーメンは鶏ガラベースの塩スープ、そこにすだちを絞り入れてサッパリと仕上げてそばでもラーメンでも合うような気がするようにやってみた。
温かい状態でもちゃんとコシがある。
温かい状態でもちゃんとコシがある。
そばとすだちの香りにムチッとした噛みごたえ。そばの香りは活かしつつ、コシの強さを中華麺が補ういい関係。しかし多い、食感が多い。

そして味も多い。複雑、奥の深い複雑さじゃなくドン・キホーテのゴチャッとした感じの複雑さ。おもしろ食べ物の域は出ないか。
半生になった生ハムが美味い。半生ハム。
半生になった生ハムが美味い。半生ハム。

そぱはどうだろう

ソーメンが作れたならば、これはどうだろうか、そぱ。蕎麦ではなく、SOPA。そばとパスタでそぱだ。
小麦粉の懐の深さには敬服するばかり。
小麦粉の懐の深さには敬服するばかり。
お次はパスタ。なんとパスタは小麦粉(デュラムセモリナ粉)と塩と卵、オリーブオイルを混ぜたら出来るらしい。何だその材料、炭水化物に卵と調味料って、ほぼ卵かけごはんじゃないか。
すごく簡単。
すごく簡単。
他の麺類だと水分量は1%単位で指定されるのに、パスタは卵一個。とか塩少々。とかいう風に書かれていて、卵ってそれぞれ大きさ違わない!?とか少々って、それで発酵具合変わるだろうよ!!と思わされる。

でもなんか出来た気がするのでパスタはすごい。
異国のガムでグルグル巻き取れるようになってるやつ昔あったのに似てる。
異国のガムでグルグル巻き取れるようになってるやつ昔あったのに似てる。
麺帯になったそぱはアメリカのお菓子みたいな色合いで主食にしたくない感じがすごい。初見では食べ物かどうかも疑わしいと思うだろう。俺も初見だけど。
茹でたら意外と食べ物っぽい見た目になった。
茹でたら意外と食べ物っぽい見た目になった。

わさびシーチキンが超うまいよ

さて、このそぱをどう食べるか。和風パスタに寄せていけば双方上手くいくのでないか。そこで私におすすめがある。わさびシーチキンおろしそぱだ。
見た目はアレだけど、ためらいなく。
見た目はアレだけど、ためらいなく。
まずシーチキンは油漬けの物を選ばなければならない。水煮じゃ駄目。水煮を選んでしまうのは欲望の開放のさせ方がへたっぴだ。分かっている、ほんとうに欲しいのは油漬け。ジュワッとジューシーな油漬け。
そぱの上に大根おろしを好きなだけ乗せて
そぱの上に大根おろしを好きなだけ乗せて
でも、それはあまりにカロリーが高いから、ヘルシーとかいう言葉でごまかそうとするんだ。ダメなんだよ、そういうのが実にダメ、折角シーチキンを食べようっていうんだ、覚悟をして油漬けを選ぶんだ。
後はポン酢をかけたら完成。
後はポン酢をかけたら完成。
もちろんシーチキンの油切りはしない。ここが味でありポイントだ。そこにわさびをググッと絞り出す。こんなにッ!?って思う位に入れてちょうどいい。そしてよく混ぜる、ここが大事。怠ると痛い目を見ることになる。
わさびシーチキンおろしそぱ
わさびシーチキンおろしそぱ
出来上がったわさびシーチキンおろしそぱ。約束された美味しさの確認作業に入る。美味い、当たり前に美味い。

タップリと入れたわさびはシーチキンの油によって辛さが抑えられ、さわやかな香りと爽快感だけが引き立って清涼な風のよう。その風に吹かれたシーチキンは海鮮の本能に目覚めて魚ッ!って感じに主張し、油はコクだけを残して味に深みをもたらしている。

これほどまでに組み合わせて双方の味が引き立つ組み合わせを私は知らない。ご飯にかけて食べる際はわさチキンの味がよく分かる、塩で行くのもオススメだ。ちなみに、そぱ自体はそんなに美味しいものではなかった。
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うどんとパスタでどうだろう

そばと色々なものを組み合わせてきたが、今まで組み合わされてきた方でもいいものがあるかも知れない。あったんですよ。うどんとパスタ、なんて呼ぼう、「うすた」かな。
うすた、生麺の時点から美味そう。
うすた、生麺の時点から美味そう。
パスタを作った際に「ほぼ卵かけごはん」と書いたが、カルボナーラは更にそれを卵かけごはんにするような調理法だ。卵かけごはんafter卵かけごはん、狂気の沙汰だ。
ほら、もう明らかに美味くない?
ほら、もう明らかに美味くない?
そしてうどんにも卵かけごはんと称される料理法がある。そう、釜玉うどんである。うどんとパスタの合成麺、うすたでそのいいとこ取り料理、カマタマーラ。これは間違いないのではないか。
勝った(確信)。
勝った(確信)。
茹でたての麺に生卵とチーズ、生ハムを混ぜあわせて半熟状になる卵、とろけるチーズ。そこに香りづけ程度に醤油を一かけ。仕上げに黒胡椒を削ったら出来上がりだ。
ぷりっぷりのプルプルなんですわ。
ぷりっぷりのプルプルなんですわ。
そしてこれには二種類の麺が味方した。茹で上げたてでプルプルに瑞々しいうどんをしっかりとしたパスタが引き締める。食感が違う事によって噛み切るごとに踊るような動きをする。面白さが味にプラス作用した。

もちろん味付けとの相性もバッチリ、和洋の卵かけごはんがご飯を介さずに出会った瞬間である。

ラーメン+パスタ=ラスタ

これがラスタ
これがラスタ
どんどん増えていく合体麺。次はラーメンとパスタでラスタ。この麺に最適なものは何か。ラーメンのようなパスタ、パスタのようなラーメン。
食べたこと無いから想像で作ったトマトラーメン。アサリ出汁にホールトマトと塩コショウ。
食べたこと無いから想像で作ったトマトラーメン。アサリ出汁にホールトマトと塩コショウ。
少し前からちょこちょこ見かけるトマトラーメン、アレってトマトソースのスープパスタの麺をラーメンに変えただけではなかろうか。ならば、ラスタにももちろん合うはず。
なんなのか全くわからないビジュアルになった。
なんなのか全くわからないビジュアルになった。
トマトラーメンをトッピングで緑、黄色、赤のラスタカラーに。が、これは麺がイマイチ。酸味の強いスープに麺が対抗しきれておらずバランスがよくない。スープ自体は美味しかったので煮詰めてパスタに絡めて食べたい。

一番うまいやつ、うーめん

最後に一番美味かった料理を紹介しよう。それがうーめん(宮城県の名物温麺(うーめん)とは別物です)だ。
最後に一番美味かった料理を紹介しよう。それがうーめん(宮城県の名物温麺(うーめん)とは別物です)だ。
最後に一番美味かった料理を紹介しよう。それがうーめん(宮城県の名物温麺(うーめん)とは別物です)だ。
うーめんはうどんとラーメンを合体させたもの。もうこの辺りまで来たら慣れてきちゃって普通の麺に見えるし、全然写真撮ってなくて困った。
はい、ジャンクー。ジャンク美味い~。
はい、ジャンクー。ジャンク美味い~。
茹でたてのうーめんに醤油とオイスターソースをかけて豚肉と、豚肉を炒めた時の油をまわしかける。そこに卵の黄身を落としてバターを添える、食べるラー油のカリカリバージョンを散らし、申し訳程度に緑の植物を乗っければ完成だ。

炭水化物に肉!油!卵のまろやかさと、ラー油の刺激!にんにくの香り!!!本能、脳に直接作用して、歓ぶ味。
全部ガガッっと混ぜて食べる。食べる 手 止まらない。踊る ココロ 止まらない。
全部ガガッっと混ぜて食べる。食べる 手 止まらない。踊る ココロ 止まらない。
このジャンクな味を受け止める麺。うどんが伸びて、ラーメンがムチッっと粘る。これは今までになかった食感だ。

うどんとラーメン、作り方的に一番近い二つなので方向性が近いのか違和感なく協力している感じがする。これは新しい麺の可能性かも知れない。これはほんとうに美味い。

このジャンクな味を受け止める麺。うどんが伸びて、ラーメンがムチッっと粘る。これは今までになかった食感だ。

うどんとラーメン、作り方的に一番近い二つなので方向性が近いのか違和感なく協力している感じがする。これは新しい麺の可能性かも知れない。これはほんとうに美味い。
そばとうどんとパスタとラーメンを合わせてみたけど美味しくなかった。
そばとうどんとパスタとラーメンを合わせてみたけど美味しくなかった。
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