特集 2014年5月17日

うどんは天ぷら粉で打った方がいい

天ぷら粉万能説を提唱します。
天ぷら粉万能説を提唱します。
キッチンの戸棚を開けてみてもらいたい。

薄力粉、強力粉、天ぷら粉、お好み焼き粉…

小麦粉は種類がありすぎだと思わないか。

用途によって分かれているのはわかるのだけれど、とりあえずこれ使っておけばオッケー、みたいな粉はないものだろうか。

あったんです、それが天ぷら粉です。
1975年愛知県生まれ。行く先々で「うちの会社にはいないタイプだよね」と言われるが、本人はそんなこともないと思っている。(動画インタビュー)

前の記事:大統領来日、そのとき東京は

> 個人サイト むかない安藤 Twitter

天ぷら粉万能説

前にいろいろな粉でクッキーを焼いたことがあった(こちらの記事)。

あの時も天ぷら粉で作ったクッキーが一番美味しかった。
ザクザクとしたサブレみたいな食感になった。
ザクザクとしたサブレみたいな食感になった。
「天ぷら粉にはベーキングパウダーが入っているからクッキーを作った時にも軽い食感になるのは想像に難くない」

なんて作りもしないでわかった口聞くやつはインドの山奥でトラにでも追われたらいいと思う。理屈ではなく、天ぷら粉は天ぷら作る専用の粉だと思っていただろう、すくなくとも僕はそうだった。

今回はうどんである。

同じ小麦粉由来ということで、もしかしたら天ぷら粉でもうどんが手打ちできてしまうのではないか。だとしたら、もう天ぷら粉買っておけばだいたい大丈夫、ということになる。

家にあった粉を集めてみた

さてみなさんはうどんを手打ちする時、どんな粉を選ぶだろう。
天ぷら粉だろうか。
天ぷら粉だろうか。
お好み焼き粉だろうか。
お好み焼き粉だろうか。
先に言ってしまうとたぶん正解は強力粉と薄力粉を混ぜたものである。

強力粉と薄力粉を混ぜて、うどんにコシを与えるグルテンという成分をうまく引き出すのがコツなのだ。それは僕も調べて知っているし、実際にそうやって作ったこともある。うまい。

ただ、強力粉も薄力粉も家に無く、夜中で近所のジャスコも閉まっている。でも食べたい、うどん食べなきゃしんじゃうの、それも冷凍やインスタントじゃなく、手打ちのしか食べたくないの。

そういう瞬間が5~6年気をつけて暮らしていると一度くらいはあるかもしれないだろう。これまでなかった人はきっと今夜がその時である。
これが正解だとしても今回は選択肢の一つとして扱う。
これが正解だとしても今回は選択肢の一つとして扱う。
もしかしたら家にホットケーキミックスしかないかもしれない。
もしかしたら家にホットケーキミックスしかないかもしれない。
ホワイトデーの直後かもしれない。
ホワイトデーの直後かもしれない。

いろんな粉でうどんを手打ちしてみる

うどんは小麦粉を塩水でこねて茹でただけの食べ物である。

主成分である粉を変えてみたらまったく別の食べ物ができるのだろうか。それとも粉を変えてもある程度はうどんなのだろうか。

今回は家にあったいろいろな粉でうどんを手打ちしてみたいと思う。

レシピは以下に統一する。
粉 100g
塩 5g
水 50g
※最初「粉 50g」と書いていましたが100gの間違いでした。すみません。50gで作るときっとお好み焼きみたいになると思うので気を付けてください。
シンプルこの上ない。
同じ量の粉を
同じ量の粉を
塩水でこねるだけである。
塩水でこねるだけである。
今回試す粉は強力粉、お好み焼き粉、天ぷら粉、ホットケーキミックス、クッキーミックス、この5種類。
それがうどんの正体。
簡単。

こねる段階から違う

こねるにあたって、すでに粉の違いが現れた。

天ぷら粉と強力粉はサラサラしてまとまりやすく、お好み焼き粉はずしりと重く固かった。お好み焼き粉はこの段階ですでに出汁のいい香りがする。こねた後に何度も手を洗ったけど、最後までお好み焼き粉の匂いが残ったほどだ。
こねあがった粉がこちら。ホットケーキミックスが一回り大きいのは小分け袋の容量が少し多かったから。
こねあがった粉がこちら。ホットケーキミックスが一回り大きいのは小分け袋の容量が少し多かったから。
ホットケーキミックスはこね具合こそ軽いのだけれど、なかなか生地がまとまらずに苦労した。これはクッキー生地も同じ。この二つはこねていくと甘いいい匂いが漂ってくる。焼きたい。

生地がまとまったらこの状態までしばらく寝かせておく。

この「寝かせる」という行為も実は最初よくわからなかった。寝ないだろう、粉は、と。

でもこの時間をしっかり取らないと次の段階でうまくうどんにならないのだ。水分が粉に均等に行き渡る時間、と考えればいいのだろうか。しっかり寝かせた生地は表面がしっとりとして「準備オッケーです!」という顔つきになる。

いよいよ粉がうどんに変わります。

興奮の製麺機

さて、うどん作りもいよいよ佳境を迎える。

よくこねてから寝かせた生地を製麺機で麺の形に変えていくのだ。いよいよ粉からうどんへと羽ばたく時が来た。お父さんお母さんいままでありがとう。
ここで製麺機の登場である。
ここで製麺機の登場である。
やばい。
やばい。
製麺機については当サイトのライター玉置さんの記事に詳しい(こちら)。つまりはこねた生地をさらにローラーで延ばすことでコシを強くし、細く切って麺の状態まで仕上げてくれる機械だ。

玉置さんの記事を読んだのをきっかけに、欲しい欲しいとずっと言っていたら縁あってなんとある方からもらうことができた。人生にそう何度もない「僥倖」というやつである。
どうにかなりそうである。
どうにかなりそうである。
ため息しかでない。
ため息しかでない。
製麺機を手に入れたのを機に、我が家ではことあるごとにうどんを手打ちするようになった。誰かに自慢したくてしようがないので、今度近所を集めてうどん会を開く算段も立てているほどだ。
おう。
おう。
イエス。
イエス。
見つめていても始まらないので、こねて寝かせた生地を製麺機のローラーに通してさらに練り込んでいく。この工程を繰り返すことで麺にコシが出る。条件を合わせるため、すべての粉を同じくらいの回数、ローラーに通した。
上から生地を入れると
上から生地を入れると
下からこうやってのされて出てくる。
下からこうやってのされて出てくる。
のしまで終わったらいよいよ興奮の製麺作業である。麺カッター部分に生地を通すとその場で麺になって出てくる。
ここが一番興奮する工程だろう。
ここが一番興奮する工程だろう。
諸君の上気した顔が目に浮かぶようだ。
諸君の上気した顔が目に浮かぶようだ。
皮だけの鮭を望む殿様じゃないけど、この工程だけずっと続けていられる製麺機があれば手に入れたいところである。それはつまりうどん工場なのかもしれないが。

ともあれ、これで粉がいよいようどんになったわけだ。
最高だ。
最高だ。
うどんとして異彩を放っているのはやはり色からしてクッキー生地だが、意外にもその他はぱっと見うどんっぽい麺ができてしまった。ホットケーキミックスは途中でかなりぶちぶちと切れてしまったので見た目が良くないが、なんとか麺としての状態は保っていると言える。

期待の天ぷら粉は他の麺にくらべ若干黄色っぽいものの、きめが細かく麺にした時のハリというかコシというか、茹でてくれよ、早く!というやる気みたいなものをひしと感じる。

これら麺をたっぷりのお湯で約5分ほど茹でて水洗いしたらうどんの出来上がりである。

さて粉による味の違いはあるのか。

各種うどんの実食

いろいろな粉から作った麺をいよいよ茹でる。手打ちうどんは粉の状態から始めても食事と食事の間に十分できてしまうので楽しさを考えるとぜったい買ってくるよりも得である。
天ぷら粉うどん、やはりいい感じである。
天ぷら粉うどん、やはりいい感じである。
たっぷりのお湯で5分くらい茹でる。茹でたあとは冷たい水でしっかり洗う。そしてめんつゆと天かすを乗せたら完成である。
こちらは強力粉で打ったうどん。参考まで。
こちらは強力粉で打ったうどん。参考まで。
もちろんうまい。もう毎日これでいいと思う。
もちろんうまい。もう毎日これでいいと思う。
手打ちしたうどんは本当にうまい。最初に「手打ちすると毎回味が違う」と書いたけど、それは本当で、水の加減やのしの回数、茹で具合なんかで味ががらっと変わってくるのだ。でも基本的にどうやっても美味いのがいい。失敗して目も当てられない、なんてことはこれまでなかった。

ちょっと話が逸れるがパンみたいに発酵を伴う料理だとこうはいかない。時間がかかる上に失敗すると石か沼みたいな料理ができてくることがあるのだ。これは辛い。その点うどんは安心である。

そうこうしている間に天ぷら粉うどんが茹で上がった。
天ぷら粉で作ったうどんに天かす。つまりこの器の中には天ぷら粉しか入っていないことになる。
天ぷら粉で作ったうどんに天かす。つまりこの器の中には天ぷら粉しか入っていないことになる。
見た目は普通のうどんである。若干麺が黄色いだろうか、それも普通のうどんと比べないとわからないくらいくらい。味はどうだ。

食べた瞬間、声が出た。
うわ!
うわ!
うまい。

強力粉で打ったうどんにくらべ、少しコクがあってツルツルしている。極太の玉子麺みたいな味わいだ。コシもちゃんとあってこれはもしかしたらうどんよりも美味い何かかもしれない。流行る、これは流行る。先手を打ってクックパッドに投稿しておいたので真似してもいいけどおれが先だからな。

他はどうだろう。
お好み焼き粉うどん。
お好み焼き粉うどん。

お好み焼き粉うどんもうまかった。

うまいんだけど天ぷら粉うどんに比べると少しコシが弱いというか、茹で過ぎたうどんみたいな歯ざわりだった(湯で時間は同じ)。名古屋のきしめんに似た歯ごたえだろうか、そして噛むと最後にほのかに出汁の香りがする。もちろんお好み焼きの面影は一切ない。

ホットケーキミックスうどん。
ホットケーキミックスうどん。
うむ。
クッキー生地うどん。
クッキー生地うどん。
そう来たか。

ホットケーキミックスのうどんもクッキー生地のうどんも、食感はうどんである。細切れになってしまっているのが失敗っぽいが、これは切り方で回避できるような気もする(製麺機を使わずに手で切る、とか)。

ただ、食べていくとうどんから(?)と脳が切り替わる瞬間がある。ホットケーキミックスうどんはどことなく卵のような生臭さがあり、噛んでいくとホットケーキの味がよみがえる。クッキー生地もそれは同じ。美味しいんだけど、うどんとして食べるには少し違和感がある、といったところか。
名前を付けるなら「クッキーうどん」だろうか。けっしてまずくはない。
名前を付けるなら「クッキーうどん」だろうか。けっしてまずくはない。
もちろん天ぷら粉の種類によっても出来上がりには違いが出るのだろう。とはいえ、ここまで普通に美味しいうどんが出来てしまうとは思わなかった。天ぷら粉が中途半端に余ったら、これからはぜったいうどんにすると思う。

どんな粉でもうどんになる

天ぷら粉で手打ちしたうどんは美味かった。もう家に置いておく粉は天ぷら粉だけでいいのかもしれない。

しかし天ぷら粉以外にも、お好み焼き粉うどんもホットケーキミックスうどんでさえも、美味かった。これはうどんの可能性についてあらためて教えられた気分である。どんな粉も塩水でこねて茹でたらほぼうどんになるのだ。

全体的に料理分かってる人にとっては珍しくない話だったらごめんなさい。
ものすごくおなかいっぱい。
ものすごくおなかいっぱい。
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