特集 2014年9月10日

歩きスマホは思った以上に危険

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Ogaki Mini Maker Faire 2014という工作のイベントに出させていただくことになった。

折角なので何か作って持って行こう、でも何がいいだろう?と考えていると、ちょっと前に、道路に足をつけて歩かせる「歩く歩道」を作ったのを思い出した。そして、これを流用して簡単に作れそうな新作「歩きスマホ」というのを思いついた。

歩きスマホは危険です、って警告に引っ掛けてのアレだ。
1983年三重県生まれ、大阪在住の司法書士。
手土産を持参する際は消費期限当日の赤福で受け取る側に過度のプレッシャーを与える。

前の記事:Googleサジェスト紀行

> 個人サイト owariyoshiaki.com

無機物に脚をつけることの熟達

以前、動く歩道のことを間違えて歩く歩道と言ってしまうので、実際に歩く歩道を作っちゃおう。という記事を書いた(動く歩道を歩く歩道)。
歩く歩道です。
歩く歩道です。
物を歩かせるのは、TAMIYA(プラモデルメーカー)の力で実現できるということが分かった。ならば、色々応用が効くであろう。

そこで作りたいのが、スマホを歩かせる「歩きスマホ」だ。
やっぱり歩きスマホってこういうことだよな。
やっぱり歩きスマホってこういうことだよな。
歩きスマホって呼び方が定着しているが、その言い方だと、スマホが歩いてるよな。って思っていたら大阪の駅で見つけた、このポスター。

やっぱり、歩きスマホってこういうことだし、このスマホ、歩きながらスマホいじってて歩きスマホの入れ子構造みたいになっていて凄い。
これが神(TAMIYA)の製品、メカマンモス。
これが神(TAMIYA)の製品、メカマンモス。
100均で買ったスマートホンホルダー。
100均で買ったスマートホンホルダー。
やはりスマホを歩かせれば歩きスマホだ。作るぞ。

例によって歩く機構はTAMIYA任せ。それに加えて100円均一のお店でスマートホンホルダーを買ってきた。これでもう出来たようなものだ。
歩きスマホだ。
歩きスマホだ。
ほら、出来た。無機物を歩かせるのは二度目なので手慣れたもの。こんなところでも経験というものは力になるのだ(これ以降どうなのかは知らない)。
ひっくり返ってからのバタバタ感には心が締め付けられるのは何故だろうか。
ひっくり返ってからのバタバタ感には心が締め付けられるのは何故だろうか。
が、上部が重いために歩かせてみるとすぐに倒れてしまった。倒れたあとにも懸命に歩こうとする姿に心を打たれる。ひたむきさへの感動は甲子園球児への思いと同じカテゴリだ(質とかは知りません)。
スマート。
スマート。
かわいい。
かわいい。
足が長くてどうにもバランスが悪かったので短くした。もう見慣れているので、短くなった方には「かわいくなったな」って感想しか抱かないのだが世間はどうなのだろうか。慣れ、常識というものは怖い。

これでなんとかコケずに歩けるようになりました。

歩きスマホは操作しながらでこそ

さて歩きスマホの形は出来上がったが、歩きスマホは歩きながら操作している!ダメ!って言うのがキモである。操作している感も出さなければ。
足があるんだから手もついてていいだろう。
足があるんだから手もついてていいだろう。
メカマンモスの頭部は左右に振りながら歩くというギミックがあるのでそこに手を付けたら正に操作しているように見えるだろう。
どうか?
どうか?
出来た。出来たのか。確かにパッと見、手がスマホを操作しようとしているように見え、なくもない。

が、その腕出てる部分は一体なんなんだよ。という思いにかられる。家にあった紙粘土で作ってみたが造形がよくわからない。
アカンアカンアカンアカン
アカンアカンアカンアカン
ならば、と思って紙粘土部分を体に見立てて頭部を付けてみたらどうか?とやってみたら、不穏な空気が流れだした。ここまで脚の生えた無機物を並べてきた私でもダメだと思うこの力、これはダメだ。
これで完成とします。
これで完成とします。
ということで歩きスマホはこの形状で歩くことにした。

さて、あとはこれに、危険な要素を付け加えて「歩きスマホは危険!」って言いたいんだけれど、どうしたら良いだろうか。

・駅のホーム的な装置を作って落とす
・歩きスマホを武装させて危険な感じを出す

など考えたが、いまいちパッとしないので、この状態でMakeに持って行ってモノづくりの猛者たちに意見を仰ぐ事にした。
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みんなガチで凄い

今まで当サイトの方々は何度も参加していたので、気軽に「参加させてください!」と言って参加したのだが、さすがモノづくり最大級の祭。入り口からヤバい。
なんかヤバいのいる(信長像じゃない方)。
なんかヤバいのいる(信長像じゃない方)。
知り合いと「なんか凄いのありますね」「まさか、あれ作ったりはしてないですよねー」と言いながら入場したが、この戦車も参加者の方が制作したものらしい。マジかよ。
なんだよ、戦場じゃん。なんのイベントだ。
なんだよ、戦場じゃん。なんのイベントだ。
間違って戦場に半笑いで入ってきてしまった。先ほど、もがく歩きスマホと甲子園球児は感動のカテゴリでは同じ、と書いたが同じモノづくりカテゴリでも私はコケた歩きスマホで他の方は甲子園球児である。
我が展示スペースのガラクタ感よ。
我が展示スペースのガラクタ感よ。
あっ、壊れた。
あっ、壊れた。
テーピングでガチガチに固める。満身創痍で試合に臨む歩きスマホ。泣ける場面だ。
テーピングでガチガチに固める。満身創痍で試合に臨む歩きスマホ。泣ける場面だ。
いきなり戦場に放り込まれて壊れる歩きスマホ。実力だけでなくコンディション面からでも劣勢。どうやって戦っていくものか。

高いハードル

味わい深い、子供のポカーン顔
味わい深い、子供のポカーン顔
そんな劣勢の中でもイベントは始まり、お客さんは来る。「動く歩道を歩く歩道と間違って言ってしまうから歩く歩道を造りました」から「こっちが歩きスマホです」と言うと、大人の方はある程度意図を理解してくれる。

が、子供に全く通じない。
この熱中っぷりよ。
この熱中っぷりよ。
それに反して、当サイトライターの小堀さんが作った鼻水の出る何らかのマシーン(そのうち記事になるでしょうから詳細は割愛)には夢中である。

小堀マシーンから鼻水が出た時には「うっひゃー!」と喜んだ子供が歩きスマホを見て「歩きスマホってそういう意味じゃないしー!」って言いながら去っていった。何だその本能と理性の共存は。

Makeの懐の深さ。

それでも興味を示してくれる人はいて「何ですか?」と聞かれ、答えようとしたら「分かった、スマホの画面触ったらセンサーとかで動くんだ!」とか言われたりもしたが、スミマセン、TAMIYAのキットで動くんです。と力なく答えるのみ。
スマホの画面のタッチした軌道どおりに走るスマホ。
スマホの画面のタッチした軌道どおりに走るスマホ。
というか、そんな夢みたいなモノあるものかよ。と思っていたら他の展示でまさにあった。衝撃。そんなこと出来るのか。人が想像しうる物は全て実現出来る。とかいう言葉を思い出した。

これは困ったな、手も足も出ないぞ。と思っていたら歩きスマホの様子が変わった。
おや、歩きスマホの様子が…?
おや、歩きスマホの様子が…?
さっきまで普通に歩くだけの歩きスマホであったが、しばらく歩いた後に勝手にコケる様になっていた。色々いじってバランスが崩れたのであろうか。
おめでとう!歩きスマホは「歩きスマホは危険!」に進化した!
おめでとう!歩きスマホは「歩きスマホは危険!」に進化した!
どうしようかなと思ったが、これだ!しばらくしたら勝手にコケる→歩きスマホは危険!ということを伝えるためにこのバランスにしている。と言い張ろう。
方針が固まって声を張りはじめる。
方針が固まって声を張りはじめる。
説明の骨子が固まったので試行錯誤する。歩きスマホがコケるタイミングで大げさに「ほら危険!」って言ったらある程度ウケる様になってきた(声が大きくて大げさなので)。
裏は英語になっていて、学長って部分がPresidentってなってた。大統領!
裏は英語になっていて、学長って部分がPresidentってなってた。大統領!
話し方で笑わせにかかっているので工作イベントとしてどうなのか思っていたらヒゲモジャのおじさんが現れて「ユニークで楽しそうで素晴らしい!(意訳)」みたいなことを言ってくれたので、ヘラヘラしていたら、何か偉い人でビックリした。

まさかの偉い人からのお褒めの言葉。そして、さっきの走るスマホを作った人も見に来てくれて、これは良い、がんばろう!と言ってくれた。

Make、工作イベントとしてのレベルだけではなく懐も深い。参加して、もっと頑張ろうという気持ちが湧いてきた。
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パワーアップ歩きスマホ

Makeに触発されて工作欲が湧いてきた。Makeで得た教訓と共に歩きスマホをもっとパワーアップさせたい。
こういう写真って、後ろのネギが気になってしょうがないよね。
こういう写真って、後ろのネギが気になってしょうがないよね。
それで出来たのが、こちらの歩きスマホ2.0。ただ足を付け替えただけではない、優雅な足取りとスマホの操作感を感じられるのではないだろうか。
人が立っているように見える!
人が立っているように見える!
もちろんこれも歩く。更にそれだけではなく、音声を発する機能まで搭載してしまったのだ!
驚かれたであろうか。音声は先程のものと合わせて5種類ものバリエーションで自由自在に発することが出来る。
何と、中にスマホが仕掛けられていたのだ!!!
何と、中にスマホが仕掛けられていたのだ!!!
それは何と、中にスマホが仕込まれておりスマホが歩きながらスマホを操作しているという一番初めに載せたポスターとほぼ同様の歩きスマホっぷり。

また電話で着信をさせると自己紹介、LINEで着信させると時候の挨拶など、離れた所から操作でき「うんこ」と発することで子供ウケもバッチリだ。

いや、ほんと、よくわかんなくなってきちゃったんですよ。

いや、ほんと、よくわかんなくなってきちゃったんですよ。
いや、ほんと、よくわかんなくなってきちゃったんですよ。
私の言葉に偽りはない。

もっとちゃんと工作したい

人が歩いているように見えるようにしよう。

人の中にスマホ入れたらスマホが歩いてスマホを操作してることに!

スマホ入れるんなら着信音で音声出すことが出来る!

小堀さんのマシーンが鼻水でウケてたから「うんこ」って言わせたらウケるんじゃないか
無い知恵絞って、配線を逆にして前後逆に歩くようにしたりもした。
無い知恵絞って、配線を逆にして前後逆に歩くようにしたりもした。
と、いう思考回路で精一杯頑張った結果が歩く歩道2.0だ。

どこかに進もうとした時に、歩きスマホの時のように手元しか見えないような近視眼的な思考でいると間違った方向に進んでいたり、思わぬ危険な目にあったりする。

進むべき時はしっかりと前と周りを見て行こうと、歩きスマホ2.0に教えられたような気持ちになりました。お後がよろしいようで。

コアラのマーチを振り続けると一個のチョコの塊になるということから生まれたコアラのマーチ振り機。かっこいい。
コアラのマーチを振り続けると一個のチョコの塊になるということから生まれたコアラのマーチ振り機。かっこいい。

という事で初めて参加したMake、面白かった。レベルが高くても低くても、それぞれみんな物づくりを楽しもうとしていてその姿勢を持った者同士尊重しあっていて凄くいい雰囲気のイベントだった。

また、レベルが高い人達も長時間の展示を経ていると「ちょっと今調子悪くて」とか「この部分だけ壊れちゃって…」とか手作り感が見えて親近感が湧く。きっと歩きスマホももっと修練すれば凄いものが作れるはずだ。

歩きスマホはたぶんもう作らないけど。
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