Mini Maker Faireは東京で開催されるときより小規模
通常の展示のほかに、プラネタリウムもあったり多種多様
私も何度か参加しており、今回はなにを出そうか考えていたとき、前々からやってみたかった「AIBOに毛を生やして本物の犬っぽくする」というのを思い出したのだが……
入手がむずかしい……
そんな15年も前の商品をわざわざ探さなくても、もっと手ごろな犬がいるんじゃないか? と探してみたら、子供用のおもちゃでいいのが見つかった。
よし、この犬をフサフサにしてやろう!
7月末に発売したばかりの新商品「プーチ」を購入
・背中をなでると喜ぶ(タッチセンサーが反応)
・鼻を触るとくしゃみをする
・しっぽを触ると嫌がる
・3DSを使うと会話をしたり一緒に遊べる
という機能が搭載されてるらしい。
あいにく3DSは持ってないので上の3つだけになるけど、まあいいか。
出展内容は電子の犬と鳥
そんな訳でイベントでは「電子ペットの犬が、なんと本物の犬そっくりに!」 という展示をする。
やるからにはとことん本物の犬に近付けてやりたい。
電子ペットがまさか本物の犬に!?
そして今回はもう一点。2年前の同じイベントのときに作った「超高機能ファービー(詳しくは
この記事で)」も一緒に出して、電子の犬と鳥が並んだ動物ブースにしたい。
犬(喜ぶと頬が光る)
鳥(現在、google画像検索で「ファービー」と検索すると7番目に出てくる)
まずは土台づくりから
製作手順を簡単に説明しよう。 電子犬を毛糸でくるんで土台を作り、そこに起毛している毛を編み込んでフサフサにしていく。
犬にピッタリフィットするような土台を作り、
その上からこんな起毛糸を植毛する
犬の身体にピッタリフィットする土台を作ろうと思うと意外と難しい。
犬の可動域を考慮した作りに、更に電池の入れ替えも支障ないようにしておかなければ。
伸びをするのに支障がないように……
電池は腹の部分に入ってる
そんなことを考慮した結果、ロンパースを着てるみたいになった。こんな格好をさせていると、なんとなく幼児っぽく思えてくる。
ほら、幼児っぽい
電池変えるときはこうする。オムツっぽい
……オムツだなんだとそうこうしてるうちにイベントの日がきてしまった。しまった、のんびりしすぎた……!! というか、細部にこだわりすぎたか。
こんな途中の状態で会場へ
1日目は「製作の実演」ということしよう。続きが気になる人はまた明日も来てねと言うことにしよう。
こんな状態で展示&作業開始! 黙々と作業しすぎ……
実演、そして接客
犬をフサフサにする作業を進めつつ、以前作ったファービーで接客するつもりでいたのだが問題発生。
なんとファービーが入らなくなっていたのだ。なぜ!?
無理矢理かぶってなでてもらったりもしていたが
苦しい!! 抜けない!!
どういうことだ。ファービーが湿気を含んで中の綿が膨張したのか、顔の方が膨張したのか。
脱げた時にはボロボロ
そんなとき、2年前も来てくれたという読者の方から突然のお土産を貰った。開けてみると……ファービー!!……の白黒写真!なんだこれ! まさか2年前の写真をこんな風に貰えるとは。
持ってみると、「あの頃のファービーはもういない……」というような寂しい写真になった。
グッドタイミング! というかなんというか。
在りし日のファービー(自宅に飾ります!)
テクノロジー系イベントあるある発生
ファービーもかぶれないし、とりあえず犬の毛の土台を作り進めなくては……と作業を進めていたところ、ある質問をされた。
「どうやって犬の毛がフサフサになるんですか!?」 と。
どうやってって……手作業で……
聞いた側は納得して笑ってたが、どうやらすごいテクノロジーを使ってこの状態から自動的に毛が生えてくるシステムなのかと思ったらしい。
どんな技術だ
MakerFaireというのはちゃんとした技術を使った作品がずらりと並んでいる。(いかにちゃんとしてるかが分かる記事は
こちらです。)
そのため、見る側はある程度すごい物を見慣れてからデイリーのブースまで辿り着いてくる。
「この展示もきっとなにかすごい技術を使ってるに違いない」と脳が思いこんでるせいか、たまにこの手の質問を投げかけられることがあるのだ。
以前、この状態でロボットだと説明したら信じられたことがある
こうなると、もういっそのこと「見る側を騙す」のに徹底した低技術ブースを出してもいいんじゃないか、と思えてくる。
思いのほか進まない問題
そんなこんなで、会場で着々と土台づくりに励んでいたのだが、どうも思っていたよりも進みが悪い。
犬の顔面土台パーツを編み進める1日目
そして2日目。やばい……。思いのほか進んでない。「さくらいさん、もう間に合わないんじゃないですかー?」などと周りに言われ始める。
うるさいうるさい! 間に合うんだ、今に見ていろ!
「それほんとにフサフサの犬になるんですか?」「どうやってそれをフサフサに……」等の疑問も多々投げかけられていたので、土台作業が完了しないうちから起毛の植毛作業を始めてみた。
徐々に植毛中
目の周りを黒くしたのは、毛をフサフサにすると目の位置がわかりづらくなるかもと思い、輪郭を縁取ってみたのだが、なんだかパンダのようになってしまった。
こんな犬でもだんだんかわいく思えてきて、「これかわいくないですか?」と両隣にいた人たちに同意を求めたが、「え、どこがですか?」と返されただけだった。
ずっと抱いてるうちに愛着が
そうこうしているうちになんとイベントが終わってしまった。
終わった……
「ただ編みに行っただけなのか!?」と言われてしまいそうだが、ちっ、ちがう。ちっ、ちっ……ちがうのだ。
「完成した姿は9月2日公開の記事を見てくださいね!」としっかり宣伝をしておいた。未完成のものを持って行き、次記事の宣伝をしに行く営業活動というのも新しくていいじゃないか。
あのとき来られた方々、ちゃんと完成しましたよ!
帰宅、そして完成
そういやイベント中に、犬が毛糸で編みぐるまれてる様子を「昔の電話っぽいですね」と言われたことがあった。
帰宅後、確かに昔の電話カバーっぽいなーと思いつつ眺めていたのだが、
「犬を昔の電話っぽくする」って企画でもアリかもしれない
だんだんこんな毛糸にくるまれてるのが不憫に思えてきた。暑そうだ。出してやりたくなってきた。どうしよう。
出してやりたくなってきた
このパンダ目についても「本物の犬の目の輪郭って実際黒いし、このままでもいいんじゃない?」という意見ももらっていたが、外した方がスッキリすると思う。 まずこれだけは外してみた。
つぎに目の周りの毛量を調節していく。輪郭はなくても、目がハッキリと分かりやすく見えるように……
トリマーのような作業
そして当初のイメージ図にまあまあ近いものが完成した! おかげで「不憫」という感情も消えた。
この姿で売ってそうだな、これ。……というか、ちょっと80年代の女児玩具「おでかけわんわん」っぽい。(分かる人が限られそうな例え)
完成! 本物の犬っぽいというか、すごく普通のぬいぐるみっぽい。(この画像は歌ってるところ)
鼻を押すとくしゃみもするし、タッチセンサーもちゃんと反応してる! 頬の色が表面から見えるように、頬部分の毛量も調整した。
ただひとつ、毛が邪魔してるのか、伸びの仕方が中途半端になってしまった。
自力ではここまでしかいかない
力づくで伸びをさせるとここまで
もし空き巣に入られたときに「うわっ、犬!!」 と入ってきた人が引き返すような効果はないものかと遠巻きから見てみたが、どう考えても無理そうだ。
おそらく無理
まとめ
途中どうなることかと思ったが、思いのほかかわいい仕上がりになってくれた。
毛でくるまれたことにより、通常より雑に扱ってもそうそう壊れなさそうだし、傷もつかない。もし型紙があれば、電子ペットカバーとして量産することも出来るなーとふと思った。
しばらくはうちの番犬としてその辺に居てもらおう。
次回こそは完成したものを!
現地で実演するにしても、もっとちゃんと事前に準備をしよう……という当たり前の反省をしているところだ。
次に機会があれば、事前に完成させておいて安心して出展をする! というレベルの低い目標を立てた。
次はやっぱりファービーみたいな実演型展示の方がたのしくていいかなぁ。