特集 2014年5月8日

札束風呂の民主化

お金持ちしかできないと思っていたことって実はお金持ちでなくてもできるんじゃないの?
お金持ちしかできないと思っていたことって実はお金持ちでなくてもできるんじゃないの?
むかし、怪しげな開運グッズの広告に札束の風呂に入った男が登場していた。
札束風呂は誰も直接実物を見たことがないのにみんな知っているという不思議な存在である。

恐竜みたいなものかもしれない。
恐竜展があるならば札束風呂の展示があってもいいのではないか。
展示だけじゃない、誰でも入れるようにしてしまおう。

デイリーポータルZのゴールデンウイークのイベントは札束風呂に決まった。
1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと世田谷区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

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ちょっとずつ札束風呂の準備をしていたのだ

ここ数年、デイリーポータルZのイベントはただスライドを見せるものから体験してもらうものに変わってきている。力づくの脱出ゲーム、ほめられ屋敷、ハトナイト。

一生にいちどあるかないかのおかしな経験をしてもらいたいと思っている。それはデイリーポータルZを作っている我々がいつも取材で出会う戸惑いや興奮を再現したい。という思いもあるし、参加したお客さんがいつか子供や孫に「むかしハトになったことがある」と言って信じてもらえないとおもしろかろうという思いもある。
次世代を混乱させるギャグである。

そこで今回は札束風呂にした。誰も見たことがないのに知っているUMAみたいなものだ。語尾に「ざます」をつけるお金持ちに近い。

さてどうするかと思ったら9年前に編集部古賀が試していた。
必要な枚数はこれでわかった。3000枚だそうだ。
そして猫足のバスタブはレンタルでも数万円するので安いのを買ってしまった。僕らはホームページを作る仕事をしていたはずなのだが、いつのまにか風呂を買っていた。

そしてお札もある。友の会のグッズで作ったお札風チケットだ。

肩たたき券などに使えるチケットである(デザインはこの記事に登場したoloさん)
肩たたき券などに使えるチケットである(デザインはこの記事に登場したoloさん)
今回のために3万枚増刷した。9年前の記事では3000枚が必要と言ってるのになぜか10倍印刷していることにいま気づいた。人間らしい不合理な行動である。
編集部のチームワークにより、札束風呂の準備は整った。
編集部のチームワークにより、札束風呂の準備は整った。
レッドカーペットはこの記事で使用したものである。我々は知らず知らずのうちに札束風呂の準備をしていたのだ。
呼ばれていたと言ってもいい。

札束風呂でサイトを印象づけるぞ

今回、札束風呂を設置するのは3ヶ所。5/3 ハグトンフェス(恵比寿)、5/6ハイタウン(京都)、最後に5/11の東京カルチャーカルチャーである。
最初のふたつはデイリーポータルZ主催ではない。イベントでなにかやらないかと声をかけてもらったので札束風呂を出すことにした。もしかしたらネットメディアらしい展示を期待していたかもしれないが、我々が持って行ったのはバスタブである。
メディア
メディア
このインパクトでデイリーポータルZを知らない人にもサイトを印象づけることができる。「札束風呂の人たち」という印象になってしまうかもしれないという点はこのときはまだ気づいてなかったのである。そしていまも気づいていない。

この原稿を書いている時点で2ヶ所の札束風呂が終わった。ハグトンフェスでは約100名、ハイタウンでは約150名の人に札束風呂に入ってもらった。予想以上に大好評である。2つのイベントに来た人の心にはデイリーポータルZの名が轟いていることだろう。

そこで250人に札束風呂に入ってもらって分かったことを記しておきたい。まずこれ。

札束風呂は表情が変わる

札束風呂は予想以上に笑顔になる。爆笑する人もいる。
これはお金でなくお札風の紙である。お金が本物かどうかなんてどうでもいいのかもしれない。
派手なポージングする人も続出。札束風呂に入ったとある男性の奥さんが写真を撮りながら「あんな笑顔見たことない」と言っていたのが印象的だった。意外な一面が出る。
顔を隠しているポーズがこれほどしっくり来るシチュエーションもないだろう。
手になにか持っているとその宣伝写真のようになるのも発見であった(僕の本ですいません)。
宣伝したいものがある人は次の札束風呂(5/11です)のときにそのものを持つといい宣伝写真が撮れるのでぜひ実践していただきたい。ただし怪しさ満点ですが。

お札は湯もみが必要

この2枚の写真を見比べて欲しい
札を風呂に入れたばかりの状態
札を風呂に入れたばかりの状態
時間が経った状態
時間が経った状態
あきらかにボリュームが増している。お札の量はほぼ増えてないのにこの差である。お札をそのまま入れるとくっついてしまってカサが増えないのだ。

1枚1枚はがしてくしゃくしゃにするとカサが増えて風呂っぽくなる。
そのための地味な作業
そのための地味な作業
札束風呂という派手なビジュアルの影にはこんな地味な作業があったのだ。昔見た開運グッズの男性もこんなことをしていたのだろうか。
そして湯もみをするとお札の間に空気が入って札束風呂は暖かくなる。

ちなみにお札は15,000枚使用している。1万円札だと1億5000万円分である。1ジンバブエドル札だと約5000円、1000インドネシア・ルピア札だと約13万2000円だ。

次は5月11日のカルカル

札束風呂の3回めは5月11日の東京カルチャーカルチャーである。札束風呂タイムの後はスライドショーもあるので参加企画が好きな人もそうでない人もぜひ来ていただきたい。

なお今回の札束風呂ツアー。かかったコストを回収するために石に絵を描いて売っている。
250円。
250円。

札束風呂の次が石なのは資本主義の果てまで行って振り出しに戻ったという皮肉である。うそ、ただの思いつきです。

デイリーポータルZの札束風呂ツアー東京公演
2014年5月11日・東京カルチャーカルチャー
17:00~19:00 札束風呂タイム
19:00~ スライドショータイム
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