コラボ企画 2014年2月27日

悲劇・UULAなんかなくても生きていける~廃校で宿直編

宿直。
宿直。
なぜか栃木の山奥にある廃校で一晩宿直をするはめになった。怖がりの僕にとってはほとんど拷問である。

はたしてこの絶体絶命の状況から、無事に生還することはできるのだろうか。
1975年愛知県生まれ。行く先々で「うちの会社にはいないタイプだよね」と言われるが、本人はそんなこともないと思っている。(動画インタビュー)

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まえおき

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こんばんは、都会の小学校から先日赴任してきた体育教師の安藤です。生徒からはむかない安藤先生、なんて呼ばれて慕われています。

おかげでとても楽しく充実した毎日を過ごしているのですが、一つだけ気になることがあるんです。

そう、この学校、出るらしいんです。

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何が出るのかは僕の口からは言いませんが(お化けです)。なんでも夜中に男子トイレの個室に入ると、冷たい手で背中を触られるのだとか。ぎゃー。

こうして僕に初めての宿直当番が回ってくるまで、できればその話、聞きたくなかった。

フィクションなら本当に廃校でやることなくないか。
フィクションなら本当に廃校でやることなくないか。

生徒たちの間では「魔除けのUULAを見ておけばオッケー」という噂があるらしいのだけれど、UULAってそもそもなんなのかわからないので無視した。

どうしよう、今日の宿直、本気で嫌だ。


企画説明

今回も前回の無人島企画同様、ストーリーものです。

用意された4つのミッションをこなせば任務完了。晴れてこの山奥の学校から帰ることができるらしいのです。

どうせフィクションだしたいしたことないだろう、とお思いでしょう。はい、まったくそんなことはありません。ロケ地は本気の山奥の廃校だし、そもそも宿直役の僕は極度の怖がりなのである。普通なら断るところだが、この学校で前にお化けが出たという話がないこと、実際には僕一人じゃないこと、常に誰か一緒にいてくれること、これらを条件に執筆を承諾した。

ロケの同行者は企画発案者の編集部石川、そしてコラボ相手であるUULAの手先、弊社営業河合の2名である。どちらも最初から味方とは考えていない。

課せられたミッションは次の4つ。

それ宿直関係なくないか。
それ宿直関係なくないか。
するよ。
するよ。
外は何もないって。
外は何もないって。
出ないから。
出ないから。
ミッションが提示されるたびに帰りたくなった。いったいこの企画、誰にどんな得があるというのだ。お化けの餌食になりに行くようなものである。

知っているだろうか、お化けはふざけている人のところに出るのだ。まさに今回の僕たちである。絶対やめたほうがいい。
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ミッション1:怖い本を読む

ロケ地の廃校に来てみたら思ったより怖かったとはいえ、いまさら逃げるわけにもいかない。早く撮影済ませよう。
なんとか読まずにごまかせないだろうか。
なんとか読まずにごまかせないだろうか。
そういえば宿直室になんとなく開けてはいけない雰囲気の戸棚があるのは初めから気づいていた。
開けろと言われたから開けるけど悪いのは僕じゃないです、僕に命令しているのは石川ですから呪うならそちらを。
開けろと言われたから開けるけど悪いのは僕じゃないです、僕に命令しているのは石川ですから呪うならそちらを存分にどうぞ。
わー、嫌だわー。
わー、嫌だわー。
呪いの戸棚に入っていたもの。
呪いの戸棚に入っていたもの。
戸棚には怖い本が3冊入っていた。

「ねないこだれだ」は知っている。かわいいお化けが出てくるやつだろう。新・学校の怪談もなんとなく子ども向けだとわかる。問題は「新耳袋」である。これは開けてはいけないやつだ。直感がそう叫んでいる。

本当に僕、だめなんです、と営業河合に頼み込む。撮影どころではなくなるぞ、クライアントにだって遠慮しないぞ、トイレ行けなくて漏らすぞ、と。
しかし「ねないこだれだ」では合格は出なかった。
しかし「ねないこだれだ」では合格は出なかった。
妥協策として、「新・学校の怪談」で許してもらえることに。ちゃんと読んだかどうか、あとでストーリーを説明する必要があるのだとか。信用ない。
今学校にいるだけに、学校の怪談はリアリティがすごい。
今学校にいるだけに、学校の怪談はリアリティがすごい。
僕がしぶしぶ本を読み始めると、編集部石川と営業河合は部屋から出て行ってしまった。
一人で読まされた。約束が違う。
一人で読まされた。約束が違う。
しかも夜の宿直室で何者かに手を引っ張られる話を指定された。最悪だ。
しかも夜の宿直室で何者かに手を引っ張られる話を指定された。最悪だ。
「読みました!終わりました!」と必要以上に大きな声で二人を呼ぶ。
判定役の営業河合に必死にストーリーを説明する。
判定役の営業河合に必死にストーリーを説明する。
ある兄弟がふざけて夜の宿直室に忍び込んだら誰かに手を引っ張られて慌てて逃げ帰ってくる話である。「あのときおれが手を離していたら」という最後のセリフに背筋が凍る。

こうやって要旨だけを書くと全然怖くないが、実際に一人で夜の宿直室で読むとリアリティが違う。話せば話すほど自分の中に怖い話が浸透していくのがわかった。
合格はもらえたが、心に負ったダメージは計り知れない。
合格はもらえたが、心に負ったダメージは計り知れない。
そもそも僕がこんなにお化け怖くなったのもこのデイリーポータルZが起因している。以前サイトのイベントでお墓でビンゴ大会を開いたことがあったのだが、そのイベント終わり、僕がお墓から帰ってきた時に「見える人」が一言「安藤さん、すごいの連れて帰ってきましたね」とつぶやいたらしいのだ(それ自体僕は聞いていない。聞いていたら泣いてた)。もうおもしろ半分でお墓でふざけたりしないと誓った。

誓ったわりに他の人が面白がって今回みたいな取材を仕組むのだ。僕は悪くないです、企画したのは石川ですから。

ミッションは続く。
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ミッション2:校舎内の見回りをする

ハードなやつ来たね。
ハードなやつ来たね。
宿直といえば見回りである。それはわかる。そいういう写真もあったほうがいいだろう。問題はやる時間である。

この廃校、宿泊できるよう改修されているのだが、消灯時間があり23時にはすべての明かりが消えるのだという。見回りの撮影はそれ以降に行うらしい。

ちなみに今回のスタッフ3人が入る連絡用チャットに「もっと早くから撮影を始めましょう」という旨のメッセージを送ったのだが却下されている。
実際のやりとり。
実際のやりとり。
見回りに出よう。
23時半。消灯後はこの暗さである。
23時半。消灯後はこの暗さである。
(僕は悪くありません、僕は悪くありません)
(僕は悪くありません、僕は悪くありません)
ぎゃー!
ぎゃー!
ぎょえー!
ぎょえー!
どはー!
どはー!
ダメだ。
ダメだ。
いくつもある部屋をひとつずつ点検していくのだが、その全てに何か仕掛けがありそうな気がするのだ。僕が部屋に入るといちいち営業河合が引き戸を閉めようとするのも絶対に許したくない。
トイレだ。
トイレだ。
トイレは特にやばい。これまでに聞いたトイレを舞台とした様々な逸話(怖い話)がよみがえる。
なんとか中に入らず奥まで光を当てようと必死(フラッシュを光らせているから写ってますが本当は真っ暗)。
なんとか中に入らず奥まで光を当てようと必死(フラッシュを光らせているから写ってますが本当は真っ暗)。
消火栓のランプですらこの禍々しさ。
消火栓のランプですらこの禍々しさ。
おまえ覚えてろよ。
おまえ覚えてろよ。
体は外で待機。
体は外で待機。
小一時間かけてじっくりと校舎を見回りしてきた。もちろん異常はなかったが、気のせいかなんとなく体が重い。
異常なしッス。
異常なしッス。
僕は笑顔じゃなく緊張しすぎて表情筋が崩れているんです。
僕は笑顔じゃなく緊張しすぎて表情筋が崩れているんです。
いろいろおどされていいかげん腹が立ってきたが、ここでケンカすると3人がバラバラになって怖い目を見るのは自分である。振り上げた拳をぐっと抑えて指令に従う。明日の朝起きたらおれは一言も口聞かずに帰る。

早く次のミッションやろう。

ミッション3:校舎の外の見回りをする

何があるんだよ外に。
何があるんだよ外に。
だって真っ暗だよ。
だって真っ暗だよ。
ちなみにここは栃木の山奥、夜中には氷点下である。
知ってる、体育館には。
知ってる、体育館には。
体育が好きだった子の霊がいるんだろ。
体育が好きだった子の霊がいるんだろ。
開けちゃいけない樽!
開けちゃいけない樽!
二宮尊徳!!
二宮尊徳!!
寒い方に気が行って怖いのを忘れるかと思ったが、単純に負荷が倍になっただけだった。お化け屋敷が夏場に流行るのは気絶しても風邪ひかないからだと思う。
いやもう無理っす、もう無理っす。
いやもう無理っす、もう無理っす。
とはいえ僕の予想外のがんばりにより、なんとか次で最後のミッションである。
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ミッション4:男子トイレの個室で用を足す

個室で、が余計。
個室で、が余計。
いよいよ最後のミッションまでたどり着いたのだが、あまりにスムーズで記事に山場がないと判断したのか、編集部石川が怖い話を披露する。

「この学校、噂によれば出るらしいんです。油断してると後ろからぺろりと触られることもあるらしいですよ」。

ほう。

冒頭、フィクションの設定のところで聞いた話だ。これ、きっと仕掛け人がトイレにひそんでいて、僕のことを触って脅かす流れだろう。ということは最後のミッションのトイレには誰かいるということである。これは身構えてさえいれば逆に怖くないかもしれない。

洞察力の勝利である。

でもそれはこの人たちには黙っておいて、騙されたふりして大げさに驚いてやるとするか。
せいぜい笑えばいいさ。
せいぜい笑えばいいさ。
それでは僭越ながら、トイレ行ってまいります!
元気なく出かけるふり。
元気なく出かけるふり。
(3分経過)
行ってきました!
行ってきました!
あれ。

トイレ、誰もいなかった。

絶対石川が潜んでいると思ったのに、部屋に戻ったらすでにこたつにいた。さっきの怖い話はなんだったんだ。オチがないけどいいのかこの記事。
個室に入ったことを写真で報告。
個室に入ったことを写真で報告。
トイレに入るところ(ブレているのは暗いからだけではない)。
トイレに入るところ(ブレているのは暗いからだけではない)。
便座!
便座!
個室の中からの景色(怖かったので鍵はかけていない)。
個室の中からの景色(怖かったので鍵はかけていない)。
どうだ、ちゃんと入ったでしょう。

これでミッションコンプリートである。後は朝を待って帰るだけだ。
お前らは明日なぐるけどな。
お前らは明日なぐるけどな。

ミッション終了!

怖かったがなんとか無事宿直を終えられそうである。

ここで物語は冒頭の「まえおき」の続きに戻る。初めての宿直に課せられた理不尽なミッション、それらに勇敢に立ち向かった僕の活躍をたたえるためにも、あらためてダイジェストで振り返りたい。

初めての宿直、心配なのはお化けの噂である。
初めての宿直、心配なのはお化けの噂である。
怖い本を読み。
怖い本を読み。
校舎内をくまなく見回りする。
校舎内をくまなく見回りする。
氷点下の校舎の外も見て回った。
氷点下の校舎の外も見て回った。
一番怖かったのがトイレである。
一番怖かったのがトイレである。
トイレの個室にも入ったけど無事だった。
トイレの個室にも入ったけど無事だった。

怖かったがなんとか無事宿直を終えることができた。生徒の間で噂されている夜中にトイレの個室に入ると出るというお化けと「魔除けのUULAを見ておけばオッケー」というまじないは結局なんだったのか。

まあいいや。お化けにも出会わなかったし、宿直室に戻ってDSやって寝よう。

無事に終わった。
無事に終わった。
噂なんて信じてちゃだめだよなー。
噂なんて信じてちゃだめだよなー。
※この記事はフィクションです。僕はお化けを怖いと思っていますし、仕組んだのは全部編集部石川なので、呪うならそちらをお願いします。

悲劇の三部作、次回最終回です。

いかがでしたか、「悲劇・UULAなんかなくても生きていける~廃校で宿直編」。怖かったですね。次回はライター藤原くんが学園ラブコメディーに挑みます。楽しそうでずるいな、と思いますが、これまでの流れでいくときっとひどい目にあうんでしょう。期待しましょう。
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