特集 2014年1月22日

巨大なまんじゅうを焼く祭り!

理由は特にないけど、デカイ焼きまんじゅうを焼いちゃいます
理由は特にないけど、デカイ焼きまんじゅうを焼いちゃいます
群馬に「焼きまんじゅう」という名物があるんですが、毎年1月にその焼きまんじゅうを巨大にして焼いてしまおう……というお祭りが開催されているんです。まんじゅうを焼くって……それ、お祭りなのか?

とりあえず行ってみました!
1975年群馬生まれ。ライター&イラストレーター。
犯罪者からアイドルちゃんまで興味の幅は広範囲。仕事のジャンルも幅が広過ぎて、他人に何の仕事をしている人なのか説明するのが非常に苦痛です。変なスポット、変なおっちゃんなど、どーしてこんなことに……というようなものに関する記事をよく書きます。(動画インタビュー)

前の記事:電動マッサージ機で「餅つき」できるんじゃないか?

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焼きまんじゅう……の説明はまだ必要ですか?

デイリーポータルZでもちょいちょい紹介されている群馬県民のソウルフード・焼きまんじゅう。

B級グルメ流行りの昨今なのに、コイツはいつまで経っても一向にメジャーにならないですねぇ……。
「焼きまんじゅう」って存在が地味だからなぁ……
「焼きまんじゅう」って存在が地味だからなぁ……
「まんじゅう」とはいうものの中にアンコは入っていない、味噌だれを塗って焼くんだけど、わりと甘い味噌、どっちかというとパンっぽい食感……など、知らない人に説明しづらい食べ物なんですが、その辺の「焼きまんじゅう基礎知識」はこちらの記事を読んでください!
何度も同じことを説明するハメになるんで……
何度も同じことを説明するハメになるんで……
そんな、群馬県民はみんな知っているけど全国的にはほぼ無名という焼きまんじゅうを巨大化させ、焼いてしまおうというお祭りを見に行ってきました。

まあ、他県出身の方たちからしたら、そもそもよく知らない名物の巨大版……といわれても、なんのこっちゃいという感じだと思いますが。
フツーの焼きまんじゅうはこのくらいのサイズ感。すでに結構デカイですけどね
フツーの焼きまんじゅうはこのくらいのサイズ感。すでに結構デカイですけどね
コレをどのくらい巨大化させるのかというと……なんと直径55cmに!

普通のがだいたい直径5cm強なので約10倍ですよ!
ジュウバーイ、ジュウバーイ(高見山)
ジュウバーイ、ジュウバーイ(高見山)
イヤ、あんまピンとこないや。とりあえず、実際に見てみましょう。

群馬でみたことのないような人ごみが!

同じく群馬出身のライター・乙幡さんの記事でもチョロッと紹介されていたりと、この「上州焼饅祭」の存在は以前から知っていたんですが、毎年1月11日という中途半端な日程で開催されているため、お正月に実家に帰ってこの日まで残っているというのもアレだし、かといって日程を合わせてわざわざ群馬に帰るのも……という感じで、見に行けないままでした。

で、今年はたまたまこのタイミングで帰省することになったので、いよいよ「上州焼饅祭」に参加できることに!
1月11日の「いせさき初市」に合わせて開催されます
1月11日の「いせさき初市」に合わせて開催されます
うーん、群馬県民ってだるま好きなんだなぁ
うーん、群馬県民ってだるま好きなんだなぁ
「上州焼饅祭」は、この「いせさき初市」の会場のすぐ近くにある「伊勢崎神社」で行われます。14時からスタートということだったので、大体そのくらいに着くように向かったのですが……。
えーっ、なんかスゲー並んでる!
えーっ、なんかスゲー並んでる!
身動き取れない……
身動き取れない……
この伊勢崎神社、わりと小規模な神社ではあるんですが、それにしても境内がギューギューになるほどの人が集まっているとは……。しょ、正直、群馬の祭りなんて、そんなに人来ないだろうとなめてました!
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iPadおじさん登場

いやぁー、神社の境内で巨大な焼きまんじゅうを焼くお祭りなんて、どー考えてもちょいとした面白祭りじゃないですか。それが、こんなに盛り上がってるなんて思ってませんでした!

群馬でこんな人ごみを見たの、はじめてですよ!?
煙は見えど、まんじゅうは見えず
煙は見えど、まんじゅうは見えず
この、すんごい人ごみの中心部分あたりからモクモクと煙が上がっていて、おそらくココで巨大焼きまんじゅうを焼いてるんだと思うんですけど……。

なーんも見えない。

……というか、こんだけ集まっている人たちのほとんどが、なんにも見えてないんじゃないかと。
舞台かお立ち台の上で焼いてくれればいいんですけどねぇ
舞台かお立ち台の上で焼いてくれればいいんですけどねぇ
肉眼では人の後頭部しか見えないので、みんな必死で手を伸ばして写真を撮ろうとしています。中には友達に肩車してもらって写真を撮っている猛者も。 そこまでして撮りたいか! ……という気もしますが、現場は異様な熱気が渦巻いていて、「なんとか写真を撮らねば!」という気になっちゃうんですよね。

ちなみに、最前列に陣取って写真を撮っていた人に聞いたところ、ガチな人は1時間以上前から場所取りをして挑むみたいです。いやぁ、テキトーにフラッと行きゃあいいか……くらいに考えててスミマセン!
そんな中、ものすごい人がいました
そんな中、ものすごい人がいました
ポールの先にiPadをくくりつけてます
ポールの先にiPadをくくりつけてます
工事現場のカラーコーンなどにハマッている例のポールが人ごみの中からピョコッと飛び出してたんですが、「何だろ?」と思ってよく見たら、先にiPadがくくりつけられてるんですよね。

おそらく、人の頭越しに動画撮影か何かをしてるんじゃないかと……。そこまでするか!?

……というか、そんなポールを持ってきていたなんて用意周到すぎる!

と、思っていたんですが、しばらくしたら警備員さんに怒られてポールを取り上げられていたんで、その辺から勝手に持って来てたんでしょうね……それはダメ!
!
まあ、その後もめげずに別の棒の先にくっつけてましたが
まあ、その後もめげずに別の棒の先にくっつけてましたが
そんなこんなで、完全にiPadおじさんに心を奪われている間に、巨大焼きまんじゅうが焼き上がってしまったようです。
デケエ!
デケエ!
うおおおっ!
うおおおっ!
焼き上がった巨大焼きまんじゅうが、ボクが陣取っていた辺りに運ばれてきたおかげで、ようやくバッチリ見ることができました! 確かにこりゃデカイ!

……だけど、やっぱり焼くところを見たかったなぁ。
……と思っていたら、追加で焼くようです
……と思っていたら、追加で焼くようです
生(?)焼きまんじゅう。巨大な「萩の月」って感じ
生(?)焼きまんじゅう。巨大な「萩の月」って感じ
焼きはじめるのかな?
焼きはじめるのかな?
完成品の方に人がドドーッと流れたおかげで、焼き場の方が若干空いてきたので、グイグイと見学ポイントをゲット!

やっと焼くところを見られそうです。
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ついに焼くところを……!

みんなで持ち上げ、火からちょっと離した場所で固定しています
みんなで持ち上げ、火からちょっと離した場所で固定しています
さて、いよいよ焼きはじめられた追加の巨大焼きまんじゅう。

その焼き方が妙に独特でした。若い衆が網を持ち上げ、火からちょっと離れた場所で固定させ、まんじゅうをあぶっているというか……。

台か何か作って網を乗せちゃえばよさそうなものを、人力で持ち上げているのには理由があるんでしょうか?

「伝統的に、こういう作法が決まってるんですか?」と若い衆に聞いてみたところ、「いやあ、たぶん何となくじゃない?」とのこと。何となく……?
片面が焼き上がったら
片面が焼き上がったら
手動で網をこうやって
手動で網をこうやって
こう! おおー、いい焼き目がついてます
こう! おおー、いい焼き目がついてます
で、いよいよ味噌だれの登場ですよ
で、いよいよ味噌だれの登場ですよ
甘~い味噌だれを塗りながら焼くことによって、何ともいえない香ばしさが出てくるのも焼きまんじゅうの特徴ですが、その味噌だれも巨大なかめに入れられて登場!

そして、ほうきサイズのハケで塗るわけです。
味噌だれを塗りたくるのはこのカワイコちゃんたち
味噌だれを塗りたくるのはこのカワイコちゃんたち
この子たちはリアルに神社の巫女なわけじゃなくて、伊勢崎市の観光大使を務める「ミスひまわり」のメンバーがコスプレしてるだけです。

「ホントの神社でコスプレ!?」という気もしなくもないですが、この子たちがとにかくスゴイ人気!

焼きまんじゅうを焼いている時にはそうでもなかったのに、彼女たちが登場してきたとたん、周りにいた人たちがこぞってバシバシシャッターを切りはじめましたからね!
確かに、巫女コスプレの女の子が巨大なハケで味噌を塗っているのは何かグッときました
確かに、巫女コスプレの女の子が巨大なハケで味噌を塗っているのは何かグッときました
気になったのは、味噌を塗っている最中、見学者たちと一緒になって若い衆達もポケットからスマホを取り出して写真を撮りまくっていたこと。神社で行われている儀式にしては、全体的にユル過ぎない!?

というのもこの「上州焼饅祭」。いかにも江戸時代くらいからやってそうな、歴史のありそうな儀式ですが、実ははじまったのは平成15年。

「いせさき初市」に便乗して、町を盛り上げようとはじめたもので、大した歴史も伝統もないんですよね。……ということで、キッチリと決まった作法とかもないらしいです。

まあ、それでもコレだけ盛り上がってるんだから、町おこし作戦としては大成功ですよね!

さて、この焼き上がった焼きまんじゅう、どうするのかというと……。
切り分けてみんなに配布するんです!
切り分けてみんなに配布するんです!
こう見ると「まんじゅう」要素ゼロ!
こう見ると「まんじゅう」要素ゼロ!
焼き上がった焼きまんじゅうは、おばちゃんたちがバンバン切り分けていって、見学の人たちに配布しているのですが、原型のままだと一応「デカイまんじゅう」ということが分かるものの、切り分けちゃうともはや何がなんだか……。
外側にしか味噌だれはついていないので、ぶっかけています。シロップっぽい!
外側にしか味噌だれはついていないので、ぶっかけています。シロップっぽい!
スゴイ勢いで切り分けられる巨大焼きまんじゅう。そしてそれに殺到する人たち
スゴイ勢いで切り分けられる巨大焼きまんじゅう。そしてそれに殺到する人たち
渡されるのはこんな状態になった焼きまんじゅう。……カステラ!?
渡されるのはこんな状態になった焼きまんじゅう。……カステラ!?
焼きまんじゅうって、前々から「まんじゅう」というよりは「蒸しパン」に近い食感だよなぁ……と思っていましたが、こうやって巨大なものを切り分けられてみると……うん、やっぱり蒸しパン!
焼きまんじゅうをもらうため、神社の外にまで続く大行列が!
焼きまんじゅうをもらうため、神社の外にまで続く大行列が!
明らかにビジュアルショック優先で作られている巨大焼きまんじゅうなので、正直こんなに並んでまで食べるようなものではないんですが……。
縁起物ですからねぇ
縁起物ですからねぇ
人間、タダでもらえるものには弱いもんですが、フツーの焼きまんじゅうを一串買っても150円くらいのもんですからね。

それなのに、ここまで人を熱狂させる焼きまんじゅう……やっぱり群馬県民のソウルフードです。
ちょっと外に出れば、すぐにフツーの焼きまんじゅうを買えるのに!
ちょっと外に出れば、すぐにフツーの焼きまんじゅうを買えるのに!

「巨大」なだけで人はコーフンしてしまう!

ただ馬鹿デカイ焼きまんじゅうを焼くだけ。もちろん別に御利益とかもないと思うんですが、それでコレだけ人を集めてしまうのは、群馬県民が焼きまんじゅう好きだということとともに、「巨大」というのも重要なポイントでしょう。

「焼きまんじゅうで何か町おこしをやろう」と考えた時に、とりあえず「巨大」にしてしまった人、エライ! ただのまんじゅうが必要以上に馬鹿デカくなっただけで、むやみにテンション上がってしまいますからね。

今後も続いていく祭りだと思うので、ぜひとも年々デカくしていって、10年後にはとんでもないことになっていて欲しいと願うばかりです。
帰り道の屋台で見かけたキャラクターたち……「アソパソMAN」……
帰り道の屋台で見かけたキャラクターたち……「アソパソMAN」……
「初音ミク」のわたがしも。時代ですねぇ
「初音ミク」のわたがしも。時代ですねぇ
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