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フェティッシュの火曜日
 
伊勢崎は『ヤキマンの町』らしい

これを見たくて来たんです・・・

実は、以前インターネットで地元情報など探しているとき、「上州焼饅祭(じょうしゅうやきまんまつり)」という記事が目に留まったのだった。でかい焼きまんじゅうを神社に奉納して焼く、という祭。見てみたい!と思っていたのだが、すでに終わってた。毎年1月11日の、初市&鏡開きの日に行なわれていたのだ。悔しい。でかいものを作る、って、それだけでおかしいじゃないか。

というわけで、話を聞き、写真だけでも見せてもらいに、事務所にお邪魔しました(以下の写真は、櫻場さんにお借りしたものです)。


巫女さん(ミスひまわり)登場。
素まんじゅうをまずお祓い。奥に4つ白いものが並んでいるのがおわかりになるだろうか。

年男・年女が、まんじゅうに祈りを込めて1字ずつ入魂。

このまんじゅうは、普通の焼きまんじゅうの300倍、直径55cm。それを3mの串に刺す。

串に刺していらっしゃるのが櫻場さん。

そこに、巫女さん(ミスひまわり)がタレを塗り、炭火で焼いていく。ひっくり返すのがすごく大変だ。

うーん、でかい。塗っている道具は・・・普通の竹ホウキでしょうか。
うーん、焼いてる焼いてる。

そして焼きあがったら、包丁を使わず手でちぎって、集まった人たちに配るのだ。このお祭を神社に奉納、ということになる。りっぱな神事だ。

と思ったら、このお祭、第1回目は平成15年にやったばかり。なんだろう、この、いかにも江戸時代あたりから続いてそうな雰囲気。そこをお尋ねすると、

「まあ、回数はもう関係ないわけですよ。でーっかいまんじゅう作っちゃって、みんなでまじめに神事としてやっちゃって、楽しむ。みんなでそうやって遊んで楽しいこと増やせばね、町を好きになる人も増えるんじゃないかな、って、いろいろやってるんですよ」

うん、わかる気がする。例えば自治体の主導で、とか、イベントプランナーに頼んで、というやり方もそりゃあるんだけど、肝心の本人たち、土地の人たち自身が楽しまないと、そのときは良くても、その後続いていかない気がする。

実際、上記の神事のときも、お堂の中でのお祓い中は外で待ってるお客さんに内容がわからないのでは、ということで、拡声器で実況しようか、という意見が出たが、櫻場さんはそれを制したそうだ。「見えなくたっていいじゃないか。神事なんだし、待ってればいいじゃない」

なかなか言えることじゃないと思う。


新潟の山古志村への慰問(場所は長岡の仮設住宅)も、住民の方に実際に焼きを体験してもらった。

そもそも、群馬県内には前橋や館林を始めとしていたるところに焼きまんじゅう屋はあるわけだが、伊勢崎が一番お店の件数が多いそうだ。

愛好会も200人を超えた。まだまだ埋もれた名物が町にはある、それでばかばかしいことや他から見たらつまらないようなことでも、まじめにやって、町を楽しくしていければ、と言う。なんだか、デイリーポータルZのことと重なる部分もあるような気がして、「そうだよなあ、自分の楽しいことをまじめにやっていこう!」と、単純に自分のことにも感化されて帰って来ました。

櫻場さんに聞いたところ、伊勢崎市内で生産される焼きまんじゅうの量は、推定1日2万串ではないかとのこと。それが1日ですっかり売り切れる。

そしてたぶん、県外での消費はほぼない(言い忘れたけどこの辺の理由は、焼き立てがやはりうまいのと、ナマのままでもほぼ日持ちがせず、遠方への配送に向かないことによるらしい)。

そして群馬県民は現在200万人である。そして焼きまんじゅうは伊勢崎だけで生産されるわけではない。

ということは、群馬県民は1日に、100人に1人以上は、「必ず」1串の焼きまんじゅうを平らげるということになるのだ・・・。改めて自分の故郷に戦慄し、かつなぜか尊敬心が湧いてきたのだった。


忠治茶屋本舗
伊勢崎市上蓮町新田原乙657
0270-32-0124 火曜休

The Yakiman いせさき焼きまんじゅう愛好会


 

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