特集 2013年8月16日

スカイツリーをぐるぐる回した

スカイツリーをぐるぐる回したよ!
スカイツリーをぐるぐる回したよ!
みんな大好きスカイツリー。でも、ぼくあんまり興味がなかった。ぼくって、あまのじゃくなところがあるのでみんなが騒げば騒ぐほど、なんか距離を置きたくなっちゃったりして。大人げない。

でもこのたび、俄然スカイツリーに興味が湧きましたよ!ぐるぐる回すことによって!
もっぱら工場とか団地とかジャンクションを愛でています。著書に「工場萌え」「団地の見究」「ジャンクション」など。(動画インタビュー

前の記事:どうしても「キリン」をたくさん作りたい

> 個人サイト 住宅都市整理公団

興味深い動画を発見

上のGIFアニメが結論なので、ここから先はその解説になりますが、まあ聞いてくださいよ。これ、ほんと作るのたいへんだったんだから!(あとのページで動画版も用意してあります)

スカイツリーをこのようにぐるぐる回してみようと思ったのは "How to Spin a Camera Around the CN Tower" という動画がきっかけだった。カナダのトロントにあるタワーをスピンさせているもの。どうやって作ったのかまでも解説している映像だ。

つまりこれは「まっすぐ海へ行く」のまっすぐじゃないバージョンだ。

すごい。おもしろい!ぼくもやってみたい!
地図をキャプチャし、Photoshopでスカイツリーを中心に円を描く。この円周上からスカイツリーの写真を撮ってパラパラマンガのようにすればいいわけだ。
地図をキャプチャし、Photoshopでスカイツリーを中心に円を描く。この円周上からスカイツリーの写真を撮ってパラパラマンガのようにすればいいわけだ。
スカイツリーを中心とした円を描き、その線と道路との交差する場所に行って、写真を撮る、というのが最初のステップ。単純だ。

単純なんだけどさー、どれぐらいの円にしたらいいかの決め手がなくて。上記参考動画では、まずストリートビューで良い具合に見える距離を探ってるんだけど、スカイツリーの場合それがうまくできない。

なぜなら、本記事執筆現在、ストリートビューでは、スカイツリーはまだ半分もできていない段階なのだ。これじゃ建物越しに見えるかどうかがわからない。

それにしても話題のスカイツリーが建設途中のままでいいのだろうか(ぼくはいいけど)。そろそろ撮り直しを検討しているのではないか。だとしたら次に鳩をかぶって遭遇できる場所はこの周辺ではないか。
折りたたみ自転車もって、本所吾妻橋駅へ。
折りたたみ自転車もって、本所吾妻橋駅へ。
しょうがないので、駅からすぐ開始できる半径に設定した。

このてきとうさを、後々後悔することになる。それは後ほど。
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方向感覚には自信があるぼくだったが

西の端から時計と逆回りに回っていきます。
西の端から時計と逆回りに回っていきます。
円を乗せた地図をプリントし、それを片手に自転車で移動。円周上でスカイツリーが見える場所を探した。移動距離は6.5kmほど。自転車だし、たいしたことはない。

と、思っていたんだけど、これが迷う迷う!
GPSロガーで記録したこの日の移動ログ。線路と川を越えるところで迂回せざるを得なかったのがよくわかる(大きな地図で表示
ぼくはまったく道に迷わないのが自慢だったのだが、今回とくにスタート直後は迷いまくった。たぶん「円状に移動する」っていう道路のグリッドとは全く相容れない動きがぼくを混乱させたのだと思う。

GPS地上絵でこういう普通じゃない移動には慣れていると思ったのだが。まだまだ修行が足りない。
ただ、半ばを過ぎたあたりから、地図見なくても道路に円周が「見えて」くるようになった。覚醒!
ただ、半ばを過ぎたあたりから、地図見なくても道路に円周が「見えて」くるようになった。覚醒!
そういえばGPS地上絵といえば、このウサギを描いたときもスカイツリーがまんなかだった【→「十五夜に体長2.5kmのウサギの絵を描いた</a>」】
そういえばGPS地上絵といえば、このウサギを描いたときもスカイツリーがまんなかだった【→「十五夜に体長2.5kmのウサギの絵を描いた」】

思ったより見えない!

路地をうろうろし、ポジションを見定め、スカイツリーを撮る、の繰り返し。
路地をうろうろし、ポジションを見定め、スカイツリーを撮る、の繰り返し。
それにしても団地やジャンクションと違って、通行人がだれも「何撮ってるんだ?」っていうふうに怪訝そうに見ない。なにこの温度差。
それにしても団地やジャンクションと違って、通行人がだれも「何撮ってるんだ?」っていうふうに怪訝そうに見ない。なにこの温度差。
地図を食い入るように見、撮れる場所を血眼になって探し、撮れる場所を発見すれば笑みもこぼれる。まるでスカイツリー大好きっ子みたいだった。

そう、笑みもこぼれる。だって思ったより全然見えないんだもの、スカイツリー。
周辺は高い建物があまりないエリアなのできっとだいじょうぶだろうと思っていたら、思わぬ伏兵が!
周辺は高い建物があまりないエリアなのできっとだいじょうぶだろうと思っていたら、思わぬ伏兵が!
東京タワー周辺と違ってこのあたりは、いわゆる下町。高層ビルが建ち並んでいるような場所ではないからどこからでも見えるだろう、とタカをくくっていたらとんでもなかった。

下町には下町のトラップがある。道幅が狭い路地が多いのだ。つまり「引き」がないので、3階建てぐらいの建物でもじゅうぶん邪魔になる。困った。
円周を時計盤に見立てると、2時、4時、6時、10時、のあたりがとてもよく見えた。いずれも道筋がスカイツリーに向かって伸びる方向の箇所だ。
円周を時計盤に見立てると、2時、4時、6時、10時、のあたりがとてもよく見えた。いずれも道筋がスカイツリーに向かって伸びる方向の箇所だ。
道筋がスカイツリーに伸びているエリアでは、いたるところからよく見え、道に対して斜め(つまり建物がある方向)の箇所ではぜんぜん見えない、というメリハリの利いた行程だった。

地図で見ると、北半分、北十間川より北のエリアは、道路が自由奔放な感じで走っているが、南半球はきっちり碁盤の目だ。これは江戸時代にすでに整えられていたが、震災・戦災復興の区画整理事業のおかげだ。

なので南からはスカイツリーがよく見える。後藤新平効果と呼びたい。
一方、道の方向がずれるとあっというまに見えなくなる。
一方、道の方向がずれるとあっというまに見えなくなる。
方向が一致しているところでは、路地がどんなに狭かろうと、この通り。ここ素敵だよね。
方向が一致しているところでは、路地がどんなに狭かろうと、この通り。ここ素敵だよね。
こういう風に隙間からかろうじて見えたりすると、ニンマリしちゃう。
こういう風に隙間からかろうじて見えたりすると、ニンマリしちゃう。
つまりスカイツリーによって道路の走り方が意識されるようになったというわけだ。これはすごくおもしろい。俄然スカイツリーに興味が出てきたぞ。

次のページで、今回撮れた写真を、地図上の撮った位置にプロットしてみたので見てほしい。
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撮った写真をマッピングしてみた。計60枚。前述のように、道が向いているあたりに写真が集中していることがなんとなくわかる(大きな地図で表示
冒頭の「てきとうに引いて後悔した」というのは、ここ。北十間川に架かる橋、多くの人が記念撮影をする絶好の撮影スポットが、微妙に線から離れてた。なぜ水上に線引いた。
冒頭の「てきとうに引いて後悔した」というのは、ここ。北十間川に架かる橋、多くの人が記念撮影をする絶好の撮影スポットが、微妙に線から離れてた。なぜ水上に線引いた。
後半でもまたぞろ同じことが。なぜ地図をよく見なかった。
後半でもまたぞろ同じことが。なぜ地図をよく見なかった。
一方、道路と円周とが完全に一致するところもあって、そういう場所はなんだかすごく気持ちよかった。
一方、道路と円周とが完全に一致するところもあって、そういう場所はなんだかすごく気持ちよかった。
という感じで、なんとか撮れた写真は60枚。まあまあだと思う。

さて、最初の参考動画を見る限り、撮ったあとがたいへんそうなのだ。かなり画像調整しなければならないっぽい。

苦行その1:スカイツリーを揃える

ここからはインドアの苦行だ。

参考動画でも「タワーを揃えるのちょう大事だよ!」って言ってた(意訳)ので、揃えよう。
画像を重ねて半透明にして見る。微妙にずれている。これをひたすら回転させたり自由変形したりしてぴったり合わせていく苦行。
画像を重ねて半透明にして見る。微妙にずれている。これをひたすら回転させたり自由変形したりしてぴったり合わせていく苦行。
想像以上の苦行だった。 こういう作業をしたことがある方にはよくわかると思う。なんせ60枚だし。
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揃える作業がたいへんなのはわかっていたので、ファインダーから覗いたとき見える線に合わせるように心がけたのだが。
揃える作業がたいへんなのはわかっていたので、ファインダーから覗いたとき見える線に合わせるように心がけたのだが。
来る日も来る日もスカイツリーを揃える。
来る日も来る日もスカイツリーを揃える。
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苦行その2:露出と色を合わせる

いかにたいへんだったばかりを言い募っても、読者のみなさまが退屈するだけだと思うので、ほどほどにしたいのだが、ほんとうにたいへんだったのでやっぱり言わせてほしい。苦行はまだ続く。次はスカイツリーの明るさ・コントラスト・色の合わせだ。
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上と下の写真で、スカイツリー部分は同じような明るさと色味にしなければならない。
上と下の写真で、スカイツリー部分は同じような明るさと色味にしなければならない。
撮影時にもちろん露出補正とホワイトバランスはいろいろいじったんだけど、ほぼ無駄だった。

なにせ、まわりを一周するということは、順光から逆光まですべてを取りそろえた写真群になるということだ。しかも夕方に欠けての時間だったので(昼間は酷暑とゲリラ豪雨で出かけられなかった)、刻々と夕日になっていく。もうどうしようもない。

冒頭のトロントのやつ見ると、曇りの日に撮ってる。そうだよなー、そういうことだよなー。
目・肩・腰が悲鳴を上げた。
目・肩・腰が悲鳴を上げた。

はじめて電線を憎いと思った!

で、これだけではない。最後、スカイツリー以外の前景をブレたようにぼかす加工が必要らしいのだ。これも最初の動画でコツとして言っていた。
こういう場所では、手前の木々を、
こういう場所では、手前の木々を、
横に高速移動した感じにぼかす。
横に高速移動した感じにぼかす。
と、まあこれもまた60枚やるわけですが、このときなにが困ったって、電線ですよ。

上のような公園などの場合は良いんですけど、たいていの場合電線だらけの路地でして。
スカイツリーに電線がかぶっている場合はこうなっちゃう。
スカイツリーに電線がかぶっている場合はこうなっちゃう。
ていねいにやろうと思えば、これも電線部分だけうまいことブレさせられるんだけど、もう、目・肩・腰、が限界でした。
トロントと東京の違い。それは電線だ。
トロントと東京の違い。それは電線だ。
よく「景観破壊だ」などと言われる電柱・電線。しかし、ぼくは電柱すてきだと思っていて、いままで擁護派だったんだけど、今回はじめて「憎い!」って思った。

以上で完成!なんだけど…

こんな手順でできあがったのが冒頭のGIFアニメなわけだ。これ「国際GIFアニメアワード」に出品したい。

下は動画版。撮影場所も入れてみた。
3周分つなげてあります。
さて、円をてきとうに引いて後悔した以上に後悔していることがありまして。それは、冒頭の参考動画をちゃんと良く見てなかったのです。

上の動画、トロントのに比べると、ちょっと「回転してる度」が劣るじゃないですか。ひとつはスカイツリーってどの方角から見ても同じような姿しているので、回ってるかどうかがわかりづらい、っていうのもあるんだけど。東京タワーだったらもっと回転して見えると思うけど、たぶん見える場所が極端に少ないと思う。悩ましい。

で、それ以上の原因として、動画改めてちゃんと聞いたら「同じ場所で、ちょっとずれて2枚撮ること」って言ってるじゃないですか!なるほどそうか!しまった!今回1枚しか撮ってない!

近々再チャレンジする!と思う!

とても悔しいので、暑さが和らいだら再度撮影して作り直します!たぶん。目・肩・腰が許してくれれば。
ともあれ、撮影はとても楽しかった。一周し終わって記念撮影したのだが、先日せっかく「ガッツポーズワークショップ」を体験したにもかかわらず、こうして見ると「木村ポーズ」だ。
ともあれ、撮影はとても楽しかった。一周し終わって記念撮影したのだが、先日せっかく「ガッツポーズワークショップ」を体験したにもかかわらず、こうして見ると「木村ポーズ」だ。
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