搬入口が気になっていた
このところ、いわゆる搬入口がかっこいいなあ、と思っていて、気になる搬入口を見つけるたびに写真に撮っていた。
ここでいう搬入口とは、大きな店舗や倉庫などについている、荷物専用の出入口のことだ。
たとえばこんなの。
同じ形のシャッターが並ぶのがいい
上の写真はとある大きな郵便局。周辺の局で集められた郵便物がこの搬入口に届き、中で仕分けされて、全国に向けて発送されるのだ、と思う。
別の場所で見つけた出版関係の会社のビルも、1階に幅広の搬入口があった。
巨大なビルの1階が搬入口
シャッターではなく引き戸タイプ
屋根が大きく張り出して、雨でも荷物が濡れないようになっている。シャッターではなく引き戸というのが、時代を感じさせていい(勝手に想像した時代だけど)。
もちろん、こんな大きな搬入口ばかりでなく、逆に小さなものもそれはそれで愛らしい。
黄色いビニールのカーテンが素敵!
やや奥まったプラットホームに暖簾状のビニールカーテンが下がった搬入口。コンクリートの白やグレーといったベースカラーに対して、差し色として半透明の黄色を配するなかなかのコンビネーションを見せる(てきとうです)。プラットホームの両端の小さな階段もかわいい。
次の写真の搬入口も、小ささが目を引いたものだ。
赤と黄色の警戒色がむしろラブリーさをアップ
いっぽうで、プラットホームのないこんなオープンなタイプの搬入口もある。
冬場は寒さがこたえそう
プラットホームがないぶん何だかがらんとして見えるけど、パレットが積まれているし、きっとここではフォークリフトで素早く積み降ろしをしているのだろう。これはこれでスピーディーな作業ができるはずだ、なんて知らない会社の搬入口の使い勝手を心配する日が来るとは想像していなかった。
こんな感じでいろいろ見てきたなかで、やっぱりいちばん多いのは最初の郵便局と同じ、長いプラットホーム上に横一列にシャッターが並んでいるタイプ。これは見ていて迫力もあるので楽しい。
ちょっと中に入れて見せてもらえませんかねー
広い!広いうえに1台も搬入出してない!(よくわからない感動)
N11搬入口のところにある装置は何だろう
そして、いろいろ見た中で僕のいちばん好みのタイプは、冷蔵倉庫の搬入口であることが分かった。それがほかのタイプとどう違うのか、写真を見てほしい。
ひとつひとつに囲いがある。ラーメン屋で言えば一蘭だ
黒い枠で囲われている。いちばん右がひとつだけ小さいのもかわいい
冷蔵倉庫萌え
おそらく、荷物の出し入れでトラックをつけたときに隙間から冷気が逃げるのを防ぐためだろうと思うけど、冷蔵倉庫の搬入口はどれもトラックの荷台を型どったような枠がつけられていて、ひとつひとつが独立しているのだ。それがなんとも言えない「専用」感を出している。
そして、そこにトレーラーが見事にピッタリ刺さるのだ。こういう運転手のスキルはいったいどうなってるんだ。
さくっと効果音つきそうなほどピッタリはまっている
まるでパソコンに刺さるUSBメモリのように
あと、車体との密着度を増すために、トラックに合わせた大きさの違う搬入口が並んでいるのも特殊な感じがしていい。
何というか、きっと僕たちは汎用品じゃなくて専用品に萌えるのだ。
微妙に大きさの違う搬入口が並ぶ
こんなに大きさの違う口が並んでいて、よくない?これよくない?
トラックの高さの違いを暖簾の長さで調節している、のだろうか
ナンバリングにも萌える
ここまで見てきて、もうひとつ別の要素にぐっときている方もいるのではないかと思う。そう、ほとんどの搬入口にはナンバリングがされているのだ。
ナンバリングという萌え要素も絶対ある
暖簾で高さを変えたシャッターが棒グラフのように見える
冷蔵用+ナンバリング+半透明オレンジカーテンと最強の呼び声高い逸品
また、冷蔵用ではないけどこんなすごい搬入口もある。
なんと搬入口が2階建て!
これは飛行機の機内食を作っている工場。上の階の搬入口を使うときは、トラックの荷台がにゅーんと上がってアクセスする仕組み。以前にテレビで見かけて、どうしても実物を見てみたかったのだ。
とまあ、ここまで長々といろんな搬入口を見てきたけど、最近見つけたある店の搬入口のかっこよさに僕は一撃で虜になってしまった。
その店とは、タイトルに書いてしまったけど、IKEAである。
新三郷のIKEAにやってきた
おい、なんだかかっこいいぞ!
一蘭タイプの搬入口が建物から斜めに突き出している!
これはかっこよさを意識してデザインされた搬入口ではないだろうか
IKEAの搬入口がすごい
なんと、巨大な青い箱であるIKEAの建物から、8つもの搬入口が斜めに突き出していた。これはかっこいい!
よく観察すると、搬入口を斜めに設置することで、限られたスペースにたくさんのトラックをつけることができるようになっているようだ。かっこよさというより、土地に合わせた効率的な設計をした結果なのかも知れない。
ところがその後、南船橋のIKEAに行ってみたところ、僕は衝撃的な光景を目にしてしまった。
南船橋のIKEA
休日で入口は賑わっていたが裏はひっそり
あ、あれはまさか!
なんとこのIKEAの搬入口も斜めだった!
会いたかったーYes!
なんと、南船橋のIKEAも搬入口は斜めに設置されていたのだ。確かに、ここの方がさらにトラックヤードが狭いから、考えてみると斜めに造る以外にないのだけど、ひょっとしてほかの店舗もみなそうなのでは、と思ってしまった。
そうなるともういてもたってもいられず、関東地方にあるもうひとつの店舗、港北のIKEAに向かった。
たった2日間で関東のIKEAを制覇してしまった(外側だけ)
トラックヤードのある裏側はまさに裏側だった
ここも斜めらしいがよく見えない
期待通り、港北のIKEAも斜めに並んだ搬入口のようだ。でもここは塀が高くてよく見えなかった。ふとまわりを見ると、すぐ隣がホームセンターの立体駐車場になっていた。あの上からならよく見えるかも知れないんだけどなあ。
見事に斜めの搬入口だった!IKEAは搬入口がかっこいい!
というわけで、IKEAの搬入口は斜めに設置されるのが基本のようだ。グーグルマップで日本にあるほかのIKEAを見ると、神戸と福岡の搬入口も斜めに設置されているので、お近くの人はぜひ見にいってみてほしい。
ただ、大阪のIKEAだけは搬入口が平らに設置されている。ここはほかに比べてトラックヤードが広いので問題ないのだろう。
最後にふと思い立って、IKEAの母国スウェーデンの首都ストックホルムにあるIKEAの店舗をグーグルマップで見てみた。
IKEAはそれまでの日本になかった、さまざまなシステムやノウハウを持ってきて導入し、それが大成功に繋がったと言われている。
その中には斜めのかっこいい搬入口もあるのだ。
搬入口で真の姿が見える
搬入口がかっこいい、という単純な情熱で始めた今回の企画。搬入口はバックヤードであり、その建物の関係者以外は基本的に縁のないところだ。だけどそんなところだからこそ、IKEAのそれを見たら店のシステムや基本思想みたいなものすら透けて見えてしまった気がした。
IKEAはすごい。それは搬入口を見ても明らかなのだ。