スカイツリーのデカさに怯える
今更説明がいるだろうか、スカイツリーである。遠くから見ることはあったが真下まで来るのははじめてだ。近付き過ぎるとなんだか大きすぎて不安になってくる。
上から落ちてきたら地上の鋭いオブジェに刺さって死ぬ
訪れたのは朝9時前だったが、スカイツリーは既に人で賑わっていた。ふらふらと辺りを散策してみると、スカイツリーの足元にある商業施設ソラマチが営業を開始しようとしているところだった。
まだしばらく当日券はないそうだ
デッキへ上る人たち。予約でもこの込み具合だった
しかし上らない
上の写真の通りスカイツリーは予約制なので、丸腰でやって来た僕は天望回廊や天望デッキに上ることはできない。
その足でとうきょうスカイツリー駅から東武鉄道に乗る。目指すは東武鉄道の北の端、新藤原駅である。
綺麗な駅ですね
なぜそんな所へ行くか。唐突のように思えるが、理由は簡単。何の因果か値段が同じなのである。
東京スカイツリーの地上450m地点にある天望回廊まで上る料金が3000円。とうきょうスカイツリー駅から終点(新藤原)までの往復運賃が3000円だ。
比較のためにグラフも用意してみた。
無理に作ったグラフなのでスカイツリーの棒が見えない
ダメなグラフの見本みたくなってしまった。
同じ3000円でも、東京スカイツリーは900mしか移動できないのに対して、東武鉄道はおよそ290kmも移動させてくれるのだ。こうしてみると桁の違うお得感だ。
これは切符を買うしかない。
終点のボタン押すの初めてかもしれない
そこにはどんな景色が見えるのか
移動距離は片道で140km強。時間にして3時間程度。
東京スカイツリーのエレベーターは、地上から350mの天望デッキのものと天望デッキから450mの展望回廊までのものがあって、合わせても2分位だという。
比較するとだいぶのんびりした旅だ。
こういう景色を見ながらおよそ3時間電車に乗る
やってきました新藤原駅
朝でも人で賑わうスカイツリーと違い、昼時なのに人影が見えない。なるほど、辺りは一面山だし大きな建物も見当たらない。日光鬼怒川温泉近くの自然豊かな場所である。
ほかに降りる人はいない
PASMO最北端を告げるポスター
今日は晴れていて気持ちのいい気候だ。空気が濃い気がする。上ったことはないがスカイツリーの上は空気が薄いだろう。さっそく全然違うところへ来てしまったぞという気持ちになった。
ここが栃木県日光市藤原の町か。
バス停もおれだ
つい触ってしまう
掲示板に書かれた自分の名前についつい感情移入してしまう。このバス停、まるでおれだ。
手作り看板を見ると暖かい気持ちになり、破損した看板を見ると悲しくなる。ただの文字なのに気持ちが入るのが不思議だ。首長か。
本局を建てろ
おれの団だ
建物の前でも当然記念写真を撮る。セブンイレブン新藤原店で飲み物を買い、貰ったレシートも撮った。藤原幼稚園というのもあったので寄ってみたら子どもがいたので「まっすぐ育て、子どもたちよ!」と思うなどした。
あと気になったことが一つ。Wikipediaで調べただけなのだが、下車駅である新藤原駅は1919年に「藤原駅」として開業したが、そのたった3年後に「新藤原駅」に改称しているそうだ。一体何が起きたのだろう。
漢字の読み方といい、あまりこだわりが無いのだろうか。
僕も新藤原に改名したい!!
以上、自分の苗字と同じ土地ではしゃいだ思い出でした。
新藤原で東京スカイツリーっぽいところを探す
さて、この藤原という町がスカイツリーと比べて遜色ないところを探してみたい。
事前にそのようなところに目星をつけていたので、そこを目指す。住所に634という数字が入っている場所だ。
あそこか
東京スカイツリーの高さが634m(ムサシ)だということは有名だが、ここ藤原の街にも634があるのだ。
幸運にも駅からそれほど遠くない場所にそれはあった。細い道の先にあったので少し迷ったものの、ちゃんと辿り着くことができた。
藤原634にて
それがここである。
地図に細かい表示がなかったので、おおよそここだろうという場所を634の地とした。当然記念碑が立っているわけでもなく、完全に人んちのようだ。
上の写真では平然とだらけたポーズで立っているように見えるが、実は割と恐怖に怯えている。近くで犬が吠えるのだ。3mくらいの距離だったろうか。
銀牙(犬の漫画)に出てきそうな荒々しい犬
よそ者に対しての警告だろうか、この犬の威嚇がすごい。首輪は犬小屋に繋がれているのだが、高低差もあって(犬が上)迫力に怯えてしまい、早急にその場から逃亡した。
今思えば藤原634の地はこの犬が守護していたのかもしれない。
これは近くの神社の入り口にあったのっぺりした狛犬
高さ450mの場所へ
東京スカイツリーからおよそ140km離れた場所である藤原だが、実は共通点がないわけではない(さっきの634のことは一度忘れよう)。
新藤原駅の標高が415mで、スカイツリーの展望回廊がある高さが450m。かなり近いのだ。
駅から35m登れば展望台と同じ高さだ。
駅は山に囲まれていて、35mくらいならすぐに上ることが出来る。標高を調べると、駅裏の運動場がだいたい標高450mだということがわかった。
急げ!
走れ!
途中に「藤原」が3つも書かれた看板があった
激写!
途中に看板があった。向かっていた運動場は藤原運動場という名前らしい。自分の名前の運動場がとはまた嬉しい。
「藤原」が3つも書かれた看板はもう巡りあうことも無いだろうから写真を撮るのも忘れなかった。あとでプリントアウトしよう。
これがスカイツリーと同じ高さか
ここがスカイツリーの天望回廊と同じ高さか~
たどり着いた藤原運動場はバックに山を構えた広場だった。野球とサッカーができるようになっていて、きちんと整備もされているようだ。
あまりリアリティはないが、たしかにここが高さ(標高)450mの場所なのだろう。
運動しておく
ツリーになっておく
とりあえず来てみたはいいものの、何をしていいのかわからない。体を動かしてみたり、タワーを模したポーズをとってみたりしてみるが、イマイチだ。
体験的に450mの高さを味わうのは無理そうなので、イマジネーションに頼ってみよう。
この地面が続けばスカイツリーの展望台にぶつかる!
あの向こうがスカイツリーですな
そこから見える景色は主に山だ。だが想像してみよう。
ちょうどスカイツリーがある南の方角に視界が開けている。スカイツリーの天望回廊で北を向いている人がいれば同じ高さで向かい合っていることになる(かもしれない)。
私は今140キロ先からスカイツリーを見つめる人。ちょっとした変態だ。
航空写真みたいな景色が見えるとか見えないとか
グーグルマップで辺りの景色が見られる
それと、スカイツリーの展望台から見る景色は、あまりの高さでまるでグーグルマップの航空写真のようだと聞く。
グーグルマップなら藤原運動場でも見られる。決してスカイツリーに負けてはいないと言えるのではないだろうか。見たところ地図の半分くらい山である。
この日は日差しが強くて携帯電話の画面がが見づらかったが、むしろそれは空との近さを感じさせてくれる味わいだ。
藤原の天望回廊
さて本家のスカイツリーの地上450mにあるという展望階は天望回廊という名前だが、その名の通りぐるっと景色を見渡せる廊下が続いている。
一方藤原といえば残念ながらそういった施設はない。しかしながら新藤原駅から隣の鬼怒川公園駅につながる川沿い道がちょうど景色のいい散歩道のようになっていることを指摘したい。
山!
そして川!
この道を天望回廊だと思えばいいのでは? いや、敢えて言おう。僕が歩いた所が藤原の天望回廊になると。
道のりはおよそ1.7kmほどあり本家の天望回廊の110mと比べると満足度は高い。しかも周りに人はおらず、景色を独り占めできる。
ちょっとここの天望回廊は車通りが激しい
藤原には温泉がある
さて鬼怒川公園駅についた。天望回廊の徒歩移動は軽い運動になったので汗を流したいところだ。と思ったところにさすが温泉地、駅の近くに温泉があった。
こんなところに温泉が
市営の鬼怒川公園岩風呂という鬼怒川温泉唯一の共同浴場だそうだ。そんなに広くはないが施設はきれいで料金は500円とリーズナブルだ。
今日一日中見ていた山だったが、露天風呂から見るとまた格別である。
藤原には確かに温泉があった。スカイツリーに温泉はあるか、いや、ない。
レッサーパンダについての番組を見る
疲れた
あいさつの看板がある
あるなしで言ったらスカイツリーに無いものはたくさんあるので、急に温泉とか言い出すのはズルいと思うが、最後に他にも藤原という町にはこんなものがあったというのをお知らせしたい。
あいさつの看板である。
社会人に一番必要なものはあいさつです
小学校と幼稚園が近くにあったというのもあって、あいさつの看板がたくさんあった。スカイツリーにもあいさつの看板が一枚くらいあるだろうか。
しかしここにあるのはどれもデザインが違うという気合の入りようだ。この情熱一体何なのだろうか。
僕も藤原の名に恥じないようにあいさつしようと思った。なぜなら社会人として一番大切なものこそ、あいさつなのだから。
さようなら藤原
ちなみに鬼怒川公園からも1500円です
負けるな藤原
東京スカイツリー駅から3,000円で行ける場所としてスカイツリーと藤原という町を比べてみた。話題のスカイツリーを気にしつつの行動だったが、歩いて温泉入って藤原はなかなかいい場所であった。
藤原はスカイツリーにだって負けないはずだ。来れば充実感のある一日が過ごせるだろう。来れば異論は無いはずだ。来れば。ただしその際はあいさつを忘れないように。