僕がダイヤを買う日
ダイヤモンドと言えば言わずと知れた高価な宝石だ。日常でそんなに接点がないので、どんなものかとインターネットで検索してみるとやっぱりすごい値段。
しかし、高価なダイヤに混じって異常に安い一品があった。数千円で買えるではないか。ダイヤの原石だ。
さっそく入手した。磨いて光れば儲けものである。
石一粒に対して情報が多い
品名「石」
買ったダイヤの原石だが、一般に想像されるダイヤモンドと違い、かなり黒い。道端に落ちていたら絶対に分からない。ラベルにアフリカ産と書いてある。アフリカ人は目が相当いいのだろう。
ケースのフタは固く、ヤスリやピンセットを駆使して10分くらいかけてようやく取り出すことができた。
ダイヤモンドには見えない
光を当てると実は透明だということがわかる
ダイヤかどうか試す
素人目にこれがダイヤなのか判断することはできないが、それとは別に、これが仮にダイヤだったとして、「ダイヤって本当に硬くて傷がつかないものなのか?」という疑問もある。
例えば自分がダイヤを所有していて、知らないおじさんが勝手にそれを取り出しヤスリで思いっきり擦ろうとしていたら、やめろ!と思ってしまう。ダイヤに傷が付いてしまう気がするからだ。
というわけで、試しに紙やすりで擦ってみよう。
1時間弱ほどの時間擦ってみた
やっぱり硬い
1時間ほど荒目の紙やすりでこすり続けてみた。下の写真のようにダイヤの原石に変化はまったく見られない。やっぱりこれはダイヤなのだろうし、ダイヤはものすごく硬いことがわかる。疑って悪かった。
知らないおじさんがダイヤを紙やすりで擦ろうとしていても、それほど焦る必要はないようだ。
紙やすりはだいぶ摩耗した
粉は付いたが、石自体に変化は見られない
目には目を、ダイヤにはダイヤを
紙やすりではまったく歯が立たなかったので(うっすらわかってたけど)、ダイヤの粒子が含まれた砥石を用意した。硬いダイヤでも同じダイヤで擦れば磨くことができるはずだ。昔からある方法である。
ちなみにダイヤの加工方法は他に、真空中で熱した鉄で研磨したり、レーザーで熱したりなどあるそう。こういう施設は、いつか資本家になったら買おう。
「超硬合金まで!!」とのことだが、ダイヤは枠からはみ出ている気がする
奇遇にも発売元が僕と同じ名前の藤原さん
ここから単純作業が続きます
ここから先はただ一心不乱に研磨するだけだ。その作業は、4時間に渡った。
研磨に継ぐ研磨
カメラ目線で研磨
たまに落としたり
差し入れのお寿司を頂いたり
ダイヤモンドが歯の詰め物に
4時間同じ面だけを研磨し続けた。さっそくその結果をご覧頂こう。
どうだ!
……。
これだけ見てもわからないだろう。僕はまったくわからず、不安だけが影を落としていた。一見変化が無いように見えるがどうだろうか。
以下に研磨する前と比較した画像を用意した。
研磨する前の左の写真は紙やすりの粉がついていてカドが強調されているのでわかりやすいと思う。ズルしたっぽい画像だが、こうして見るとカドが少し取れている。
比較するとこんな感じ
これが4時間に渡るダイヤ砥石研磨による成果だ。地味すぎる。相変わらず光り輝く綺麗なダイヤモンドからは程遠い。
Ustream視聴者のコメントでは「まるで歯の詰め物だ」と言われていた。いいえ、これは僕の努力の結晶です。
ところで、注目すべきは原石を擦りつけたダイヤ入り砥石の方だ。指で撫でてみると使う前と比べてなめらかになっていて、ひっかかりがない。
なめらか
すごい変化だ。「摩耗に強い」とパッケージに書かれていたのが、4時間でなめらかに。さすがダイヤの原石は硬い!
……僕は計5時間、何をしていたのだろうか。
終始地味でした
ダイヤの原石を5時間磨くと…
・ダイヤはわずかに角がとれる
・ダイヤ入り砥石がかなりなめらかになる
ということがわかった。ダイヤの研磨は非常に骨が折れますね、という話だ。大した結果ではない。
しかも途中経過も地味だった。指先でダイヤを摘み、シャリシャリと研磨する男の映像が延々と続いているだけ。
にも関わらず、多くの人がUstream中継をご覧下さったので不思議な気持ちがしている。ダイヤの魅力か、新種の集団催眠術を開発したかのどちらかだろう。