ことの発端となった武道館での「3B体操創立40周年記念関東大会」。
いつ見ても母たちのまぶしさが目にしみる
前回の記事には載せ切れなかったが、こんな倒立技も披露されていた……!
母がマンガになる?!
私の記事を参考にマンガ? つまり、母がマンガ化されるということか?
すわ、である。人生にそう何度も出ない「すわ」が出ましたよ。
話を持ってきてくれたのは秋田書店のマンガ誌「フォアミセス」の編集者である駒林さん。作品を執筆するマンガ家さんは三谷美佐子先生と決定しているということだった。
「フォアミセス」に3B体操をストーリーに盛りこんだ読みきりマンガを掲載するのだそうだ。
後日撮影させてもらった写真より、本記事のキーマンとなるマンガ家の三谷美佐子先生
そして担当編集者の駒林さん(2人が手に持っているのは「3B体操」独自の器具)
そしてこちらが月刊誌「フォアミセス」の表紙。この号に3B体操をテーマにしたマンガも収録されている……!
主婦のリアルがテーマのマンガ誌
「フォアミセス」は主婦層を読者としたマンガ雑誌。ジャンルとしてはレディースコミックというくくりになる。
マンガ業界にうとい私のようなものにはレディースコミックというと→レディコミ→エロというイメージだが、「フォアミセス」をはじめエロを扱わないマンガ誌も多いのだ。
テーマは家族や子育てがメイン。さらに突っ込んで介護や病気、出産に嫁姑問題と主婦にとってのリアルなトピックが特集されている。
キャッチコピーも「家族、子ども、介護、身近な病…感動満載!! 暖かい涙をあなたに!!」
そんな主婦が主役のマンガ誌である。母世代が大活躍する例の武道館公演の記事はマンガの題材としてぴったりというわけだ。
ちなみにこういう小さくて分厚いマンガ誌を「まくら本」と呼ぶそうだ。確かに枕っぽい
と、そんなもろもろの事情を聞いたのは弊社会議室。
今回は3B体操を通した母と娘の絆の深まりをテーマとしたマンガ作品を作りたいということで、参考に私と母のことをお話することになったのだった。
「ほほう…この雑誌に載るのですか」という小芝居写真
といっても、 マンガのストーリー作りの参考になるような母と娘のドラマは我が家には一切ない。
せっかく来てもらったのに大丈夫かと冷や汗をかいたのだが、気づいたら色々と話すことがあった。
いや、違う。気がつくと喋っていた。マンガ家歴30年超のベテランである三谷先生の取材にぐいぐい話を引き出しもらったかたちだ。
そう、この三谷先生がすごい人だったのだ。
母たち相手にも食い込んでいく取材
その後これもご縁と三谷先生を母の(3B体操の)教室の見学にご招待することになったのだが、この日の取材がまたうなっていた。
母です。会場は廃校を利用した市民施設。ほぼ居抜きで使っているので学校感満載で良い雰囲気
やってきたのは市民会館的施設。母が隔週で3人の生徒さんに3B体操を教えている教室である。
教え子さんたちはみなさん60代から70代とベテランもベテランのお母さんたち。みなさんすごく温かくて気さくなのだが、私のようなひよっこ主婦はどうしても遠慮がちになってしまう。
そうだ、前回の武道館取材でもそうだった。やはり大人の女性を相手に迫力負けしてしまうのだ。
しかし、先生は違った!
知らない間に自然に加わって体操を始めている!
一瞬で生徒さんや母に溶け込んでいた
第三の母、現る
私が取材を受けた当初は「さすがベテランのマンガ家さんはすごい」とばかり思っていたのだが、教室の取材を見ていて分かった。
主婦力もすごいのだ。主婦たちの間にぐんぐん切り込み溶け込んでいく様子は圧巻である。
考えてみたら三谷先生はご自身もバリバリの主婦で母なのだから当然といえば当然なのかもしれない。
武道館では舞台上の母を母が応援するという母わんこそば状態を味わったわけだが、ここへきて第三の母として「それを描く母」が現れたというわけだ。
なんという母スパイラル!
「こういうポーズの写真撮らせてください」と明るく言ってみんな快諾! 自分の遠慮ばかりの取材人生を反省した
終了後は私同様に母もあれこれいろいろ喋る喋る
さあ今度はこっちが取材だ
その後しばらくして、いよいよ2月3日にマンガの掲載誌が発行されると連絡があった。
原稿はすでに仕上がっているとのこと。いち早く見たい! その思いで三谷先生の仕事場に押しかけた。
今回の顛末を記事にするべく(本稿です)、今度は逆に私が取材するのだ。先輩主婦を取材、よっしゃ、今度こそ私もぐいぐい攻めの姿勢でやってやろう。
完成原稿! のコピー! 原稿はすでに編集部へ入稿済みであった。そりゃそうだ
表紙データももらった! 取材協力としてデイリーポータルZと私の名前も載ってる。 わああ
我が家の家族構成が生かされた!
内容は娘の心の中にあった母へのわだかまりが3B体操を通して消えていく……という感動のストーリーに仕上がっていた。
子持ち男性との結婚や子育ての難しさなど、読書層ど真ん中の私としても「おっ」と思うようなトピックが盛りこまれている。
そしてなんと、主人公が5人きょうだいの長女とその母親なのである。実は私の実家がそうなのだ。設定だけではあってもマンガのモデルになれたと思うとうれしすぎる。
5人きょうだいの長女(主役の京子)
5人きょうだいの長女(わたし)
そんなことより、結露カバーがすごいのよ
それでは今回のマンガを描くにあたってあれやこれやを伺っていこう。
母の教室の取材後、先生は独自にさらに取材を進めたそうだ。平行して自分でも3B体操の教室に通っていたという。
おお、これはいい苦労話などを聞けそうだぞ。
3B体操の指導者試験などを取材したそう
こんな感じでね、私も3B体操続けてるのよー!
「でね、窓の結露には“結露シート”ってのがいいよぉ」
「へえ、そうなんですか」
「カーテンが窓に張り付かなくなって本当に助かってて」
「それはいいですね~」
……あれ?
で、これが結露シート。 いいでしょ
いや違うんだ。今日はハウスキーピングに便利なグッズの話を聞きに来たんじゃないんだ。でも我が家は結露が悩みなんだ。あいやあいや。
担当編集者駒林さんも飲み込まれる
これじゃあだめだ。そうだ、担当の駒林さんに話を聞こう。Twitterで私の記事を見つけ、三谷先生にマンガのテーマにどうかと提案したのはこの担当さんなのだ。
「そうそう、そんな感じ」「こうですか?」
実家に帰ってきた娘と息子か
なんと振り向けば駒林さんもすっかりくつろぎモードである。実家か。ここは実家なのか。
ちなみにこのときの取材メモを見ると、「ソフトベルターという器具を使うと、胸が開いてよく伸びる」と書いてあった。
マンガの取材をしに行っているとは思えないメモ書きである。
その後も糖尿病の恐ろしさや車の燃費など、まったく関係ないことを次々としみじみ話し込んでしまった。
ケーキをいただきながら話に花がさく
帰りにはおすすめの和菓子まで! 実家というか、正月に親戚のおうちに来たようだ
最終的には開き直って先生愛用の健康器具を駒林さんと2人堪能した。やっぱ実家はいいわー(違う!)
詳しくは「フォアミセス」で!
600人の母が一堂に会して踊る武道館の舞台は圧倒的だった。そのパワーをマンガ作品におさめようというのもまたすごいパワーが必要なのだ。
マンガ家さんの、押し付けがましくない自然なパワフルを目の当たりにしてまた、母のたくましさにふれた。そしてマッサージ器を堪能した。
2月3日はぜひとも、書店で「フォアミセス」を手にとってください。母パワーをもらえますよ。