セレブスナップ、こういうの
ハリウッドセレブというと、基本的には映画のPRや映画賞のパーティーなどでその姿を公の前に現すものだろう。
だいたいはドレスアップしてシュッとしている。そういう“オン”のシーンでのスナップもよく見かけるが、今回取り上げたいのは街でのスナップショットの方。
こういうの!
ファッションのお手本といった具合で雑誌などによく掲載される
今回改めてその手の写真を雑誌やネット通販サイト(
こういうの)でみてみたが、女優さんやモデルさんが道を歩いている様子が多い。
いわゆるパパラッチと呼ばれるようなカメラマンが無断で撮影するのだろうか、事情は分からないがどれもプライベート風の写真だ。
ハリウッドセレブ界に詳しくない私でも分かる有名な人もいれば、はて誰じゃろうという方もいる。
あたいもセレブになれないかしらね
今日はこの写真をまねてみたい。写真にはいくつか特徴があるので、それさえ押さえれば簡単にセレブになれるんじゃないかと思うのだ。
ビフォア。本記事のライター、古賀です
撮影前に食べたお弁当のひどさからしてセレブとは縁遠いタイプです
セレブグッズを装着
ごくり……。我ながらお弁当がショッキングで喉がなってしまった。これほどの私が今日はセレブになってやろうというのだ。達成できたら拍手喝采をお願いしたい。
さて、セレブになるために用意したのは以下の4品。
・ストール
・iPhone
・スターバックスのカップ
・大きいサングラス
スナップではこの4品を装備しているセレブの方がやけに目立つのだ。これでなんとかなるんじゃないか。
ひとつづつ装着してみよう。
ストール。まるっきり普通のひとだ
iPhone。相変わらず普通
スタバのカップ。多少それっぽさは出たような気もするが、まだまだ
さすがに1品ではセレブにはなれないようだ。そりゃそうか。
続く大きめのサングラスだが、これは3つ用意した。
セレブはどれだ
おばあちゃんの形見の品
写真の上の2つはじつは祖母の形見でブランドものだ。
セレブといえばブランドだろうと持ってきた。これはいけるんじゃないか。
セレブ……?
いや、違うこれうちのおばあちゃんだわ
15年前になくなった祖母の姿が現れた。
買い物が好きでデパートに通ってはあれやこれや買いまくっていた祖母の姿が思い出される。おばあちゃん……!
セレブを召喚しようとして出てきたのが天国の祖母とは。このメガネは祖母のことを思い出したくなったときにまたかけよう。
今日は押さえとして買っておいた300円のサングラスを使うことにする
い出よ、セレブ
サングラスは結構なインパクトだが(少なくとも普段の私ではない)、やはりこれも1品ではセレブとまではいっていない。
やはり、フルでの装備が必要なようだ。これで、どうだ!
お! ん? いや、うーん……
微妙な仕上がり
セレブ、セレブ、うん、セレブだ、セレブだ! と力強く肯定する気持ちは、沸く。
沸くのだが、沸きながら背後でぼんやりと「なんか違う……」というがっかりした引っ掛かりが消えない。なんだろう、このがっかり感は。
なんか、モノマネっぽい?
そうだ、この感じ、なんだかモノマネっぽいんじゃないか。
たとえば、アゴを突き出して受け口にして「元気ですかー」と言うだけで、似ていなくてもとりあえず“アントニオ猪木をやっている”ということには、なる。
私のセレブもその状態だ。セレブのまねをやってるんだよ、というポーズはギリギリ取れているけれど、完成していない。
実はこの状態は最初から有る程度は予測できていたのだった。
セレブの格好をするだけではダメで、写真の撮影方法も重要なんじゃないか。
カメラマン安藤昌教、登場! 猫背!
大事なのは、写真だ
今回私がやりたいのは、セレブになることではなく「セレブスナップを撮る」ことだ。
思うに、サングラスやスタバのカップといった要素と同じくらい写真の質感が重要なのではないか。セレブスナップはどれも背景がボケボケにボケている。
カメラに精通する、当サイト編集部員の安藤に「こんなふうに撮れませんかねえ」と相談、という名の丸投げをした。
そうして改めて撮影した(撮影してもらった)写真がこちらだ。
セレブが来た!
なんだなんだいきなりセレブだ
写真は語りかける。静止した時間のひとこまが感情を丁寧に描写し、人に感動を与える……。
と、写真というものの力についてよくいうが、これほどか。
改めて普通のデジカメで撮った写真と比べてみたい。
セレブ?
イエス、セレブ!
これはもう十分人に感動を与えるレベルなのではないか。すごいぞ、写真。
セレブにはコツがある
撮影しながらよりセレブになるコツも分かってきた。
コツその1・スタバのカップは構える
セレブ要素のなかでもスタバのカップはかなり重要なようだ。感覚でしかないが、これがあるかないかでかなりセレブ度が違う。
このようにカップを持った手がだらんとして見えにくいとセレブ感が損なわれる
腕を折ってカップを構えると…… セレブリティー!
なお今回の撮影のため、ハリウッドセレブならお金もあるだろうしカップはでかいやつだろうと初めてグランデ(あれよよね、大きなサイズのカップのことよね)を注文した。
店員さんに「そのままお持ちになりますか? 紙袋に入れますか?」と聞かれ即座に「袋でお願いします(そのまま持ち歩くなんてセレブみたいで恐縮でして……)」といったのだった。
カップの腰巻みたいなやつ(スリーブですね)もあるとセレブっぽいかと思い頼んだ
コツその2・歩く
多くのセレブスナップでセレブは歩いている。
道で歩いている時が一番パパラッチしやすいのか分からないが、とにかく歩いたり動きがあった方がそれっぽくなるようだ。
止まっていると普通の人でも
歩きだしたら一気にセレブ
コツその3・にやにやしない
撮影は望遠のレンズを使ったためカメラマンは遠くでカメラを構える。勢い、セレブの装備をしてポーズを取っても基本的にはその場にいるのは自分ひとりだ。
照れくさくてつい笑ってしまうのだが、そうすると写真が台無しになってしまうのだった。
えへへ
コツその4・装備は決して解かない
装備、特にサングラスは必須アイテムだということも分かった。
外してしまうと一瞬、もう本当の一瞬でふつうの人になってしまう。
まさに「魔法がとけた」という感じ
コツその5・カメラ目線はだめ
さらに上の写真がそうだが、カメラ目線もだめだ。セレブは知らず知らずのうちに写真を撮られているのである。カメラに気づいてはいけないのだ。
(セレブスナップではパパラッチに気づいて手を振っている余裕の写真もたまに見かけるが、これは上級者向けだろう)
そのほか「ガニ股はだめ」というのもある。これは私個人の歩き方の問題だろうし、セレブじゃなくてもガニ股はだめだ
どこまでセレブでいけるか
装備、写真、コツとセレブとしての地盤がだいぶ固まってきた。
こうなってみると次に気になるのは、どこまでセレブでいられるか、だ。
今までのセレブ力が通用するラインを知りたい。
たとえば、ネギを持ってもセレブでいられるのか?!
セレブ VS ネギ
買い物袋から飛び出すネギの力は強力だ。あふれる生活感、ただよう今夜は鍋? 性(当サイトにはこのネギの持ち運びが恥ずかしいということを
とうとうと語った記事まであるくらいだ)。
セレブの持ち物としては泥付きの1万円くらい似つかわしくないものだ。
ネギを持って歩くと、セレブはセレブではなくなるのか。
いや、これ結構セレブなのでは
駐輪場に向かうカートから出ててもセレブ
セレブ VS ネギはセレブの辛勝か
どうだろう。賛否は両論かと思うが、私としてはギリギリセレブラインは保てているように思うのだ。
もともとセレブスナップにも買い物袋をぶら下げたショットや買い物カートを押したショットもあり、これをほうふつとさせる力がネギに辛くも勝ったようだ。
セレブだって人である。ネギぐらい買うのだ。
ネギは出てないけど
セレブ VS 歩きながらアイス
今度は実際にセレブスナップでセレブがやっていることをまねしてみたい。
ん? セレブがやってることをまねしたら、そのままセレブ力が強化されるだけなんじゃないの? と思うかもしれない。
でも、それが歩きながらアイスを食べる、ということだとしたらどうだろう。
セレブは道でアイスを食べる。この方の他にもちらほら見かけた
私がやったらセレブになるどころか子どもになっちゃうんじゃないか。
真のセレブなら道でアイスを食べても大丈夫なはず。その力が試される。
さあ、勝負だ。
わりとセレブ!
アイスのカップとスプーンを持つため、不安ながらスタバのカップを手放さざるを得なかった。その割にはセレブに見えるんじゃないか。
こんな食いしん坊行為をしてもなおセレブである。セレブとは何かを疑いたくなってきた。
一気に攻めるぞ、セレブ VS 家政婦
思った以上に強固にセレブであり続けている。
こうなったらそろそろ大胆にセレブの牙城に攻め入ってもいいのではないか。
さあ、これでも君はセレブでいられるか。
割烹着です
日本のおっかさんの正装、割烹着である。雰囲気を出すために三角巾としゃもじも装備した。
このうえに、例のセレブの装備をしてみたい。
なんとなく選んだ装いだったが、あとから考えたらセレブと家政婦さんという普段の主従関係をミックスさせるみたいなことになってしまった気がする。そういう風刺漫画みたいな意図は全くないんですよ!
さあ、家政婦の猛攻にセレブは耐えられるか。
セレブか、家政婦か?!
これは……これは両者いい勝負!
さあどうだ、セレブ、セレブが一歩リードか?!
こんがらがってきましたよ
さすがにセレブではないと思うのだが、とするとこの人は誰だろう。家政婦でもなさそうだ。セレブか家政婦どちらかといえばセレブ……なんじゃないかこれは。
セレブの勝ちだ。割烹着でもまだセレブなのか! というか、勝ちとか負けとかってなんだろう。
セレブの基準がここへきて麻痺してきた。
分からなくなりすぎて撮った写真が味わい深い
もうただセレブを受け入れよう
色々と試したが、だんだんとセレブか否かのジャッジメント機能が自分の中で低下してきているのを感じる。
前のページでコツうんぬん言っていたのがうそみたいだ。
どう終わるか思いあぐねて、ふらふらと公園に行った。驚くことにまだ続きます。
さあ、何がなんだか分からなくなろう
セレブになった。最初は間違いなくかなりいい線をいくセレブぶりだったと思う。それが、だんだんセレブだかなんなんだか分からなくなってきた。
セレブを乗っ取る! という意気込みでいてセレブという大きなうねりに飲み込まれてしまったということか。やれやれ。
はっ! ぼんやりしていたら「やれやれ」などといい出している。頭が混乱している証拠だ。
と、とにかくあとは撮った写真をみていただこう。私は全てセレブだと思う。あなたはどうだろうか。
いったん、目をリセットします
やっているうちに、なんでもセレブに見えるようになってしまった。感覚が麻痺していく、だまし絵なのかこれは。
こうなると、そもそもセレブって何だったんだっけというところからして危ない。
最初のページから読み直してみたが、「デパートに通ってはあれやこれや買いまくっていた」といううちのおばあちゃんが本記事の中では一番ちゃんとしたセレブなんじゃないかという気もしてきた。うちのばあさんが、セレブ?! いよいよ分からない。しばらく目を休める必要がありそうだ。