少しだけリベンジが成功した
当時、ライターの井上マサキさんに教えてもらってやろうとしたのだけど、電車と線路がうまく噛み合わなくてできなかった。(井上さんのおうちではできていた)
今回も4分の1周したところで止まってしまうのだが、その間に撮れた素材で動画を作った。いつかグルグル回ったらいいなと思う。
最近の回転寿司はプリンがおいしいと聞いた。回転寿司のプリンである。味も気になるが、やはりプリンなのだからレールの上をプルプルしながら運ばれてくるのだろうか。そうだったらすごく素敵だ。4店舗を回ってプリンを食べ比べしつつ、プルプルしている光景を探してきました。
最近の回転寿司はカフェメニューに力を入れているらしい。くら寿司にはくらカフェ、はま寿司にははまカフェというコーヒーがある。
中でもプリンがおいしいらしい。回転寿司のプリンである。こんなにミスマッチな感じがするのにしっかりおいしいらしいのだ。おもしろそうなので食べ比べてきました。
そして今回、もう一つ気になっていることがある。回転寿司のプリンって、レーンの上をプルプルしながら運ばれてくるのだろうか。運ばれてきたらすごく嬉しい。
プリンのいいところと言えば「プルプルしているところ」だろう。なめらかプリンの台頭によりあまり見なくなったが、それでもプリンと言われると、カップからお皿に出して、そのお皿の上で黄色いプルプルしたものがプルプルしているところを想像する。
そのプリンがプルプルしながら自分の元にゆっくり運ばれてきたらどうだろう。それはもうすごく良いものだ。入場料を払って見るタイプのエンターテインメントである。
良さを伝える動画を作りました。
ヒーリング効果がありそうな動画ができた。疲れた時にボーッと見るといいだろう。病院の待合室で流れていてほしい。
回転寿司でこの光景が見れたら最高だ。探してきました。
巡った回転寿司屋さんは、すし銚子丸、かっぱ寿司、スシロー、はま寿司の4店舗。
規模の大きな回転寿司チェーンで、かつメニューにプリンがあったお店である。この並びにくら寿司がないのが寂しい感じがするが、くら寿司のプリンは「ショコラプリン」だったので候補から外した。すごくおいしそうだが、プルプルはしてなさそうなので。
最初に行ったのはすし銚子丸。
レーンの内側で、職人たちが寿司を握り、大きな声で活発にお客さんとコミュニケーションを取っている。お寿司屋さんに来たなー、としみじみしていたら「うちはもうファミレスですからね!」という職人の声が聞こえた。そんな悲しいことを言うんじゃないよ、と思ったがそういう僕もプリンを食べに来ている。
何皿かおいしいお寿司を食べて、最後にプリンを頼む。しばらくするとレーンの向こうから職人が手を伸ばしてプリンを渡してくれた。
レーンに乗せないのだ…!「うちはもうファミレスですからね!」の方に酷な仕事をさせてしまった。
実はお寿司を食べ始めてからこの光景を何度も見ているので嫌な予感はしていた。注文品、レーンに乗せないのだ…!
プリンはしっかり弾力のあって、でも口に入れるとなめらかで濃厚なプリンだった。もったりしていて満足感がすごくある。
プリンはおいしかったのだが、プルプルはしていなかった。レーンにすら乗っていなかった。
この時点でどのお店もそうなんじゃないか、とかなり弱気になり、その日の夜にあった企画会議で「プリンがまったくプルプルしていませんでした…」と肩を落として報告した。皆さんから「確かにプルプルしていてほしいよな」「郊外の回転寿司ならプルプルしてるんじゃないか」などの励ましを受けて2店舗目以降の計画を立てた。
2店舗目はかっぱ寿司。このお店は、注文した品が「ご注文品」というトレイの上に乗って運ばれる仕組みだった。
これはプルプルしている可能性があるぞ、と思ってレーンを見ていたが、
プルプルはしていなかった。惜しい!
器に入っていたのだ。陶器に入っていると高級感が増してすごく良いものに見える。プルプルしないタイプの良いものだ。
カラメルがちゃんと苦くておいしい。プリンの部分だけ食べるとすっきりした卵の味がする、素朴なプリンだった。カラメルが上にあるのでだんだん味が変わってさっぱりしてくるのだ。ご飯の最後に食べるのにとてもいい。
3店舗目はスシローに向かった。ここからライターの北向ハナウタさんにも来てもらって一緒にプルプルしているプリンを探す。
そう、メールのやり取りだけではニュアンスが伝わらないと思ったので食べ比べと言って呼んでいたのだ。嘘ではないがなんか違う。ブラック企業の採用情報みたいなことをしてしまった。
前日の夜中に急いで撮った、プリンがプルプルしながら近づいてくる動画を見せた。
熱量の差は感じたが、確かに見れるもんなら見たい、という気持ちが伝わってきた。橋が船を通すために跳ね上がるところとか、なにかの祝日で東京タワーのライティングがいつもと違うところとか、見れるもんなら見たいだろう。確かにそれくらいのイベントである。プリンが回転寿司のレーンの上でプルプルしているところ。
少ししてからプリンを頼む。結論から言うとスシローのプリンはまったくプルプルしていなかった。
ダメだったが、もう慣れたものである。北向さんにも、見れたらそれだけで御の字という気持ちで臨んだ方がいいですよと、今までの結果を話す。
味は濃厚でおいしかった。カラメル部分が、プリン本体の味と一緒なのがおもしろかった。色の違いの影響でぎりぎりカラメルっぽさを感じる、という程度である。
注文した品の届き方ですが、注文した品専用のレーンがあるタイプだった。自分の席の近くに来るとキュッと寄ってくるのがかわいかった。
4店舗目のはま寿司。
まぐろ、サーモン、えび、と来て肉、というところに驚いた。貝やひかりものを差し置いて肉。ファミリー層に向けてメニューを考えるとこうなるのだろうか。
はま寿司のホスピタリティを堪能していると、横のレーンになにか気配を感じた。
ビクッ!となった。写真を撮り損ねてしまった。もう大方諦めかけているものが突然実現すると、最初の驚きがすごくて放心状態になってしまう。北向さんと一緒にプリンを目で追った。
あらためて回ってくるのを待ってプルプルを確かめた。
というわけで、初めて見れたプルプルしているプリンはとても上品にプルプルしていた。
というわけで、4店舗のプリンをまとめると、一番おいしいとおもったのはかっぱ寿司、プルプル運ばれてくるのははま寿司、という結論になった。
ただ、やっぱりもっとプリンのプルプル至上主義的なな頭で考えると、レーンがもっとガタガタしていたら、お皿が平らでプリンが見やすかったら、と口を尖らせてしまう事実も否定できない。というわけでプラレールでそういうレーンを作って動画を撮った。冒頭の動画である。
いいものなのでもう一度載せます。
この先何かに悩んだ時、つまらないことでイライラしてしまった時、わけもなく悲しくなってしまった時はこの動画を見て健全な気持ちを取り戻そうと思う。
この記事の相談を編集担当の藤原さんとしていたら、回転寿司の茶碗蒸しはその店ごとの出汁を使っているので味が違う(はず)、という話を教えてくれた。おもしろいのでそれも食べ比べてみたが、見事に同じに感じた。出汁が同じなのではない。食べた人間が悪いんだろう。でも食べたのでまとめておきます。
つまり具材の違いしか分からなかった。もしかしたらと思ったが、プルプルしながら運ばれてもこなかった。本当にはま寿司のプリンだけなのだ。プルプルしながら運ばれてくるのは。とても貴重な存在だと思った。
当時、ライターの井上マサキさんに教えてもらってやろうとしたのだけど、電車と線路がうまく噛み合わなくてできなかった。(井上さんのおうちではできていた)
今回も4分の1周したところで止まってしまうのだが、その間に撮れた素材で動画を作った。いつかグルグル回ったらいいなと思う。
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