書き写す作業が地味に大変だった
文字のカウントは地味に大変だった。
録画を再生しながら、画面に文字が表示されたら一時停止して書き写して……を繰り返すので、2時間の番組あたり3時間〜4時間もかかる。それが4番組。死ぬかと思った。
本来なら一ヵ月くらいカウントして平均を出して……と、やらないと正確な傾向は出ないのだが、そんなことしたら頬がげっそりするので取り急ぎ1日分で勘弁していただきたい。
ニュースやワイドショーを見ていると、人がしゃべっている内容に字幕がついていたり、大きなボードを出して説明していたりする。
あれを毎日作るのって、よく考えたらすごいことだ。あのたくさんの文字を打っている人が、どのテレビ局にも必ずいるのだ。
毎日どれくらいの文字数がワイドショーで使われてるんだろうか。数えてみた。
編集部より:この記事はとくべつ企画「おとなの自由研究2019」のうちの1本です。
夏休みの宿題といえば読書感想文だ。「原稿用紙3枚」の字数が果てしなく多く感じた。最後の1行を3枚目にかぶせて「3枚書いたし」と言ってた。
2時間のワイドショーのテロップで、あの原稿用紙が何枚埋まるだろう。ちょっと想像がつかない。
というわけで調査だ。やることはシンプル。同じ日に放送された各局のワイドショーを録画し、画面に表示された文字を数える。カウントにあたりルールを決めた。
・番組側で表示されたテロップ、使用されたボードやフリップの文字数をカウント。
・新聞や街頭の看板などの写り込みはカウントしない。
・時報、天気予報、提供、報道フロアのニュース、エンドロールは含まない。
あくまで純粋に「番組コーナーのために製作したもの」の文字数をカウントする。
VTR中に表示された文字を数えるので「東京・代々木 きのう」や「視聴者撮影」、「写真:アマナ」みたいなのも全部含めた。
画面に表示された文字は全部書き写し、あとからWordで字数をカウントする。対象としたのは民放4局の朝のワイドショー。
・『スッキリ』(日テレ)
・『羽鳥慎一モーニングショー』(テレ朝)
・『ビビット』(TBS)
・『とくダネ!』(フジ)
録画した日はお盆の真っ只中である8月14日。『あさイチ』(NHK総合)は高校野球のためお休みだ。
というわけで、もう結果を見せちゃおう。4番組の文字数はこうなった。
4番組とも8000~10000字。ぼーっとワイドショーを見ていていも、原稿用紙20枚以上の文字を毎朝目にしていることになる。そんなに!
ちなみに、『スッキリ』だけ放送時間が2時間20分と長い(他は2時間)のだが、番組開始から2時間の時点の文字数でも10354字でトップ。
あくまで8月14日の結果だが、日テレが最も文字数を稼いでいた。
調査した8月14日の主な話題はこの通り。
・台風10号あす日本に上陸へ
・常磐自動車道で悪質なあおり運転
・札幌の住宅街にヒグマが出没
・東京タピオカランドきのうオープン など
この記事が掲載されるころは、すっかり過去のニュースになっているかもしれない。東京タピオカランドはそのころどうなっているんだろう。
どの番組も開始後真っ先に触れたのは、台風10号の接近に関する話題。大雨に対する警戒を呼びかけるほか、ちょうど帰省のUターンラッシュに差し掛かることもあり、渋滞予測なども伝えていた。
それでは各番組の傾向にも触れておこう。
台風情報から入り、東京タピオカランドの話題に触れ、映画「ロケットマン」の監督&主演俳優が生出演するなど、多彩な話題に触れた『スッキリ』。
スタジオで討論する場面は少なく、VTRの多さ=テロップの多さにつながった。
特に文字が多かったのは、横浜流星と近藤春菜(ハリセンボン)による蔵前街ブラロケ。会話が全て字幕で出るし、商品名や値段も出てくるので大変。ドラマの共演者にお土産を買って、実際に撮影現場に届けたりもしていた。
ワイドショーのテロップを数えようと思ってたのに、街ブラのテロップを数えることになるとは。番宣恐るべし。
台風情報にちょっと触れ、「後ほど詳しく」と断りを入れ、悪質なあおり運転の話題から入った『ビビット』。
リポーターやインタビュー相手の言葉を忠実に文字に起こす傾向があり、文字数も多くなる。
夏休みSPでスーパーキッズ(キッズマジシャン)がスタジオ生登場し、マジックを披露したのだが、その最中にまで「マジック① 傘とハンカチが!?」とテロップを出ていたりした。
極めつけは法律お悩み相談で出た「古物営業法 第20条」のフリップ。画面に出た瞬間「ギャッ」って声が出た。
「暴走 あわや大事故 整備工場に車が突入 なぜ?」と、何の脈略もなく海外の衝撃映像から始まった『とくダネ!』。
台風情報は、アマタツこと天達気象予報士による浸水被害体験レポートもあり、4番組のなかで最も丁寧に伝えていた。スタジオでの天達さんのしゃべりが多かったせいか、テロップ文字数はそこまで伸びず。
その後は高速道路で働く「交通管理隊」に密着。「足がつり運転できなくなった人」「高速道路に原付バイクで侵入した人」が続々登場した。
『とくダネ!』同様に衝撃映像から始まった『モーニングショー』。
台風情報のあと、ビビットと同じ悪質なあおり運転の話題。しかしこちらは「同じナンバーの試乗車で他県でも危険な運転をしていた」と新事実をつかんでいた。
やっぱり見比べると情報に差があるのがわかるなぁ、と情報リテラシーの高まりを感じる一コマである。
その後、日韓関係について取材した内容を、巨大なパネルにまとめて解説。羽鳥さんの背丈を超えるパネルが登場したときは、これを書き写すの!ヒー!と震えたが、スタジオ内で質疑応答の時間がたっぷりあり、文字数は控えめとなった。
というわけで今回のまとめです。
文字のカウントは地味に大変だった。
録画を再生しながら、画面に文字が表示されたら一時停止して書き写して……を繰り返すので、2時間の番組あたり3時間〜4時間もかかる。それが4番組。死ぬかと思った。
本来なら一ヵ月くらいカウントして平均を出して……と、やらないと正確な傾向は出ないのだが、そんなことしたら頬がげっそりするので取り急ぎ1日分で勘弁していただきたい。
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