伊藤です。
外出先で打ち合わせの前に遅めの昼食を取ろうとしたものの、近くに飲食店が見当たらず、県道を少し歩くと回転寿司チェーンの雄、スシローが見えてきました。
平日、しかも打ち合わせの前に回転寿司でランチというのは経験がなく、なんだか特殊な緊張感が沸いてきたのですが時間もないし、とにかく入店しました。お昼のピークを過ぎて人もまばらなカウンター席に座り、タブレットをタップしながら注文を迷っていると、私の右手２つほど向こうの席に、一人の男子高校生が座りました。
短髪にメガネ、すらりとした長身にカラーのホックまできっちり留めた学ラン姿。手慣れた感じでタブレットを操りテンポよく注文を済ませると、流れるような動作で湯呑みに茶の粉を入れ湯を注ぎ、あがりをすすりました。
この若さにしてなんというこなれ感、しかし月曜のこの時間に高校生がスシローに来るものだろうか。
今は平日でも授業が半日で終わる日があり、共働きの親から昼食代をもらいちょくちょく来ているのか。いや、実は不良学生で授業をサボりタイミーで品出しのバイト、報酬を受け取ったその足でスシロー豪遊を繰り返しているのか。謎だ、ナゾーンだ。
寿司が届くとこれまた無駄のない動きで醤油をネタにかけ（スシローは醤油皿がない）赤身を口にすっと入れました。食べ終わった皿にはひとつぶの米も、一滴の醤油も残っていませんでした。
あれよあれよという間にきれいな皿を10枚ほど重ねると、彼は長い腕を折り曲げ合掌して一礼し、会計ボタンを押して用紙を受け取りレジへと歩いてゆきました。
その一分の狂いもない機能美に満ちたスシローの演舞を、私は心から美しいと思いました。
醤油ぺろぺろ事件など、悪いことは瞬く間に拡散されますが、平常の中に時折り顔を見せる短くも美しい時間もまた、どこかに記録されるべきではないでしょうか。
では、旬の記事の紹介です。
11:00 「水ゼリー」をまだ飲んだことがない人のため
16:00 40年前の母校のカツ弁にいざなわれた話～月刊デイリーポータルＺ新人賞 2025年9月号
16:00 おにぎりを作る「おにぎりぽっけ」が便利だった
べつやくさんがひたすら穴を堀りまくるゲームにチャレンジします。
つるはしを持ちかえ、変なペットをしたがえて堀りに堀ったら次は自分が穴になるゲームを
プレイ、ってなんだその安部公房的展開は。
みんな大好きスズキナオさんの身近な美食クエストはなんと「水ゼリー」
お中元のような優雅な響きですが駅構内で買えるペットボトルゼリーです。
っていうか500gのゼリーってなにげにボリュームすごくないですか。
16時は月刊新人賞です。
今月は文章力にすぐれた語り部達が集結。
「40年前の母校のカツ弁にいざなわれた話」のようにどこか乾いていて自分を笑い飛ばす感じ、大好きです。他２作も読み応えがやばい！
ああ、寿司食いたい。
