特集 2025年9月25日

「水ゼリー」をまだ飲んだことがない人のために

2年前、「水ゼリー」という飲み物を自販機で見かけて買った。飲み物と書いたそばから申し訳ないが、ペットボトルの蓋をあけて飲もうとしても、最初、ほとんど飲めなかった。

というのも「水ゼリー」はゼリー状のものなので、まず、蓋をした状態でペットボトルをよく振って、ゼリーを細かく砕く必要がある。ゼリーとはいえ、かなり柔らかいので、よく振ればだんだんと飲み物に近づいていく。

頑張って振って、初めてそれを飲んだ時の感覚が忘れられない。トゥルトゥルルンッ!みたいな、液体とゼリーのちょうど中間のような。それ以来、見かけたら買うようになった。まだ知らない人がいたら、あの不思議な美味しさを伝えたい。

大阪在住のフリーライター。酒場めぐりと平日昼間の散歩が趣味。1,000円以内で楽しめることはだいたい大好きです。テクノラップバンド「チミドロ」のリーダーとしても活動しています。(動画インタビュー)

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駅のホームで初めて「水ゼリー」に出会った

初めて「水ゼリー」を飲んだのは、駅のホームの上だった。記憶が間違っていなければ、大阪市此花区にあるミニコミ専門書店「シカク」で店番のアルバイトをしたその帰りの夜、JR大阪環状線という電車の西九条駅という、「シカク」から歩いて15分ほどの距離にある駅のホームに設置された自販機でそれが売られているのを見かけたのだった。

仕事の疲れもあり、何か冷えた飲み物を求めていた。「適度な甘みもあってスカッと爽快な飲み物がいいな……え、水ゼリー!?水、ゼリー?」とそのネーミングに驚き、なんだこれと思って買ってみたのだった。

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これが水ゼリーです

最初、他の飲み物と同じように飲もうと思ったが、ペットボトルを傾けても中身がほとんど落ちてこない。吸い込もうとしても無理。改めてパッケージをよく見ると、「強く振って お好みの食感でお召し上がりください」と明記してある。蓋を綴じ、何回か軽く振ってみたが、中身が出てこない。私はその時、ホームに一人でいたのだが、意地になって体を激しく動かしながら、ペットボトルを振りまくった。こんなにスピードで体を動かすのは久々のことだった。

蓋を開けて改めて飲もうとしてみると、今度は飲める!ぶつかり合って砕けたゼリーがトゥルトゥルと口の中に入ってくる。ラムネ味で、甘みがあって、後味にすっと清涼感が残った。少し飲んだのでペットボトルの中に空間ができ、それをまた振るとゼリーがさらに細かくなる。これは美味しいし、楽しい。すっかり気に入った。

よっぽど感動したのだろう、その晩、「普及のためにできる限りのことをしたい」とSNSに投稿したほどだ。

 

「また飲もう」と思ったが、コンビニを探しても街の中の自販機を見ても、水ゼリーは見当たらない。調べてみると、水ゼリーは「acure(アキュア)」という、JR駅構内を中心に設置されている自販機で売られているものらしい。パッケージにも「acure」のロゴがある。

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パッケージに「acure」のロゴが

ちなみに、正式な商品名は「From AQUA 天然水ゼリー」というようで、この「From AQUA」は、群馬県と新潟県の県境にある谷川岳の天然水を活用した商品のブランド名らしい。「From AQUA 天然水ゼリー」は、2020年に発売が開始され、毎年春季から秋頃まで売られているようだ。

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と、ここまで今書いてきて不安になったのだが、「From AQUA 天然水ゼリー」が正式名なのだとすると、ひょっとして「天然水ゼリー」は「てんねんすいぜりー」と読むのか……? それとも「てんねん」で一回切っての「みずゼリー」ということなのだろうか。私は初めて出会ってから今の今まで「みずゼリー」とこれのことを呼んできたのだが、大丈夫だろうか。

「どうしよう、ずっと間違っていたかも」と怖くなって調べたところ、公式アカウントの投稿を見つけた!

 

なるほど、正式には「すい」だが、社内では「みず」と呼ばれて親しまれていると。よかった……つまり、どっちでもいいということだ!これからも私は「みず」の方で呼んでいきます。この記事内でも引き続き「水ゼリー」と書いていきます。

というか、もし最初に見た時に頭の中で「みずゼリー」と読んでいなければ、私はこれを買っていなかった気がするのだ。「みず」という響きが入っている食べ物、飲み物って、「鯖の水煮」と「水炊き鍋」しか思い浮かばない。「水菜」もあるか。あと、コンビニの蕎麦の「ほぐし水」は、あれは飲み物じゃないか。とにかく、あまりないと思う。だからこそ、インパクトを感じたのだった。

水ゼリーを探しに行く

話が逸れてしまった。JR駅構内の「acure」の自販機を探せば見つかりやすいと知って以来、水ゼリーに遭遇する機会が増えた。見かけるたびに買って、「ちょっとこれ、とにかく飲んでみて!」と一緒にいた友人に(半ば強引に)買い与えたこともある。

今回の記事で私が言いたいのは「どうか水ゼリーを飲んでみてください」ということに尽きるので、もう尽きているのだが、一応、それがどんなものか改めて紹介したい。

水ゼリーを手に入れるため、初めて出会った場所だと私が記憶しているJR西九条駅に向かうことにした。ちょうどこの日も「シカク」でアルバイトをした帰りだった。ホームまでたどり着いて大変驚いた。水ゼリーが見つかるかどうか以前に、西九条駅のホームに自販機がなくなっているのだ!

ここ数年のうちにホーム柵が設置されたことや、西九条駅はUSJや大阪・関西万博の会場行きのバス乗り場へ向かう人が乗り換えに利用する駅なのでかなり混雑することなど、自販機を撤去すべきなんらかの理由があったのだろう。ホーム上の人混みをぼーっと見ながら、時の流れを感じた。

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朝と夜は特に乗り換えの人たちで混雑するホーム

ここで諦めるわけにはいかないので、JR大阪環状線に乗り直し、大正駅まで向かってみた。根拠もなく、なんとなくの勘でしかない。ここのホームにも自販機そのものがないかもしれない。が、幸いなことに自販機は見つかった。

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よし!まずは自販機を発見

そして!ホーム上に3台設置された自販機の一つにだけ、水ゼリーがあった!

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水ゼリー、売ってた!
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買うことができました

販売されていたのは515g入りの大きなペットボトルの方で、この他に、サイズの小さな280g入りのタイプもあるが、そっちはなかった。でもとにかく買えた!よかった!

さらに、もしかして……と、これもなんとなくの勘で階段を上り下りして反対側のホームに行ってみると、こっちには2025年3月から発売されているという新フレーバー「マスカット風味」があるではないか!この新しい味を私は飲んだことがなかったのだった。うれしい!

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反対側のホームには別のフレーバーが!
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大正駅まで来てよかった

こうして、現在販売されている2種類のフレーバーの水ゼリーが無事手に入った。帰宅し、早速味わってみることにする。

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飲んでみようと思います

先に書いた通り、水ゼリーを飲む際、強く振る必要がある。まったく振らずにペットボトルを傾けると、上澄みの方の液体が少しだけ出て来はするが、ゼリーの大部分はペットボトルの中に留まって動かない。ペットボトルを激しく振ることで、これを細かく砕いていく必要があるのだ。

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友人に手伝ってもらって、水ゼリーのペットボトルを振る私を撮影してもらった。

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これから、水ゼリーを振ってみます
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蓋をしてしっかり抱えて、とにかく振る
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こうして振っている時、無心になれる
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写真に撮ってみると全然躍動感がないのが不思議だが、とんでもなく速いつもり
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トゥルットゥルで美味しい!

「acure」のSNSアカウントの投稿を見ていたら、こんなものがあった。

 

水ゼリーは30回以上振ってやっといい具合になるようだ。飲む際はくじけずに振ってみて欲しい。

水ゼリーの美味しさを表現するのが難しい

新フレーバーの「マスカット風味」も飲んでみよう。先ほどのように振った後、その中身を器に入れてみる。

それをスプーンですくって写真に撮ったらトゥルットゥルの感じが伝わるかと思ったのだが、ゼリーのゼリーらしさを写真に撮るって、すごく難しい。これはプロじゃないとできないことなのかもしれない。

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なんとなく、わかるでしょうか
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ゼリー状であることが伝わるといいのですが。

マスカット風味、これもまたいい!ラムネ風味同様、後味にすーっと爽快な味わいがあって、暑い季節にはぴったりである。これもいいな。味自体が好きなのだが、やはりこの独特の質感である。こればかりは飲んでもらうしかない。表現が難しい。

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大事なことを書き忘れていた。水ゼリーに515g入りの大きい方と、280g入りの小さい方があると書いたが、その大きい方のペットボトルは、そのまま冷凍庫に入れて凍らせることができるのだ(仕様上、小さい方ではそれができないらしい)。

パッケージにも「凍らせてシャーベットで楽しもう!」と書いてある。「少しとかしてもんで お好みのシャリシャリ感でお召し上がりください」と。

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凍らせて食べることがおすすめされている

私は凍らせて食べてみたことが何度かあって、それはそれでまた違った美味しさがあった。今回もそれをやってみようと思い、冷凍庫に一晩入れておいた。取り出してみるとカチカチである。

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冷凍庫から取り出した直後はかなり硬い
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逆さにしても何も出てきません

「少しとかしてもんで」とあるが、ペットボトルの外からなんとか押せるようになるまで、かなりかかる(小1時間ほど放置してやっと少し柔らかくなるぐらい)。どうか気長に待って欲しい。保冷剤がわりに保冷バッグに入れて外に出て、ある程度時間が経ったところで飲む、というのもよさそうだ。

ちなみに、東京・品川駅には期間限定で冷凍水ゼリーの自販機が設置されているそう。

 

この、“一度凍った水ゼリーが溶けてきた状態”がまた、とてもいいのである。シャーベットとゼリーの中間みたいな感じ。

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シャリシャリした感じが伝わるだろうか
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この「氷水ゼリー」を飲んで(食べて?)いて、私は思った。これはチューハイに合うだろうと。公式アカウントでも、氷水ゼリーを炭酸水で割ると美味しいというようなことが語られていたし、炭酸との相性は間違いなさそう。やってみよう。

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焼酎ハイボールで割ってみることに
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シャリシャリの氷水ゼリーをグラスに入れて
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これはよさそうじゃないか?
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よさそうな気がする

飲んでみると、あ!美味しい!もともとの焼酎ハイボールが甘さ控えめのチューハイなのもあって、そこにシャリシャリ感と甘みと爽快感が加わってバランスがいい。氷水ゼリーのおかげで氷を入れなくても冷たく飲めるし、「氷水ゼリーハイ」、最高!

これを書いているのが9月末で、もしかしたらもうすぐ今期の販売が終わってしまうのかもしれないが、もしどこかで水ゼリーを見かけたら、一度飲んでみて欲しい!通販でも購入できるみたいです!

編集部からのみどころを読む

編集部からのみどころ
「みずゼリー」だと思っていたらまさかの「テンネンスイゼリー」でした。
そしてスズキナオさんが「好き過ぎて普及のためにできる限りのことをしたい」とまで語るほどの熱意。
必死に振っているのにまったくそう見えないことや、最終的に酒を入れちゃってるところなど、身近な題材を取り上げてもいつものナオさんの原稿になっているのがすごい(林)

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