ライター登竜門 2025年9月25日

40年前の母校のカツ弁にいざなわれた話~月刊デイリーポータルZ新人賞 2025年9月号

こんにちは、編集部 石川です。

急に涼しくなって一気に外での撮影がしやすくなりましたね。週末は何気なくぶらぶらさんぽでもするか…と思って出かけたら、つい5駅歩いてしまいました。気候の影響の受けやすさが過剰。

さて、月刊新人賞では、みなさまからいただいた投稿原稿のうち、優秀作をご紹介します!

投稿作品の紹介コーナーです。読者の方が執筆した記事をご紹介しています。
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👑今月の掲載作品

今月、記事として掲載した作品はありませんでした。
超優秀作品は特集記事として公開します。ぜひ自信作をお送りください…!

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🎉佳作

原稿掲載までは至りませんでしたが、面白かった作品を佳作としてご紹介します。

40年前の母校のカツ弁にいざなわれた話(がみ)

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通学していた高校は川のほとりにあり、今でこそ共学に変わったようだが、当時はコテコテの男子校で、体育の時間はよく土手沿いを走っていた。
遙か先に見える水門まで直進し、そこから橋を渡って1周するとだいたい3キロちょっとのコースとなり、17分前後で完走していたように思う。

編集部より寸評

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いい文章でした。「はい(手を叩いて)おもしろいことしまっせ~」という雰囲気の文章が敬遠されがちなので、こういうエッセイテイストのレポートがとても今風だと思います。

> 甲子園も全国大会もないけれど、これが自分の部活動だと納得し
> 中世のヨーロッパでは胡椒が金銀と同様の価値を持つスパイスとして高値で取引され権力と財力の証とされていたそうだが、

こういう比喩が浮くことなく馴染んでいました。元の話に力がないと比喩が浮いちゃうんですよね。まるであの日のプールのビート板のように(←こういう比喩ね)。
特にあれこれいう感じではないですが、やや、ややノスタルジックな展開にはまりすぎているので、それを裏切るような予想外なことが書いてあるのと好みです。(林)

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前半の回想エピソードも面白いですし、後半、いまの話につながって実際に食べに行く展開が素晴らしいです。
やっぱりこうやって実際に足を使ってこそ、というのがデイリーのポリシーです。
また出身校のローカル弁というというのも、究極のローカルグルメという感じで最高ですよね。
アドバイスとしては、前半部がただの回想エッセイかなーという感じで始まるので、後半へのフリがあってもいいかもと思いました。弁当屋に着いたシーンから始まって回想に入るとか、もっとシンプルに記事の概要から書き始めてもいいですし。
しかしいい記事だったと思います!(石川)

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👏もう一息

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最近、自分の検索スキルを試したくてCMを素材として場所や音楽を特定するのにハマっています。首都圏在住じゃないですが、いろいろなオフィスに仕事で出向いたからか、なんとなく記憶に残っているオフィスが多いです。

今回の素材はリクルートエージェントのCM。高橋一生さんと柳楽優弥さんが出演されているものです。まずはそのCMを見てみましょう。

編集部より寸評

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私もCMとかドラマの現場の特定をすごくするので大いに共感しました。
看板はダミーのことがあるんですね。なるほど。
(かつて働いていた大森ベルポートはしょっちゅう撮影に使われているのですぐに分かります)
デイリーポータルZに載るような記事ではないけど、これは完成している路線なので続けて欲しいです。読みます。(林)
 
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おもしろかったです。場所の特定プロセス自体もおもしろいですが、最後「テナントの看板はフェイク」のところで、そういうこともあるのか~と思って感心してしまいました。
で、先ほどのカツ弁の話のながれでいくと、やっぱり現地訪問があるといいかなと思いました。首都圏在住じゃないとのことなので難しいかもと思いつつ、いろんなオフィスに訪問する機会がと書かれているので、ついでに行けると良かったかも!?本物のテナントの看板が見たかったです。
そもそもそれが難しい状況でしたらすみません。(石川)

 

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こんにちは、料理愛好家の三戸満平です。

唐突なのですが皆さん、人生で「これ、身につけてぇー!」と思ったことがあるもの、ありますか。

僕はあります。
そう、必殺技です!

編集部より寸評

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美味しそうで料理の腕を感じました。
料理の記事として完成しているのですが、読んでいる人に「この人なに言ってるんだろう?」「こいつ何者?」と思わせたいですね。
顔を出すのが手っ取り早いのですが、それ以外の案を考えてみました。
・味の説明を料理以外の言葉にする
(「ふごっっ(うまい)」とか。ここで「シェフを呼ぶレベル」とか過剰にすると滑るからリアリティ重視で)
・心象風景の写真を挟む
・誰かに食べてもらって反応を見る
(その反応をそのまま載せるのではなく、それに対しての説明とか言い訳を入れる)
・料理のレシピ部分は最後にまとめて、読みものに徹する

あと、写真が近いので少し離れるといいかも。(林)

 
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料理はよくしますが、適当に作るだけでメニューの改良作業なんてのはやったことがなかったので、そのプロセスが見られておもしろかったです。たしかに歴然とおいしそうになっている!
内容はおもしろかったのですが、文章が平易な印象があるので、もうちょっと凝ってみるとデイリーっぽい面白さが出てくると思います。僕の場合、わりとこんな感じで下書きをした後、全体を読み返しながらおもしろくする作業を3周くらいやることが多いです。冗談を足したり、比喩を入れたりですね。あえてちょっと関係ない写真を少し入れてもいいかな。若干のノイズを足して味を出すイメージです。(石川)
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おわりに

最後に、編集長 林からのメッセージで今月の月刊新人賞はおしまいです。では林さん、どうぞ。

見えるものについて書けばOK

今回のカツ丼はエッセイテイストの作品でした。
デイリーポータルZでも朝エッセイと称して企画性より文章の味わいが中心になるテキストを掲載しています。「やってみた!」みたいないかにもなウェブ記事よりもとっつきやすい気がします。
デイリーでこれまでそれを避けてきたのは、自分語りに陥る可能性があるからなんですよね。でも朝エッセイを半年続けて回避する方法を見つけました。

それは「見えるものについて書く」です!

たとえば……猫!OK!見えるから
信念!NG!見えないから
ビニール袋!OK!見える
やさしさ!NG!見えないから

見えるものについて書けば分かるような分からないような空中戦のような文章になることは回避できます。

でも「あの人はやさしい」って思うってことは、行動や発言など見えるところで判断してるってことなので、感情を見えるところまで持ってくることはできると思います。

やさしさがNGと書いてひどいと思ったので言い訳でした。
見えるものについて書こう!

 

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